解放
そんな中で一匹の亀が落ちていた。
それはまぎれもない亀であったその亀は鳴いた。
「あぁゔー」
鳴く亀など聞いたことないがその亀の鳴きで場の沈黙は崩れ音が帰ってくる。
音は一斉にまるで吐き出すかのように轟音が響く。
「ぼぉどぉびぃゃじゅごー」
もはやなんの音が元なのか分からないくらいであったがかすかに飴子の悲鳴が混ざっていた。
「やばいなこれ」
「今さら引き返せないだろ」
亀はさらに鳴き続ける。
「あぁゔーあゔぅー」
「亀うるせえな一瞬聞こえた飴子の声がわかんなくなっちまっただろうが」
「あゔぅーあゔぅーあー」
三木が黙らせようと抱きかかえると更に鳴き喚き収拾がつかなくなった。
そして亀が三木の手から落ちそうになり折岡がキャッチしたら静かになり他の音も一斉に止まる。
不穏なぐらいの静けさがまた戻る。
しかし前とは違いちゃんとライターをつければカチカチなるし虫の音も聞こえるし足音も聞こえる。
そう自分たち以外の足音も後ろから近づいてくるどっさりした音も。
物理的な地蔵の迷信的な力とは思えない大きな足音が近づいてくる。
「これは逃げますかね」
「飴子かもしれないだろ」
「飴子だとしても原型を留めてないかもしれないけどいいのか」
「飴子ちゃんなら助けてあげたい」
「助けるってゾンビをか」
「まだ死んだわけじゃないだし」
「姉がいる前でゾンビとかいうか普通」
「飴子が生きてるならちゃんと助けてあげたい」
「晴子がそういうならみるか」
「どんな結果でもいいのかい」
「じゃあ飴子じゃないかゾンビなら即逃げる、飴子だったらどうする」
「そのまま地蔵探しに向かうでいいか」
「うん」
音が速く更に大きく近づいてくる
「さあお出ましだ逃げる用意はいいかい」