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天皇と古代豪族葛城氏、詩経と万葉集と遊部の人麻呂

 最近、古代豪族の葛城氏の本とか、白川静さんの万葉集の本とか読んでまして、古事記の頃の古代社会の様子が何となく見えてきています。


 天皇家がどこから来たのかはあまりハッキリしないのですが、九州の倭人というか、安曇氏、宗像氏、隼人などの海人族を束ねて東征を行ったのは確かのようです。滋賀県近江、琵琶湖の湖上交通を司った息長氏、和邇氏とかも天皇家に協力的だったようです。


 ところが、河内というか、奈良などに最初から居住していたと思われる古代豪族葛城氏は奈良盆地を天皇家と二分していて、大和朝廷で外交軍事面で活躍していました。渡来人を多くかかえていたためか、かなりの勢力を誇っていたようです。


 葛城氏は吉備氏、紀氏、尾張氏などの海人族と連携し、天皇家には王妃や妃を送り込んで権力基盤を固めます。


 ところが、倭の五王の武、雄略天皇の時に葛城氏と海人族との連携を引き裂く謀略の数々が実行され、この頃、吉備氏などに対しても反乱鎮圧の名目でかなり弾圧が加えられます。その時の天皇家のやり口は吉備氏を朝鮮へ赴任させて、その隙に奥さんを奪うという悪逆非道なものであったようです。この話は古事記、日本書紀などにはっきり書かれたりしていますが、反乱を誘発しておいて、罰を下すというマッチポンプのような手段でした。


 尾張氏、紀氏などに対しても同様だったようで、後に尾張氏、忌部氏の末裔である織田信長による天皇暗殺未遂などの遠因になったのかもしれません。本能寺で信長を討った明智光秀は天皇を護る海人族の末裔であったのだろうと思われます。明智光秀の子孫が高知の坂本家(坂本竜馬)として落ち延びていたという伝説?も有名ですが、明智光秀の坂本城が由来と言われています。


 どうも日本史には天皇家と対立し滅亡した葛城氏の一族の蘇我氏など、常に敵対派閥の存在が見え隠れします。蘇我入鹿暗殺の大化の改新もまた、天皇家を中心とした律令国家づくりに必要なことだったのでしょう。


 

 そういう古代豪族が活躍した連合国家としての大和朝廷が崩壊し、天皇家中心の律令国家体制が出来上がる時期に万葉集が出来上がり、それ以前に古事記、日本書紀も書かれることになります。


 それは古代に神々に仕えた呪術師、巫覡の時代が終わることを意味していました。


 実際には天皇家などに仕える陰陽師などとして賀茂氏、安倍氏、後の土御門家などとして生き残ります。万葉集の前期に活躍した宮廷歌人にして呪術師である柿本人麻呂は、持統天皇に仕えて天皇祭祀にまつわる吉野行幸に同行して、多くの呪歌を万葉集に残したようです。


 天皇祭祀は鎮魂祭(みたまふりのみまつり)と言われるもので、「魂振り」「魂鎮め」が基本ですが、人の魂は身体を放れやすいので「魂鎮め」によって身体に結び付ける。「魂振り」によって神を招いて魂を奮い立たせて、生命力を活性化するという儀式があったようです。


 冬至の日(一陽来復、太陽復活の日、ここから昼の長さが伸びていくので)に聖地に赴いて亡くなった先代の天皇霊の継承を行う祭祀や、花を摘んで神に誓いを立てて旅に出た夫の無事を祈る呪術など、万葉集の人麻呂の歌や中国の詩経の歌にはそういうものがあるそうです。


 備前に物部氏の石上布都御魂神社いそのかみふつみたまじんじゃというものがありますが、ここから神宝などが奈良の石上神宮に移されたと伝えられています。


石上布都御魂神社いそのかみふつみたまじんじゃ

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E4%B8%8A%E5%B8%83%E9%83%BD%E9%AD%82%E7%A5%9E%E7%A4%BE


