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08 白狼の脅威 ①

今回はライバル出現編になるか…


はてさて、誰になるのやら、あなたは誰だと思います?


気になるなら読むべし



ではどうぞ

(何かハードルが上がっちまった…


「待てって! 待てってば!」


魔理沙は何故か必死に想刃を追い掛けていた。



実は想刃、あれから吸血鬼の紅い館から離れた後、魔理沙とすれ違った数秒後に突然走り出したのだ。


並の人間じゃ決して追いつく事など出来ないスピードで走り、魔理沙を突き放した。


魔理沙は突然想刃が走り出した事に対し焦り、走って追い掛け出したのだ。


飛びもしないで…



「はぁ…はぁ…あいつッ何であんなに走んの速いんだよッ…!」


息が切れて体力の限界のようである。


だが普通に考えて魔理沙は魔法使い。箒に乗って飛べば簡単に追い付ける筈である。


焦って飛ぶのを忘れたのであろうか?


「くそぉ…どうしたら…あ」


そこで魔理沙は気付いた…いや、思い出した。


ーーそういや私…飛べたんだった…


正直言うとバカである。


すると魔理沙は帽子の位置をやや前に傾け、何かを取り出した。


「たく…無視するってんなら、無理矢理こっちに向かせてやるよ!」


魔理沙は“何か”を構えてその“何か”から想刃に向かって青い光弾を発射した。


想刃に向かって飛ぶ青い光弾。


だが想刃は背中から感じる気配、それと僅かに聴こえた発射音を理解し、左手に持っていたターワルを素早く右手に持ち替えた。


直後、想刃は右に反転しながら右手のターワルを思い切り振るう。


想刃が振るったターワルは青い光弾を見事に斬り裂き、断ち切って消した。


ターワルを振り切った想刃は眼孔鋭く強く魔理沙を睨んだ。


想刃に睨まれた魔理沙は思わず後退る。


ーーこいつ、前に私と弾幕ごっこした時とは全然違ぇ…


魔理沙は想刃から恐怖を感じたが、気持ちも高ぶっていた。


「どれ、あん時より違うかどうか確かめてやる…!」


魔理沙が“何か”を片手で力強く握り締める。


想刃は魔理沙がしようとしてる事に気付き、溜め息を吐いた。


「はぁぁ……うぜぇ…」


と、想刃は突然、右眼の眼帯を外した。

眼帯を外した右眼は存在した。


それどころか、いきなり右眼の瞳が緑色に変化した。


想刃も突然の右眼の変化に気付いていた。

何故なら右眼から視える景色にはあらゆる全てに朱い線や点があった。


「目障りだが、まあ良い」


そして想刃は指招きを行う。


「いつでも良いぞ、掛かって来い…」


想刃の余裕のある姿に驚くも、魔理沙は構わず、箒に股がって飛行突進を行った。


どんどんと魔理沙が近づくも、想刃には一切の揺らぎが無い。


それどころか魔理沙の目の前に突然現れた。と、思ったら魔理沙を飛び越え、回転と同時に横に捻りを加えながら剣を振るった。


だがこの行動、僅かに2秒の出来事である。


あまりに一瞬過ぎて魔理沙はただ想刃の真下を通り過ぎただけとなった。


そしてその直後、想刃が魔理沙を通り過ぎる瞬間の真下の地面が無数に深く切れた。


この時点で魔理沙は確信した…


自分より遥かに強くなっているーー。


と…


だがこのままでは挑んだ側としては恰好が付かない為、魔理沙は三枚のスペルカードを取り出した。


「この三枚で何とかあいつに擦り傷の一つでも与えられれば…」


魔理沙は自分の中で最も使えて火力のある三枚を持ったまま箒に足で乗り、高速で想刃に向かって飛んだ。


そして早速一枚を使用する。


「彗星『ブレイジングスター』!」


発動した瞬間に箒の掃き部分に八卦型の何かを素早くはめ込む。


すると凄まじい勢いでエネルギーが噴出し、箒が超高速で想刃に向かって突っ込んで行く。


想刃は無言で身体をズラし、箒をかわした。


箒は想刃を通過すると同時に急激なカーブを描いて魔理沙の手元に戻って行った。


ーー次だ!


