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3両目 パート2

作者: 葉琉日

短編「3両目」のスピンオフです

 やべっ・・


鈴木健二はダッシュで改札をくぐる

時計は朝の7時半過ぎをさしていた


駅の改札は通勤者で埋まりつつあり

なかなか思うようには進めない


改札からホームまで距離がある

健二はがむしゃらに走った





1両目・・・





2両目・・・

ききーーーーっと急ブレーキ





息を整えるべく3秒ほど立ち止まり

涼しい作り顔が覆うのを待ってから

手をポケットに突っ込み格好つけ完了





♪♪♪♪ ♪♪ ♪♪♪ ♪ ♪ ♪ 〜

発車アナウンスと同時に3両目に乗り込む






 あー・・・

 今日もいるな・・・





健二は視界の見えるか見えないかわからないくらい隅っこに

とある女子校の制服に身を包んだ女の子を一瞬。

でも、しっかりとその目で確認する


淡い色のセーラー服に身を包み

これまたなんとも言えない淡い笑顔で友達の話に耳を傾けていた・・・




彼女の名は・・・佐藤優子




健二は教科書に書いてある名前を

靴ひもを結ぶフリをして必死に盗み見したのだ




優子・・・か・・

分かった時は心の中でガッツポーズ!





 「あっちょんぶりけ!なんだよそれーっ!」




彼女の友達の大声が聞こえてきて

優子がくすくすと鈴のような声で笑っている



その笑顔を電車のドアのガラスの反射で確認しながら

健二は人知れず悶絶した


うがああっっっ!!!

あの笑顔を独占しやがって!!!!




健二は優子の友達に心の中で悪態をつく




しかもアイツまた優子の朝飯奪ってやがる!

まじで許せん


俺の優子が倒れでもしたらどう責任とってくれる!?

一回しばくか?そうするか?



と、アブナイ発想が頭を支配しかけた時

フト視線を感じ顔を上げる




ゆ・・・優子がこっちを見てる??




健二は身体の体温がじわじわと上昇するのを感じ

上着を脱いだ








あ・・次の駅で降りちゃうのか

健二は過ぎ行く景色を見ながら思った





***




優子たちが降りて行った後のボックス席に

健二は座る



さすがにニオイこそは嗅がないが

確かに彼女がそこに座っていたというあたたかさを

ケツから感じる事が出来、すごく幸せだった



これも毎朝の日課



そこへ悪友の徹がやってくる

これも毎朝の日課だった



 「よ!健二!今朝もいたよなかわいこちゃん!」



 うるせーよ



 「それにしてもありゃかなーーりのボインちゃんだよなー・・・」



 おまっ!ぶっ殺されてーのか!?



 「怖っ・・・」





悪友の徹は、

一生懸命ギンギラギンに格好つけてる健二のイメージを

あやうく壊しかけた過去がある



ダイブ前だが

3両目でうっとりと窓越しに優子を盗み見していた健二に

「おい、健二!極上のやつ手に入ったぞー!」

と『リーゼントと女教師』とか言うエロ本を渡してきやがったのだ


以来徹は3両目入両禁止令が下され

L字廊下に呼び出されこれでもかとしばかれた




 てめーもう二度とハズいことするんじゃねーぞ?




 「合点承知の助!」






・・・・




降りる駅が近づいてきた・・

健二はフト地元にあるパン屋を思い出す


あそこのメロンパン・・・こんど買ってくるか

立ち上がりながら優子が座っていた席を無意識に撫で

健二は一大決心をするのだった





おしまい。

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