君へと続く道。
不思議な君との思い出話しでもしよう。
出会いは共通の友達からの紹介だった。
「紹介してあげたい人がいるんだ。」
って。友達が言うからとりあえず聞いてあげる。
あの頃の僕は誰かと話をしたかったし
一緒の時間を共有できる相手を探していたこともあって、連絡先を聞いてからは自分から話かけたりした。
君にとっては急なことで戸惑ったろうね。
初めは、その友達も交えた3人で遊ぶつもりだった。
だけど、お互い連絡をしているうちに2人だけで会っておきたくなって。抜け駆けした。
あの日は楽しかったな。
僕の前に現れた子は、想像以上に可愛くって、
人懐こくって、無邪気な笑顔を振りまいてた。
天使かな。なんて思ったけど。
もちろん君には言わない。
お互い、特に自己紹介なんてしないまま
目的地に向かって歩き出した。
なんだか、何十回も遊んできた、すごく気があう親友みたいに感じる。
それくらい僕らの間には壁がなかった。
後日、友達も入れて3人で遊んだ時も、
君は相変わらずで、気の合う不思議な子。くらいに
僕は君のことを考えてた。
なのに、それからは君と2人だけで遊ぶことなんて日課みたいになってきて、その度に、君が僕の家へ泊まったりもした。
だから、気づかないうちに君は僕の中へ。心の奥深くへ。入ってきていた。どうしようもないところまで。
そんないつもと変わらない日。君に突然、
他の男の子の存在がチラつき出した。少し不安に感じながらも自分に大丈夫だと言い聞かせる。
それなのに、君は、僕の想いなんて知らずに誰か別の人と付き合いだした。
それを知った時はひどく落ち込んだりしてたんだよ。
それからは僕の方から少しずつ避けてしまうようにしてた。自分でも気づかないくらい少しずつ。
いつだったかな。君がいつになく楽しそうに新しい男の子の話をしてきたよね。
僕はそれを聞きながら、ふと思ってた。
もう君の瞳に僕は映ってないんだ。って。
ねぇ、どこで道を間違えたのかな。
どうすれば君に気づいてもらえたかな。
僕が想いを伝えておけばなにか変わったかな。
いや、きっとなにも変わらなかったんだろうな。
それくらい僕たちは深い関係だった。
情けない僕だったけど、今なら君に言えるよ。
ずっと好きだったんだ。
でも、これでお別れ。
さよなら。僕の不思議な友達。
さよなら。僕の好きになった君。
どこか遠く、僕の耳に届きもしないところで
幸せにしててくれたら嬉しいや。
この想いを。僕の精一杯の勇気に乗せて。君へ。