石上神宮では主神は布都御魂大神ふつのみたまのおおかみですが、配神として「布留御魂大神ふるのみたまのたいしん」を祀ってあり「天璽十種瑞宝あまつしるしとくさのみづのたから」の伝承があります。


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 物部氏の遠祖・饒速日命(にぎはやひのみこと)が、高天原より天降られる時、天津神から「天璽十種瑞宝あまつしるしとくさのみづのたから」を授けられました。この時「もし痛むところあれば、この十種瑞宝(とくさのみづのたから)を、一二三四五六七八九十ひとふたみよいつむゆななやここのたりやと言って振りなさい。ゆらゆらと振りなさい。そうすれば(まか)りし人も生き(かえ)らん」とお教えになりました。この天璽十種瑞宝は「十種神宝(とくさのかんだから)」とも称えられる、十種類の神宝です。


瀛津鏡(おきつかがみ)

辺津鏡(へつかがみ)

八握剣(やつかのつるぎ)

生玉(いくたま)

足玉(たるたま)

死返玉(まかるがへしのたま)

道返玉(ちがへしのたま)

蛇比礼(へみのひれ)

蜂比礼(はちのひれ)

品物比礼(くさぐさのもののひれ)」の十種で、「亡くなられた人をも蘇らす」霊力を秘めています。



石上神宮


主祭神

布都御魂大神ふつのみたまのおおかみ - 神体の布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)に宿る神霊

配神

布留御魂大神(ふるのみたま-) - 十種神宝に宿る神霊

布都斯魂大神(ふつしみたま-) - 天羽々斬剣あめのはばきりのつるぎに宿る神霊

http://www.isonokami.jp/shinwa/shinwa2.html


十種の神宝(とくさのかんだから、じっしゅしんぽう)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%81%E7%A8%AE%E7%A5%9E%E5%AE%9D



十種神宝|最強!十種祓詞と布留の言で起死回生の霊力を覚醒させるのだ!

https://spiritualjapan.net/%E5%8D%81%E7%A8%AE%E7%A5%9E%E5%AE%9D%EF%BC%88%E3%81%A8%E3%81%8F%E3%81%95%E3%81%AE%E3%81%8B%E3%82%93%E3%81%A0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%89/


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 何故かここで「ホツマツタエ」のサイトに跳んでしまうのですが、この非公認の神道系古文書によると、万葉集における天皇祭祀の謎がいろいろと解けてきます。


ホツマツタエのおもしろ記事(1)   和歌

http://divinehuman.blog.fc2.com/blog-entry-11.html


■ほつまつたえ 天の巻1 きつのなとほむしさるあや【東西の名と蝕虫去る文】

http://gejirin.com/hotuma01.html


 この記事の注目点はヒルコが「両親の厄年の厄を避けるために、三歳の時に流される」という部分で、百襲媛ももせひめも「三歳の時に讃岐に流されてる」んですよ。


 たぶん、これは古代の逸話に倣って、百襲媛ももせひめを巫女として育てるために同じようなことをしたんだと思います。


 それはともかく、「和歌」がヒルコ=「ワカ姫」の名前から来ていて、田んぼのイナゴ祓いの呪力をもつ巫女さんだったことは確からしいし、それが和歌山の由来にもなってるようです。

 

 ということで、「ほつまつたゑ 解読ガイド」(http://gejirin.com/index.html)のエピソードを読み込んで、万葉集とか、古事記、日本書紀を読んだ方がいいようです。


 これらの古文書のオリジナルのエピソードが「ほつまつたゑ」にあるというトンデモ展開ですが、まっさか最初にこのエッセイを書き始めた時には思いかけなかった結論になりました。


 これのネットのハイパーリンクの神様のお蔭でしょうか?


 ともかく、古代の人々の思考体系や呪術文化を理解しないと意味が分からないようなので、ちょっと「ほつまつたゑ」読んでみます。


 ちなみに、遊部というのは、白川静の漢字学から「神と共に遊ぶ」部の民がいたというところから来たようです。

 

 呪術の本質は神や自然との通信、交流なのでそれは当然なんでしょうが。






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