目が覚めましたので
書いているのが行き詰って息抜きに
「なぜだっ!! 何故、王配である私を処刑するなんて!! ユーディナ」
「――馴れ馴れしく呼ばないで貰おう。クロフォード元王配」
わたくしの側には執務官の青年。
「おかしいと思わないか。王妃の不義密通は処刑されるほどの罪なのに女王の王配が不義密通をしても許されるなんて」
ああ、いくら元王配が王位継承権が低いが王族という立場を吟味してもおかしいだろう。
「それこそ、女王を侮辱しているということではないかしら」
わたくしが冷たく微笑む。
執務官が教えてくれなかったら気付かなった。この大きな乗っ取りを断罪する冷酷さを匂わせて。
…………夫が浮気をして、浮気相手に子どもが出来た。
悔しい。悔しい。
しかも時期的にわたくしの娘が病気で亡くなったころ。
わたくしが打ちひしがれつつも悲しみを忘れるように仕事に没頭していたころに、あの夫は人の心がないとわたくしを責め立て、他の女の所に通っていたということなのね。
しかも、その子どもを跡取りにしようと思っているなんて………。
公務を行う時はそんな子供の死を忘れさせてくれる時間だが、公務から一歩離れたとたん癒えない悲しみが襲ってきて、化粧で誤魔化しているが、げっそりと痩せて目の下には隈もはっきり浮かんでいる。
本当なら公務を休んでどこかで療養したいが、公務が滞ると誰かが苦しみ、下手をしたら今のわたくしのような悲しみを背負うものも現れる。
だからこそ休まずにすべきことを行っているが、そんなわたくしを夫は冷たい女だと吐き捨てた。
そして、自分は浮気をして、浮気相手に慰めてもらって子どもを作ったというわけか。しかも、王配の子供だからこのまま次の王にすべきという意見も上がっていて……。
ああ、許せない。
怒りを胸に宿して、それでも手を止めない。
「おかしいですね」
法律関係の資料を調べていた執務官の一人がついという感じで呟いた。
「おいっ、セレスト」
私語は慎めと隣の別の執務官が声を掛ける。
「――何がおかしいの?」
わたくしの問い掛けに、
「あっ……」
言葉を漏らした自覚がなかったセレストと、
「あちゃ~」
顔を手で覆いもう駄目だと諦めの極致にいる執務官。
「何が、おかしいのかしら?」
もう一度はっきり問い掛ける。
書類の山を片付けつつ、王配の子供に関しての書類をまとめることになった最中なので気が立っている。
「あっ、はい。――今回、王配さまのお子さまに継承権が行くように書類を作成と聞いておりましたが、今までの王家の家系図を確認して、おかしいと思ったので法律も確認しました」
「………それで」
「歴代の王と王妃。その系列を見ていると王妃が不義密通をして子供を作った場合は王妃は赤子ともども処刑。その愛人も当然処刑されています。だけど、王配さまは自分も王族だから子供に継承権を与えると言われていましたよね。前例があったのかと思って……」
「……………」
「前例はありません。王妃の愛人が王族であっても同じように処刑されているから。おかしいなと思って……」
しどろもどろに説明をしているセレストを見て、自分の目が覚めていく感覚を覚えた。
「セレスト・ビダン」
「うわっ、すみません!!」
名前を呼んだとたん悲鳴をあげられる。
「貴方に感謝を」
しっかりと告げるとともに、騎士団を動かして、夫……元王配とその浮気相手を捕らえるように命じたのだ。
「貴方のおかげよセレスト」
おかげで王家乗っ取りを防げた。
「わたくしの件からもしかしたら同じように家を乗っ取られる者もいるかもしれないわね。早速それを防ぐ法律を………」
「あの、それはいいのですが……なんで、俺こんなところに」
セレストのいるのは王の寝室。
そのベッドの上だ。
「あら、決まっているでしょう」
そっと頬に触れる。
「わたくしは次の子供を産まないといけない。だけど、夫の子は産みたくない」
心が追い詰められていた時に見えた光明。
「わたくしが貴方の子を産みたいのよ」
もちろん、貴方が嫌なら無理を言わないと伝えると。
「すみません。少し、下心がありました……。で、でも、憧れの域で……」
そんな風に必死に言い訳をする彼が可愛くて、わたくしは必死に年上の余裕を演じつつ、彼を堪能したのだった。
その後わたくしは新たな王配にセレストを選び、彼との間に多くの子を作ったのだった。
そう言えば、あの元王配。公務を一切手伝わないで文句ばかりだったわね……。
こういうパターンの乗っ取り阻止ってないですかね




