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絶剣 ~世界を切り裂く力~  作者: 如月中将
第1章 渡りを経て
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44話 第一回幹部会議

やはり休みに入ると投稿ペースが落ちてしまいます。

書きたいのに書けないというのが、若干ストレスですね。

 ナベが外に出て声を掛け、幹部達がコテージに入ってくる。

 さすがに、見たことのないコテージの中の様子に圧倒されつつ、全員が揃って床やソファに座る。

 コテージに初めて入ったメンバーが落ち着くのを待って、トシが話しを始める。


「これより、記念すべき第一回の三ツ星戦闘団幹部会議、略して幹部会を始める。まずは今回の議題を決めたい。俺の方からは二点あって、一つ目は町への調査を行う件、もう一つは拠点の新設についてだ。皆の方からも何かないか? この面子で相談しておきたい事、この面子で知っていて欲しい話し、そう言ったことを話し合う場にしていきたいと思ってるんだが・・・」


 タダツグが皆を見回しながら発言する。


「芳俊様、今回は初回ということもあります。まずは、その二点で始めてみては如何でしょう。その内に、皆も要領を得て来るでしょう」

「まあ、今回はそうなるだろうなと思っていたからな。分かった、今日はこの二点で進めよう」

「ありがとうございます」

「ではまずは、町への調査の件からだ。何人かには相談してるが、近々行商の拠点となっているという宿場町に行ってこようと思う。以前にその話しをした時に、タダツグからはヤシャマルとオリヒメの随行を薦められた。ヤシャマルは以前にその町に行ったことがあるらしいし、オリヒメは冬支度の準備も兼ねているからだが、それだけが目的ではない。今回の遠征では、森の獲物の相場を確認したいとも思ってる。それと、食料品の買い出しも行うつもりだ。その辺りを考慮して、他に行った方がいい者がいれば、誰かいないかと思ってるんだが・・・」

「そうですな・・・、獲物の話しであれば、やはりタカマルをお連れ下さい。こやつが森には一番詳しい男ですからな」


 タダツグの推挙に、タカマルは目を輝かせる。

 だがトシは狩猟の件が気になっていた。


「タダツグ、狩りの方はタカマルを外しても大丈夫なのか?」

「任務の変更を御三方様がお戻りになるまで、としておけば人数で埋め合わせは可能です。お連れ頂いた方が、御三方様の助けとなりましょう」

「そうか、ならば遠征に向かうメンバーは、ヤシャマル、オリヒメ、タカマル、そして俺とナベとタツヒロで決定だ」

「よいな? ヤシャマル、オリヒメ、タカマル、しっかりとお役目果たすがよい」

「「「は!」」」



 タダツグの言葉に三人が返事を返す。

 それを聞きながら、トシは次の議題を話し始める。


「では次の議題だが、拠点の新設(・・)に関してだ。皆の村とこの広場は少し距離があるのは、皆も知っての通りだ。それを解消するためなのが一つと、もう一つ。今までよりもしっかりした設備が必要になってくると考えている。今のお前たちの大きさ(・・・)から判断するに、今までの建物では手狭だろう? なのでこの際、我々の拠点を新たに作り直そうと思っているんだが、場所については実は二通り考えている。一つ目はこの広場に隣接して作る場合、二つ目はこの広場を考慮せず(・・・・・・・・)、別な場所に一から作る場合。・・・この二つ目の場合の為に、町に向かう道すがらで少し立地の良いところを物色してこようと思ってる。・・・ここまでで何か意見は無いかな?」


 トシが一旦言葉を切って、皆を見回すとクモマルがおずおずと手を上げる。


「それは、二つ目の場合だと森から出る、ということですか?」


 狩猟班の伍長らしい疑問だった。


「それに関しては、立地的に森から離れないようにしようと思っている。狩猟による恩恵はまだまだ大きい。森近くの平地、若しくは平地近くの森の開墾、のどちらかで考えていたよ」


