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1.パルミジャーノ・レッジャーノ☆

私は、自称友だちにいじめられている八方美人美少女の明石優理の側にいます。

私から、自称友だちと言っているわけではありませんよ。

あの子が、私の友だちを自称しているのです。

おおかた、『友だちのいない子の友だちになってあげている心優しい私』と上から目線で優越感に浸っているだけでしょうけどね。

慰めるなんて、人付き合いの苦手な私にそんな高等技術はできません。

せいぜい泣き止むまで側にいるくらいですね。

とりあえず、彼女のハンカチが涙で濡れてしまって使い物にならないので私のハンカチを手渡した。

そんな時です。

彼女の下に、光り輝く魔方陣が出現したのは。

私は巻き込まれるように、魔方陣に吸い込まれた。


気が付けば、真っ白な空間にいました。

そこには、神々しいまでのイケメンがいました。

「うむ。そなたは私がここに呼び出した。正直なことろ、そなたは異世界の巫女に巻き込まれてこれから異世界に行く。これは、決定事項。拒否権はない」

そんなことを聞きたいんじゃない。まず、心の底から謝罪しろと言いたい。

それと同時に、この自称神じゃ謝罪することを思い至らないんだと思った。

黙り込んだ私を不審に思った自称神は、

「ん?元の世界には戻れない一方通行な異世界召還だぞ」

この時の私は、狙い定めた獲物を狩る目だったと思う。

私は即座に愛用の釘バットを取り出しイケメンの顔を変形するまで殴りつけた。

「わ、私は神だぞ!!!」

なるほど。やはり直接攻撃でないとあまり効果はないらしい。

私は自称神を思い切り踏みつけて、釘バットを直してメリケンサックを手にはめた。

私は自称神を無理矢理立たせて顎をめがけて殴った。

そして、体を足蹴りした。

なぜか、心を折ったらしい自称神は許しを請うように泣きながら土下座し、

「そなたは異世界の巫女に巻き込まれた形で異世界に行く。チートをつけてやろう。嬉しいだろう」

「いや、いらんわ」

絶望した顔をする自称神。

「そんなのより、異世界の言語補正と異世界文字を読み書きできるようにして下さい」

「そんなことだけでいいのか」

余計な力を使わなくて安心した自称神。

「じゃあ行け」

全力で追い出す自称神。

「あぁ、忘れるところだったがお前は異世界の巫女と違って日本語表記の言葉は通じんぞ」

落ち行く瞬間にそう言う自称神。

その時、私は上辺だけでも謝罪の言葉を口にしろと思った。


落ち行く感覚がなくなった時には、どこかのお屋敷前にいた。

そして、馬車がお屋敷の前に止まった。

馬車から出てきたのは、悪役顔の小父様だった。

「誰だ、お前は」

続いて、お屋敷の門から出てきた執事は、

「おそらく、異世界人だと。文献に載っている異世界人の服装ですので」

「なるほどな」

「城に届け出ますか?」

「いや、必要ないだろう。先刻、異世界の巫女が召還されたと聞いたしな。不幸にも巻き込まれたのだろう」

「そうですね」

「こちらで保護しよう。戸籍などどうとでもなる」

「分かりました。すぐに手配いたします」

「頼んだぞ」

そう言って、執事はこの場を去って行きました。

「娘、魔法は使えんのだろう。特技はあるのか?」

「特には。敵を物理的に叩きのめすことぐらいですね」

笑顔で言い切った私に悪役顔の小父様は顔を青ざめさせて、

「それで十分だ。娘の専属侍女にしよう。年齢的にも最適だしな」

なんでも、この異世界での戸籍を作るのは簡単なようです。お貴族様限定で。

お貴族様には戸籍があるが、平民にはない。

平民が、お貴族様の元で働く時にだけ身元を確かにするために戸籍を作るのです。

ちなみに、あの自称神の言う通り日本語表記である私の名前は発音すらできませんでした。

なので、『パルミジャーノ・レッジャーノ』と名乗りました。

これは、先日食べて美味しかったスウィーツのフレーバーの一つ。

自己主張しすぎるチーズのお味が美味しかったからです。


さて、泣き虫で八方美人な彼女はこの異世界でうまくやっていけるのでしょうか?

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