第一章 ムーンランド
家に着き、課題もやらずに本を読み始める。
どうやらオムニバス形式の短編集らしい。
『哀しみのコフォロー』
ある雪の夜、少年は一人の少女と出会う。
運命的な出会いに、すぐに二人は惹かれあうが、少女は魔女コフォローだった。
見つかれば殺されてしまう立場。コフォローは、少年を巻き込む訳にはいかないと姿を消す。
少年は突然姿を消した少女の行方を探す。
一方コフォローは魔女狩りをする女に捕まってしまう。
コフォローの処刑は二日後。
少年は、処刑場所に来てしまう。
少女の正体が魔女だとしった少年は、なんとか助け出そうとするが、処刑の火は放たれてしまう。
少年は、制止を振り払い、炎の中に飛び込んでしまう。
そこに少女の姿はなかった。
コフォローは大きな鳥に変化して、逃げていた。
少年は、一人炎に焼かれて死んでしまう。
そのことを知ったコフォローは三日三晩、何日も何日も泣き、最後には一枚だけの黒い羽になった……。
お伽噺…言うなればファンタジーなお話を集めたものらしい。このような話を呼んだのは幼稚園ぐらいが最後かもしれない。童心に戻ったような気持ちで、どんどん読み進めていった。
『幽霊屋敷の化け物』、『ジプシーと星の屑』、『花姫』、『手品師ユーカ』、『海の小さな願い』、『パッチと少女』…たくさんのお伽噺があった。夕食や課題、入浴をはさみながら、一日にして玲愛は半分ほど読んだ。
寝る前に最後の話を読もう…。つぎのお話を読み始めた。
これいつかシリーズになったらいいな。