こちら悪の戦闘員派遣協会
もっと色々ネタを入れたかった・・・
「はい、こちら悪の戦闘員派遣協会です!・・・ああ、これは将軍さま、いつも当社のご利用どうもありがとうございます。本日はどのようなご用件で・・・ええ、ええ、はい、え?銀行強盗ですか?それはすばらしいですね!!ええ、本日?それはさすがにこちらの人員調整が・・・、それに間もなく銀行は終業時間ですし、え?終業してから襲ったほうが被害が少ない?流石は将軍さま、世界を狙うにはまずは市民への配慮が必要ですからね!ええ、ええ、ですが申し訳ありません、流石に本日ですと人員の用意が・・・、ええ、明日であれば、はい、それで襲撃される場所は?・・・なるほど、まだお決まりではない、と。それでしたら、当社にてターゲットを選別しておきます。いえいえ、コレも当社の業務の内ですから、はい、では詳細は明日の朝にはメールにてご連絡差し上げますので、はい、では失礼します」
電話をおく。
途中からこちらを見ていた部下達に向かってホワイトボードへ要点を書きながら指示を出しはじめる。
「さて、聞いていたな、クライアントは将軍さまだ」
当社のお得意様の一人。世界征服を狙うとある組織のトップだ。
「今回は活動資金調達のための銀行襲撃だそうだ!では各自担当すべきことを言え!」
一人が立ち上がって言う。
「襲撃先の銀行を調整します!そろそろこのような話が出るだろうと、既に内諾を得ております。明日の業務後と言うことで調整します!」
「うむ!くれぐれも『撮影』であることを強調し、『贋金』を準備してもらえよ!」
新たに一人が手を上げる。
「では、私は道路使用許可申請等、各種使用許可を警察および関連公安機関に提出しておきます!」
「そうだ!書類が通れば『撮影』と強弁できる!」
「私は撮影隊を組織し、用意いたしますね!」
「ああ、頼む。画像をTV局へ持ち込んで『次回作』を造ってもらわねばならないからな!」
「では、正義の味方への連絡を行いますね。」
「ああ、将軍の相手をしている正義の味方はどうだったか?」
「大丈夫です、変身するだけで巨大化はありませんし、メカの登場もありません。」
「そのへんは登場させるとなると各部への調整が難しいからな、そういう意味では将軍はやりやすいな。」
その後も懸念点を洗い出し、一通り準備作業が出尽くし、皆取り掛かり始めた。
一人手の空いた新人が、
「しっかし、『悪の組織』は毎度毎度お金の調達に色々苦労していると言うのに、正義の味方はどうしてるんですかね?」
とつぶやいた。
「おいおい、所謂『勇者』を思い出してみろ。大半は国家権力がバックにいるだろうが。」
「・・・そういわれれば確かに、所謂勇者さんたちは宇宙的な何かか、少なくとも警察がバックにいた気がしますね。」
「まあ、中には私費且つ趣味で勇者をやっていた例外もいるけどな。」
「しかし、変身する人・・・あ、いや巨大化するほうじゃなくて、今回みたいに変身する正義の味方は?」
「おいおい、それこそ『スポンサー』様の出番だろうが、それこそ変身ベルトだのなんだのいっぱい売り出されているだろうが。」
「え、もしかして」
「画像や設定として表に出てきていないだけで、支援組織が存在すると考えるのが妥当だろうが。」
「・・・なるほど、確かにそうですね。」
「番組の大体半分ほど過ぎたところで武器が新しくなったりするのも、正義の味方を続けるには致し方ないことなのだよ。」
「世知辛い世の中ですね。正義の味方も金次第ですか。」
「後人気しだいと言うことだな。」
「やっぱ世知がらいっすねぇ。しかし、毎回思ってるんですけど、悪の組織は自前で活動費を稼いでるんですよね?・・・今回みたいに大掛かりなのは撮影ネタにされて失敗しがちですけど」
「そうだな」
「それに比べて正義の味方の優遇されっぷりは・・・」
「毎度毎度インチキ商売をまがりなりとも成功させ、毎回新しいロボを造っていた例のドクロ印の泥棒三人組とか、悪の組織はその労力の使い方を間違っている場合は確かに多いな。」
「そうだ、子供のころ気になってたんですけど、敵組織の幹部は例外なく個性がバラバラじゃないですか、アレは何でですか?」
「うん?そうか、お前まだ入ってから短いからな、知らないのか。うちの社には強力なライバル社が何社かいるんだよ。」
「へ?」
「お色気担当の女幹部を提供する『悪の女幹部派遣組合』だろ、奇天烈だけど優秀な科学者の多い『狂科学同盟』、他にも『戦闘は筋力』とか、な。」
「もしかして大抵の悪の組織で幹部の仲か悪い理由って・・・」
「それぞれライバル社からの派遣組みだからな、そりゃしょうがないんじゃないか?」
「劣勢になったときだけ無駄に協力したりするのも・・」
「派遣先がなくなったら契約金がもらえないだろうが!」
「世知辛い世の中ですねぇ・・」
「さて、そろそろ戦闘員の選別に行くか。少なけりゃ戦闘員もやらなきゃいけないし。」
「この年であの全身タイツはいやなんですけどねぇ。」
「当社の業務内容はなんだよ?」
「悪の戦闘員派遣、ですよね。」
「ならば、悪の戦闘員を派遣するのが主担当だろうが。」
「それにしちゃ、業務内容が・・・」
「俺らがこうやっていることで警察や公安が動くことなく、でも子供はなぜか知っていると言う世界観を維持しているんだ、むしろ誇りに思わなくてはならんぞ!」
「・・・ウチの組織も労力の使い方間違えている気がするんだよなぁ・・・」
「何か言ったか?」
「イーーーッ」
電撃のように思いついたので書いた。反省はしていない。
もっと色々書く腕前がほしいので後悔はしている。
既に誰かしらネタにしていそうな話ですけどね。