山に入る
ゆっくり怖くしていきます
恐ろしい魔物が住んでいる山にわざわざ命を売渡に行く愚か者はいないだろうし、生きたら帰ってこれない危険な場所に罰ゲームでもなく自分の意志で行く阿呆はいない。
しかしそれらは危険があるとわかっているからであって何にも危険がない安全だと思われてる場所に行くときには躊躇いも対策も何もしない。
地元の精肉店に行くのに完全武装で行くなどはしないのと同じようであるがまた少し違うともいえよう。
今日の主役である引き抜き地蔵は明らかなる危険でまがまがしい雰囲気を山中に漂わせていて近づくなかれと山を使って表現している。
しかしそのあまりに大きい邪気が大きすぎて目をそらし気づかない者もいる。
気づかなかった者の末路をお伝えしよう。
あくる日の朝ではなく日没頃に引き抜き地蔵がいらっしゃる鍬慈山に何も知らない気づかないのんきな観光客が4人ほど訪れ道なき道を進んでいった。
ちなみにだが、山に入る前にはふもとで小店を商んでいる老婦が山に行くのを止めたが見向きもしなかった。
老婦は止められなかったことに心悩ませているが致し方がないとして床に入っている。
老婦が心配してることも知らずに危険も顧ず山に吸い込まれるかのように入ってゆく。
これも山、というより地蔵の力なのだろうか。
山に登った者たちは人数的に山に登るにはいかがわしさがある組み合わせだが11月の終わりともなればこの地域は亜寒帯と変わらぬほどの寒さになるのでよからぬことはそうそう有り得ない。
ならば何故登るのだろうか?
こういう場合によくあり得るのはオカルト研究会、超常現象隊といったサークルでの不思議な現象の究明について訪れる場合が多い。
だがそれといった器具もなく日帰り野宿程度の重装備でもなく軽装備でもない目的を想像できない装備をしている。
しかし彼らの目にはしっかりとした意志が薄らに現れている。
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