 サクエモンが手を挙げた。


「農業の為にも平地の近く、という事ですか?」


 農業班長の質問にトシが頷く。


「その通りだ、農業を始めることによって、食料の獲得方法が劇的に変わってくる。食料の、恐らく半分以上は農業で賄える。狩猟の目的が変わるほどだな。だが、そうなるまでには、まだ時間が必要だ。その辺は少しずつ変えていくつもりだよ」


 今度は建築班長のマタエモンだ。


「芳俊様、建物がどうしても間に合うとは思えんのですが、それはどうされますか?」

「建物に関しては、少々考えがある。今までなら、必要な数の家を建てていたはずだが、今回の拠点設営では、大きな建物を二つか三つ(・・・・・)にしようと思ってる」


 トシの基本構想を聞いて、幹部たちが少しざわつく。


「芳俊様、具体的にはどのようにお考えなのでしょうか?」


 代表して、ハルナガが尋ねてくる。


「基本的には居住用の建物と仕事用の建物に分けようと思ってる。それを俺らのコテージと一緒にまとめて配置して、何かあった場合は丸ごと(・・・)結界で覆えるようにしたいんだよ。その為にも、建物の大型化と集約化は必須なんだ。その辺は何とか納得してくれ」

「なるほど、防衛も兼ねてのお考えでしたか。分かりました、御心のままにお進め下さい。そのようなご配慮であれば、我らに否やはありません」

「そう言ってくれると助かるな。まずは町まで行ってみないと、はっきりしたことは言えない部分が多くてな。町から帰ってから改めて今後の方針を定めようと思う。それまでの間はここで準備、という事にしよう」

「分かりました。昨日の話しの通りで進めてよろしいですか?」

「ああ、それに関してはもう少し変えようと思ってる。まずは我々が出かけている間の役務についてだが、農業班は採集班の支援で採集に回ってくれ。防衛班から第三と第四分隊は採集班と農業班の護衛に付いて、森に出てもらいたい。防衛班の残り、第一と第二分隊は村で待機。防衛班はジュズマル、お前が指揮を取れ。それから哨戒班は、第一と第二分隊が哨戒活動、第三と第四分隊が狩猟班に交じって狩りを行ってくれ。狩猟班は班長を一時的にタダツグに任せる。内務部の残りの班は狩りの獲物の処理を全員で行ってくれ。内務部はハルナガ、お前に任せる。内務部の皆は、この機会に解体を覚えてもらいたいので、調理班と狩猟班は指導を頼むぞ。以上の様に一時的に役目を変える。目一杯、狩りに力を注いでくれ」

「「「は!」」」


 幹部全員の返事にトシが最後を締める。


「出かけるのは明後日を予定している。明日はその用意だ。アイアンボアの皮を含めて、今の段階で村にあるものを一通り持って行ってみる。明日一日をそれに充てたいので、今日中に用意を頼みたい。量は気にしなくていい。あるだけ持って行ってみるつもりだ。以上、今回の幹部会は終了とする。今後の幹部会は必要とあらば随時開くので、招集がかかったら直ぐに集まって欲しい」


 終了の声を聞いて、三々五々幹部たちがコテージを後にする。

 その中で、タダツグが一人残っていた。


「御三方様、細かい話しで恐縮なのですが・・・、この建物、何とお呼びすればよろしいですか? 仲間内でも話題になりまして、この建物は何と呼べばいいのかと・・・」

「コテージ、じゃあ味気ないか・・・」


 ナベが会話を聞きつけ混ざって来る。


「城、って程でもねーしなあ・・・」


 タツヒロも考え込んでいる。


「・・・、そのままオリオンの頭(メイサ)でどうよ」


 タツヒロの提案に、トシが反応する。


「おお、そう来たか。いいんじゃね?」


 ナベも賛成らしい。


「メイサって? オリオン座の頭部の星の名前? いいねえ」


 サムズアップ付きだ。

 最後は、トシがまとめる。


「タダツグ、今後はあの建物はオリオンの頭(メイサ)と呼んでくれ」

「分かりました。皆にも伝えます」


 そう答えてその場を辞するタダツグと、それを見送る三人であった。

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