悪い生徒
「ったく、なんであいつら足があんなに速いんだよ。くそ」
D地区の隠し転送装置で東側に来た金髪に染めている上野達也は不満を口にしていた。
「早くしろ。金田。とろいんだよお前は」
上野は後ろにいた二人の仲間の肩をどけて、金田の所に行き、胸ぐらを掴んで言った。
「お前がとろいから二人を取り逃がしただろう。ったく、聞いてんのかよ、金田」
上野は今にも泣きそうな金田の頬を、悪意を込めて一発ビンタを食らわした。
「僕が悪かったよ。今度はもっと早く走るから」
金田は目を逸らしながら言った。
「次は気をつけろよ。くそが」
上野は掴んでいた胸ぐらを離し、二人の仲間と並んで取り逃がした二人を負うことにした。坂を下った所にある小道を西に進んでいったが、上野にとってはとても退屈な道であった。
「本当、つまんねー道」
上野は銃の引き金の所を右手の中指を使ってくるくる回しながら、二人の仲間とたわいのない会話をしていた。金田は一人後ろの方で何も言わず歩いていた。
「おい、金田。何かしゃべれよ」
上野の怒鳴る声がしたので、金田は慌てて何か言うことは無いか考えたが、考えるより恐怖心に駆られてしまい、何も思いつかなかった。
「ったく、本当に使えないやつだ。な、お前ら」
上野は金田を無視して進み続けた。
道は砂利道ばかりで足を下ろした時の砂利の音がマジでうぜぇ
上野はレーザー光線を空に向かって何発か撃った。別に何も起こらないが。
聞こえるのは、俺たちの足音だけ。早く、C地区の公園に行きてーな。敵を倒すのは最高の快感だし。
「よし、決めた。C地区に行くぞ。いいな。おい、聞いてるのか金田」
金田は空を見上げていた。空は濃い雲がいくつかあり、それ以外はきれいな青空だった。
「おい、金田。何空なんか眺めてんだよ。そんなに上に行きたければそうしてやるぜ」
上田は怒り笑いしながら、金田の所に来た。
「あ、ごめん。C地区に行くんでしょ。分かったよ」
金田は緊張しながら言った。
「次、俺の言葉無視したらどうなるか分かってんだろ」
上野は親指を立てて、首を切るしぐさをした。前で見ていた二人はそれを見て笑っていた。しかし、そんな余裕をすぐに消え去った。
どこからかレーザー光線が飛んできたのである。
前にいた二人のうち、一人がやられた。くそー、どこから撃ってきた。
「茂みに隠れろ」
命令したときにはすでに遅く、もう一人やられてしまった。
さっきの二人が不意撃ちしやがって、俺の専売特許を奪いやがって。