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第21回SFサバイバルゲーム  作者: 野川太郎
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認め合い

 正一はなんとか工場にたどり着き、林と合流することができた。

「これから、どうすっかな?」

 正一は味方が減ってきたために勝てる自信がまったくなかった。

「う・・・・ん」

 林もニヤニヤ顔がなくなってきていた。

「学校に・・・行けば・・・何とかなる・・・かも」

 林が言った。

「そうだな。分かった」

 正一は林の言うとおりに行動することにした。

 林の自己主張で動いたのは生まれて初めての様だった。たぶん。

 二人は工場を出ようとした時、敵がいることが分かり、二人は工場に戻らざるおえなかった。

「くそーこんな時に」

 正一は小さな声で言った。

「林、あっちいけ、もし中に入ってきても攻撃しやすい」

 林は正一の言われたとおりにし、離れていった。正一は銃を取り出して敵が来るのを待った。

 できれば戦いたくない。気づかれずに去ってくれることを期待したものだ。

 正一は冷や汗をかきながら敵の動向を待った。すると、敵は工場の中に現れた。五人いたが、皆身長が低く、偶然ここにやってきたような感じで詮索する気がなさそうであった。

 早く消えろ。

 正一は五人の内の誰かに攻撃が当たるように狙いを定めた。林はガラクタを盾にして隠れていたが物音を立てずに待っていた。

 これが高倉ならテレビみたいに物音を出して敵に見つかるだろうな。

 正一は物音を立てないように気を配りながら五人を監視し続けた。すると、予想外のことが起きた。林の携帯電話が鳴ったのである。

 くそーこんな時に。

 五人はすぐに林の方向に顔を向けて銃を構えた。すると、林が先に攻撃をした。一人に当たり、消えていったが、まだ四人残っている。正一はその時、二つの考えが頭をよぎった。一つは林を援護して戦うということ。二つ目は林をおとりに自分一人だけここから逃げることである。

 正一はどちらを選ぶか迷ってしまった。

 いつもの俺なら迷わず逃げる方を選択するのに、その選択をすると後悔するような気がする。くそー どうすれば。

 しかし、正一は気がついた時には行動していた。銃を敵に向けて攻撃したのである。また敵の一人に攻撃が当たったが、まだ三人いる。正一はシールドの立体税像みたいな膜を傘のように展開して体を守った。敵は正一の存在に気がついて顔を向けた。正一はシールドで体を守りながら工場を後にした。二人の敵がその後を追う。正一は後ろに下がりながら攻撃したが、敵には当たらなかった。敵の攻撃も正一が持っているシールドに阻まれた。正一は走るスピードを速めて工場から完全に離れていった。

「こっちだ」

 正一は大きな声で言った。少し調子に乗ったのだ。すると、他の敵が四人現れてしまった。その四人は二人の敵の後ろから現れ、計六人と戦うことになってしまった。

 マジかよ。六人に追われるなんて。くそー早く逃げればよかった。

 正一は工場の近くにある公園に入っていった。そこには誰もいなかった。正一は近くにあった水道が付いているブロックに身を寄せた。

 何だ、これ? 

 正一はスナイパーライフルらしきものを見つけた。シールドを地面に置き、手に持ったライフルを眺めながら、引き金を引いてみるとレーザー光線が上空に飛んでいったのでこのゲームのアイテムだと理解した。

 何でもいいから使ってみるか。

 六人の敵生徒が二人ずつ公園の入り口にやってきたので、正一はライフルとレーザー銃の二丁の武器をブロックの上に乗せて攻撃した。すると、一人に光線が命中。慌てた彼らは公園の入り口付近の塀に身を寄せた。正一はかまわず攻撃し続けた。敵も攻撃してきたが、正一には当たらない。

 このまま適当に攻撃して逃げよう。ライフルを持って。

 しかし、敵はシークレットアイテムを使ったのである。敵の一人が青い板状のものを投げたのである。正一は何がしたいのかかいもく検討がつかなかった。すると、その板から、正一が持っているシールドと同じ立体映像みたいな膜が長方形に表れた。正一はその膜に攻撃したが貫通することはなかった。