魔理沙は箒を掴んで八卦型の物を取り外すと、二枚目のスペルカードを唱える。


「魔砲『ファイナルマスタースパーク』!」


八卦型の物にエネルギーが集中し、凄まじい超極大レーザーが放たれた。


想刃は縮地で駆け、その駆けた勢いのまま地面をスライディングする。


想刃がスライディングで身体が地面に密着した瞬間、魔理沙の放った超極大レーザーが想刃の頭上すぐ近くを通り過ぎた。


スライディングで想刃がかなり進んだ後 すぐに立ち上がり、魔理沙に向かって駆け出す。


魔理沙は既に驚きを通り越していた為、想刃の回避や動きに対して何も反応は無かった。


「……たくっ、あいつ本当に人間か? 私の最大のスペルカードを二つもかわしやがって…弾幕ごっこだってのに、本気を出せざるを得ないじゃねぇか」


魔理沙は三枚目をそっと横に振り、静かに唱えた…



「 邪恋『実りやすいマスタースパーク』…!」



唱えた直後、魔理沙は八卦型の物から細いレーザーを一本だけ放ち、向け続けて想刃を追う。


当然の如く想刃は一本の細いレーザーから逃げるが、何かの違和感があった。


ーーこの世界の事だ、こんな細いレーザーで相手を仕留めるなんてバカな考えはしないだろう。


想刃は走りながらターワルをしっかり握り締め、来たる違和感の元凶に備える。


瞬間……


「ふんッ…!」


魔理沙が八卦型の物に力を込めた瞬間、細いレーザーが急速に広がり、一気に超極大レーザーと化した。


ただ残念な事に…


魔理沙の放った超極大レーザーは真っ二つに断たれていた。


自らの放った超極大レーザーから狭間が見えてしまった事に、魔理沙は今まさに仰天し、汗をかいていた。


想刃は次に備えたものの、魔理沙から戦意が無くなった事に気付いた。


「やめだ やめ! こんなんじゃちっとも楽しめねぇ。寧ろ死の実感すら湧き始めたよ、全く」


見上げる想刃に向かって魔理沙は空中から降下してくる。


箒が地面付近まで来た時、魔理沙は箒を取って地面に立った。


「お前なぁ、弾幕ごっこは遊びだぜ? お前のような本気で闘う外来人は他にも居たが、お前はレベルと言うか、力も違い過ぎる。私だから良かったものの、他の奴なら重傷間違い無しだぜ」


魔理沙は近づいて冷や汗を掻きながら想刃に注意をする。


ーー相当ヤバかったみたいだな、こいつ。他の奴等は…ざまぁねぇな。


想刃は魔理沙の汗を見て悟り、今まで自分が怪我を負わせた者達を思い出し、ニヒルな笑みを零した。


「全く…お前が私以外に何人 弾幕ごっこの相手をしたか知らないが、多分そいつ等 無事じゃないな」


魔理沙の言葉に対し想刃は蚊の鳴くほどの小さい声で呟いた。


「あぁ、限りなく間違いない…」


「ん? 何か言ったか?」


魔理沙は小さい声が僅かに聞こえたが、想刃が いいえ と言った事で魔理沙は前を向き直った。


「あれ、気付いたら妖怪の山の麓まで来てたな」


想刃との追いかけっこ、弾幕ごっこによる回避移動を含めたら、かなりの距離を移動出来る。


これはその“結果”であった。


魔理沙は溜め息を吐いた。が、想刃は何やら気配を感じていた。


ーー観ていやがる。


想刃は魔理沙の言う“妖怪の山”の方へと近づいて行く。


想刃が妖怪の山へ近づけば近づくほど想刃の感じる気配も近づく。いや、近寄って来てる…


そして暫らく歩いていたら、想刃に向かって青い弾が飛んできた。


想刃は既にわかっていたらしく、青い弾が想刃の付近で真っ二つに断たれて消えた。


「おい、隠れてるクソ野郎! 監視なんかしてねぇで出て来い!」


想刃は怒号を放った。


すると、妖怪の山の中から突然何者かが現れ、こちらに向かって猛スピードで飛んで来る。


面倒くさそうな予感を感じた想刃はターワルを天に翳し、空を扇ぐように振るった。


直後、ターワルの振った軌道の上空に激しい剣気の波が発生し、その何者を凄まじい勢いで薙ぎ払った。


薙ぎ払われた何者は妖怪の山の奥へと吹っ飛ばした。


「……ついでだ、寄って行こうぜ」


魔理沙は想刃の行った行動による何者の末路を見て黙り込んだが、気を取り直して妖怪の山の中へ踏み込んで行く。


想刃も“ついで”でついて行く事にした。




ものの数分 歩いていると、そこ等から二人の気配と何だか不幸な気配(?) がした。


ーー近づくな、危険 とかどっかにあってもおかしくない山だな。


思ったと同時に想刃は気になる事があった。


「何故、こんな山ん中に来たんだ? あんたのようなわかりやすい性格じゃ考えない事だろ」


「わかりやすい性格ってなんだよ…そんなに私は悟られやすい顔をしてるか?」


魔理沙は突っかかりながらもややムカつき、そしてガッカリしつつもあった。


「ついで…なんだが、実はお前に会わせたい奴が、偶然にも今この上に居る。弾幕ごっこで奇遇にも妖怪の山の近くまで移動してたしな、やる事も思い出したし、丁度良いと思ってな」


ーー会わせたい奴か、この世界だ、どうせ真面じゃねぇんだろ。


想刃は小さく溜め息を吐く。



と、想刃はまた気配を感じた。そしてその気配に想刃は覚えがあった…


ーー麓前で感じた気配…さっきのか。


想刃はターワルを逆手に持ち、気配の感じる方向を向く。


「ある意味で褒めてやりたいが、しつこい奴は生憎 大が付くほど嫌いでな…」


想刃の突然放った言葉に足を止める魔理沙。


そしてあっという間に想刃の感じた気配の元が現れた。


「さっきはよくもやってくれましたね、あなた。この見張りである私を!」


現れたのは白髪の白服姿の女。

手には剣と盾を持っている。


「誰だお前」


想刃が女に問うと、魔理沙が割った。


「そいつは犬走 椛(いぬばしり もみじ)。下っ端白狼天狗だ」


「フンッ…ただの犬か」


すると想刃の言葉に椛は豪く突っ掛かった。


「犬じゃありません! 白狼です! 狼なんです!」


椛は泣きそうな…いや、半泣き顔でそう言った。


「…っで、何だ」


想刃は鼻で笑いながら再び訊いた。


「あなた、さっき私を吹き飛ばしましたね! 妖怪の山の麓で剣を振り回した上にそれが私に来たのですから」


ーーどうやら、この椛とか言う女…剣気を理解出来るらしい。


想刃は一瞬で眠そうな眼から鋭い眼差しに変わった。


右眼の瞳が緑色へと変色すると同時に、また全てに何かの線や点が視えるようになった。


「文句があんなら掛かって来い。今度は剣気の波だけじゃすまんぞ…!」






実はこの時から既に想刃は椛との“ライバル”関係となっていた…






続く

想刃のライバルは犬走 椛!


何故に彼女がライバルかって?


先を見ればわかる…



また次回に…

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