不意撃ち
「不意打ち最高」
正一は小さい声でつい言ってしまった。
広大な茂みに隠れれば、簡単には見つからない。ゲリラみたいで少し嫌だが、俺にはこういう攻撃が一番似合っている。
正一は、別の所にいる氷川が一人を倒したことが分かった。
後二人か。顔は知ってるが名前が出てこない。誰だっけ? 金髪とパシリの二人は。
正一は、茂みに隠れた二人を探していたが、簡単には見つからない。
変に探しても、草を掻き分ける音で見つかってしまう。今日は風が吹かないため、余計に音が目立ってしまう。ここはあえて動かない方がいいかもしれない。
正一は集中して音を聞き分けた。敵の二人は坂を下りて茂みに入っていった。
音がいくつか聞こえる。だんだん大きくなる。誰かが近づいている。体勢を低くして迎え撃とう。
正一は膝を曲げて体勢を低くして銃を構えた。風が少し吹いてきたので、音が聞き取れない。すると、茂みに金髪をした生徒が見えたので、正一は少しずつ彼に近づいた。
風が吹いているから、近づいても音がかき消されて気づかれない。やつを倒して、最後の弱そうなやつを適当に倒す。
正一は、絶対に攻撃を外さない所まで近づき、銃を構えた。
もらった。
正一が引き金を引こうとした瞬間、別のレーザー光線が金髪に当たるのを正一が見てしまった。
氷川か。良い所を獲られた。
正一は、金髪が消えたのを確認し、レーザー光線が飛んできた所を見た。正一は茂みでよく見えなかったが、男子生徒が茂みから離れるのを見た。
氷川じゃない。しかも、敵の男子生徒だ。何で味方を攻撃したんだ。まあ、どっちにしてもあいつを倒すまでだ。
正一は後を追いかけるために、茂みを掻き分け始めた。敵の生徒は茂みを出て、上り坂にある小道に向かっている姿が見えた。正一は後を追い、茂みを出て、彼に対して銃を向けた。
「待って」
氷川が茂みから出てきて、狙撃を止めた。
「どうして止める。邪魔するなよ」
正一は再び、銃口を彼に向けた。
「やめてったら、彼は私を助けてくれたの」
「何、助けたって何だよそれ?」
正一は訳が分からなかったが、とりあえず銃をしまい、氷川の話を聴くことにした。
「彼は私を倒せたはずなのに、銃すら私に向けなかったのよ。そしたら、金髪の生徒が来たんで私が慌てて銃を構えようとしたら、彼が味方の金髪の人を倒しちゃったの。変な話だけど本当よ」
確かに、金髪を倒したのは姿が見えなくなった彼ってことは、俺は分かっている。でも、変な感じだ。味方を攻撃するなんてな。でも、少し前は俺もこの女を攻撃しそうになったし。まあ、いいか。
正一はブレスレットから地図の映像を映し出した。
「さて、これからどこに行こうか?」
「私といっしょにいるの?」
氷川が意地悪な質問をしてきたので
「いっしょにいてやるから着いて来い」
と偉そうに言った。