 壁ができたのか・・・

 敵生徒たちは正一と入り口との間の距離にできた高さ二メートルくらいの壁に集まった。正一は攻撃したが当たらなかった。そして、敵はまた同じアイテムを地面に投げて二つ目の壁が現れた。

 やばい、このまま壁が出てきたら俺がいる所まで来てしまう。ここから逃げてもいいが体力に限界を感じる。だから、もう少し休憩が必要だ。

 正一は焦りを感じていた。二丁の武器で攻撃していたがすべて壁に当たって敵は倒せない。すると、敵が壁から壁に移り、ばらばらになって反撃のチャンスを伺っていた。そして、敵の二人が正一を左右から攻撃しようと動いた。正一は負ける覚悟をした。すると、とてつもなく大きな光が二人の敵に当たった。敵はそれに慌てたが、その光はまたやってきた。正一から見て右から左に向かって放たれていた。残りの敵全員にその大きな光が当たり、全員消えていった。

 一体何が起こったんだ。ずいぶん太いレーザー光線が放たれたようだが。

 正一は水道つきのブロックから体を出した。すると、重そうな武器を両手で持っている氷川が立っていた。

「お前、生きてたんだ」

 正一はうれしくなった。仲間が一人増えたからだ。しかし、彼女は妙に不機嫌であった。

 さっき俺が怒らしたから不機嫌なのだろう。

 すると、彼女は武器を正一に向けたのである。

「どうしたんだよ」

「私に謝って」

「はぁ」

「私に謝らなかったら撃つわよ」

 氷川は本気の顔であった。

 やべい、そうとう怒らせたんだな。でも、謝らないぞ。俺にだって少しはプライドがあるんだから。

「やだよ。何で俺が謝らないといけないんだよ」

「あなた、女性を傷つけて何とも思わないの」

 氷川は武器を正一に向けたままだ。

「ああ、俺はそういう人間だからな」

「素直になったらどうなのよ」

 正一は氷川の言っていることが理解できていた。でも、認めたくなかった。

「俺はいたって素直だよ。お前こそ、俺を撃とうなんて考えるなよ。いいじゃないか友・・」

 氷川は引き金を引いた。その武器から放たれた光はどの武器のレーザー光線よりも太かった。その光は正一の左肩を通ったが当たらなかった。

「謝って」

 氷川は正一を完全に脅していた。

「やだ」

 正一もむきになってきた。

「謝れ」

「嫌だ」

「撃つわよ」

「それはやめろ」

 氷川はもう一度引き金を引いたがそれも正一には当たらなかった。

「どうして私友達ができなかったと思う」

 氷川は涙を流していた。正一はその光景に動揺してしまった。

「私、何か悪いことしたのかしら」

「そんなことないだろ」

 二人の間に長い沈黙が流れた。

「ごめん、酷いこと言って」

 正一が謝ったのだ。本人も自分がそんなことを言うなんて思っていなかった。しかし、口が勝手にしゃべってしまったのである。

「え・・・」

 氷川も驚いていた。

「謝ったんだから、武器下ろせよ」

 正一はすごく照れくさくなった。

「あ、うん」

 氷川は武器を下ろした。その後、二人は妙に照れくさかったので何も話さなかった。しかし、ずっとその状態にはできなかったので正一が口を開いた。

「林、助けなきゃ」

 正一はレーザー銃をポケットにしまい、シールドとライフルを持って工場に戻ろうとした。氷川もその後について来た。

「林ぃ」

 正一は工場に入っていくと林が腰を下ろしていた。

「ま・・・ったく・・・疲れ・・・たよ」

 正一と氷川は笑った。それから三人は公園に戻って敵が使ったシークレットアイテムを回収して使い方を学んだ。

「俺たち三人だけか」

 正一が言った。

「勝算はあるのかしら?」

「分からないけど、こっちには三つのアイテムがあるからどうにかなるかもしれない」

「が・ん・ば・れ」

 林がニヤニヤしながら調子に乗った。

「お前も頑張るんだよ。林」

「じゃあ、作戦を立てましょう」

 氷川が重そうな武器を地面に下ろした。

「仲間を集める方が先だぜ」

 正一が言った。


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