02 霧裂 想刃
連投とな、暇人です。
前書き? 特に無えよ!
どうぞ
「俺は…霧裂…霧裂 想刃だ」
青年は名乗った。
自分自身を強調するように苗字を名乗り、間を置いて名前を名乗った。
相手方の子供──いや、レミリアはただ不敵な笑みを浮かべるばかり…
見ていてとても気味が悪いーー彼はそう思った。
彼はまた口を開き、レミリアに訊いた。
「何故俺を捕えた──何が目的なんだ…」
彼はその二つを訊いた。
他にも訊きたい事がいくつかあるのだが、それはレミリアに訊く事自体間違っている…
そもそも、“レミリア達”が自分をこの世界に連れて来た と決定するには“おかしい”からだ…
見張り、身を縛る縄──これだけでもレミリア達が彼をこの場所に連れて来た と言う事はわかるのだが──。
──この“世界”に連れて来た者は他に居るのではないか?
彼の考えは間違いをついている物では無い…
場所は場所──世界は世界。
この“場所”が何処かは決してわからない彼からしたら、場所も世界も変わらない物だが…
この“世界”に連れて来られた後、倒れている所をレミリア達が連れて帰った。
よくあるSFの展開部分のようだ。
それに連れて来られただけで無く──“落ちた”と言う考えも彼の中にはあるのだ。
別次元に自分がやって来た場合、自分だけなら“落ちた”もしくは“落とされた”。
だが、そこに誰かが関われば──“連れて来られた”と言う言葉に変化する。
しかし、これはあくまでも彼の推測──確実性は皆無だ。
と、彼が頭の中で様々な論を進めていたら、レミリアが笑みを解き、言葉を口にした。
「あなた──ここで働いてみる気は無い?」
その言葉に、彼は心から驚いた。
体をグルグルに縛っておきながら“働く”?
彼はてっきり“自分”を殺すつもりなのでは と思ってたからだ。
四肢を裂かれたり、内臓を刳り抜かれたり と、そんな拷問をしてジワジワと殺して楽しむつもりなのではないか と…
ホッと胸を撫で下ろしたかったが、ここで素直に はい と言ってしまえば、働くとは程遠い事をやらされそうでならなかった。
何故なら…
またレミリアが不吉な程の不気味な笑みを浮かべたからだ。
不敵より“不吉”…
恐ろしいくらいの不気味な笑顔を彼は見た。
ここから連想される事は確実に…
──奴隷だ。
いや──奴隷よりもっと酷い事があるではないか…
レミリア達の食糧だ──。
彼はもはや考える事をやめる事は出来なかった。
こんな気味の悪い者達の下でゴミのように扱われるくらいなら──。
今ここで死んだ方がマシだ。
彼は覚悟を決め、舌を思いっ切り噛もうとした。
だが噛もうとした時、彼の行動に気付いたのか、レミリアは恐ろしいスピードで彼に近づき、小さい手で猿ぐつわを行った。
「がッ…!」
彼はいきなり顔の両頬を掴まれた為、舌を噛み損ねた。
「大丈夫。殺しはしないわ」
不気味な笑みを浮かべ、赤い眼で睨みながら
レミリアは手を離した。
これでわかった。
レミリアが人間では無い事が──。
彼はレミリアを睨みつける。
すると、レミリアはこう言った。
「ここで執事の仕事をしてもらう──ただそれだけよ」
彼は嫌だった──嫌だったが、ここで断ったら死ぬ事になる気がしたのだ。
「わかった…」
だから彼は素直に了承した。
晴れて彼はレミリアの執事として、働く事になった。
続く
さあ、次で打ち止め…
後書き? 前書きと同じだ!
また次回