表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶剣 ~世界を切り裂く力~  作者: 如月中将
第1章 渡りを経て
8/84

8話 己が技を知る 〜斎藤芳俊の場合〜

 タツヒロのスキル資料を眺めていたトシが、おもむろにノートを取り始める。


「次は、俺のスキルをまとめてみる。最後はナベが書いてくれ」

「判った」


 ナベが一言返事をしてコーヒーをすすり、トシの手元を眺め始めた。


 その後、トシを待つのがヒマになったのか、タバコに火を点ける。


「お、いいねえ」


 タツヒロも、どうやらお相伴するつもりらしく、火の点いた薪をストーブから取り出して、同じくタバコに火を点ける。

 薪をストーブに戻しながら、タツヒロは思い出したようにナベに訊ねた。


「そういやナベ、このストーブ何て言うんだっけ? 何か、無駄に名前が格好良かった記憶が・・・」

「無駄にって・・・。それはサイクロンロケットストーブだ。その煙突の処にはめ込んで使う天板も持って来てるよ。立ち上がりが早えーからさ、こういう時は重宝するんだよ」

「そうそう、それそれ。なんたらロケットストーブ。何かさあ、プロレスとかゲームとかの技の名前みたいでカッコ良くね?」


 勘違いなのかネタなのか、微妙なコメントで締められて表情まで微妙になったナベに気付かず、トシが声を掛けてくる。


「出来た。とりあえず、俺のスキル資料としては、こんな感じでまとめてみた。見てくれ」


 書き終わったページを開きながら、トシがノートをテーブルに置く。

 ナベとタツヒロもタバコを消して集まってくる。

 ノートを見ると、次の様なスキルとなっていた。


 ~スキル:博識~

 ・記憶隷属:海馬の機能を掌握し調整が可能になる事で、自身の全ての記憶を検索し、任意に瞬時に取り出す事が出来る。また普段は覚えていることを忘れさせられるので、精神への負担を軽減出来る

 ・知識連携:記憶の知識を関連付け、連携させることでどこまでも推論を拡大できる

 ・分析鑑定(万物):対象物(万物)を分析、鑑定出来る。未知なるモノも推論と仮定で分析、鑑定が可能

 ・知覚連携:記憶を音、色、映像、概念を組み合わせて他者と共有出来る念話の発展版。他者から受け取ることも可能


 ~スキル:賢者~

 ・知覚上昇:外界から受け取る情報の精度を上げる。最大で100倍まで可能

 ・思考加速:知覚、認識、処理、思考の速度を上げる。最大で10倍まで可能

 ・並列演算:無意識領域を用いて、知覚、認識、処理、思考を実行する。最大で10個まで並列化が可能

 ・分析鑑定(事象):対象物(事象)を分析、鑑定出来る。未知なる事象も推論と仮定で分析、鑑定が可能


 ~スキル:登山家~

 ・体力上昇:スタミナや抵抗力、持久力を向上させる

 ・膂力上昇:筋力を中心に力を向上させる。

 ・低気圧抵抗:気圧低下の影響を少なくする

 ・低温抵抗:気温低下の影響を少なくする

 ・分析鑑定(岩石):対象物(岩石)を分析、鑑定出来る。未知なる岩石も推論と仮定で分析、鑑定が可能


 ~スキル:兵法家見習~

 ・兵法基礎:戦術、戦略等の、軍学の基礎知識

 ・部隊指揮:部隊単位の集団指揮能力

 ・武術基礎:個人戦闘術の基礎(神子上流兵法)

 ・思考加速:知覚、認識、処理、思考の速度を上げる。最大で2倍まで可能



 一通り目を通し、ため息をついたナベが呆れ顔でトシに告げる。


「まあ、そのー・・・何だ。頭脳労働はトシな。決定。っつーか、万物って・・・、何だこれ。思考加速?、知覚上昇?、並列演算?、トシのアビリティって、パソコンかなんかか?」


 隣のタツヒロも、反応は似たようなモノだった。


「俺のと比べると、俺のアビリティやスキルがかわいく見えてくるよな・・・。チートとかいうレベル、超えてるっしょ。万物とか、事象って・・・。範囲、広すぎ・・・」


 二人の反応を見て、少し焦ったように声を掛けるトシ。


「まあまあ・・・。ほら、あれだよ、これは二人をサポートするためでもあるんだからさ。何て言うか・・・、その・・・、大丈夫、大丈夫」


 持ってるアビリティの割に、レベルの低い言い訳しか出て来ない、というのはさておき、ナベがアビリティの確認を始める。


「まあ、とにかくだ、ざっと見てると、この知覚連携なんて便利そうだよな。トシの全ての記憶を共有できる訳だろ? これって、トシを介して、タツヒロともやり取りが出来んじゃね? もし、それが可能なら、応用範囲はかなりなもんだよなあ」

「後は、ナベも気付いてるかもだけど、この辺のアビリティで、地味に体力とか膂力とかも上がりそうなんだよねえ。気圧低下とか気温低下にも強いっぽいし・・・ この部分だけど、トシって、武術基礎って、何が使えるの?」


 流れで、タツヒロがトシに確認すると、


「あ~、それね。タツヒロも知ってるだろうけど、俺って小学校卒業までナベと同じ道場にいたんだよ。そこで習ってたのが神子上流兵法ってやつでさ、中身は軍学と武術だった。その内の武術の方を指してるんだと思うけど、何せ、小学校で辞めてるんだよなあ・・・。あの程度の経験で、よく基礎と認められたもんだと、こっちが驚いてる。ちなみに武術は剣術と小太刀、組打ち、槍を教わったが、今でも出来そうなのは、小太刀と組打ちぐらいかなあ・・・、もちろん、初歩の初歩な」


 トシが、苦笑いを浮かべながら、自身を振り返っていると、そこに、ナベが混ざってくる。


「俺は、トシと違って軍学がダメダメだったな。モノになったのは剣術、組打ち、鎖、槍、辺りかな。弓は二人ともダメダメだったよな」

「ああ。だからタツヒロがアーチェリーやってるって聞いたときは、これで三人が組めば、兵種がコンプリートだ!、とか密かに思ってたんだよ。まあ、どうなるとコンプリートなのか、は未だによく判んないんだけどな・・・」


 ボケのみ漫才を始めそうなトシとナベをスルーして、タツヒロが聞いてくる。


「トシ、この分析鑑定の万物って、何にでも当てはまるのか?・・・」

「何で?」

「いや、材料さえ見つかれば回復ポーションとやらが作れそう(・・・・)なんだよね・・・。何故か、レシピを知ってる(・・・・)から、魔術の使用感も兼ねて、材料を見つけ次第、そのポーションを作ってみようかなと思ってたんだよ。その時にさ、出来上がったモノがどのぐらいの出来なのか、何が回復(・・・・)するポーションなのか、鑑定出来れば便利だなと思ってさ」

「うーん・・・、どうやら出来そうだな。レイ・・・技神に確認した。回復ポーションの鑑定は可能らしい。作ったら見てみるよ。でも普通に考えると、回復ポーションなんだから、ケガとか疲労とかなんじゃね?」


 ふと思いついたかの如く、ナベがトシに語り掛ける。


「そうだ、トシ。今のトシのアビリティなら、あのお宝を発掘して鑑定する番組さあ、一人で全ジャンル鑑定行けそうじゃね? いい仕事してますねえ!、大事になすって下さい!、とかさ。どうよ?」


 どうにかネタをねじ込んで来ようとする、ナベなのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