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3-27 ごみ処理に精を出す、そして試練を受けよう

 「今日も今日とてごみ処理かえ。お主ら、精が出るのう」


 そう呆れたような口調で言ったのは森の精霊さん。


 「本当に頑張るよねー! えらいよねー!」と、飛んできた鳥と戯れながらフウコも言った。


 その2人の言葉を聞いて僕は言った。


 「まあ、後輩たちが勤勉なもので」


 そんな風にお話ししている僕たちの視線の先では、キッカたちが手慣れた感じで廃棄された魔石ゴミを自分たちで掘った小さな穴に放り込んでいる。そして、森の精霊さんの息子さんも、真剣な表情で彼女らの作業を見つめている。


 実際のところ、あの大量にあった魔石ゴミたちも、もう半分以上は処理している。日々のキッカたちの頑張りのおかげだ。視察とか言って覗きに来たギルマスもびっくりしていた。


 「おかげで、我が息子の縄張りとなる所も、だいぶ大きくなっていったの」


 そう、キッカたちの頑張りの結果、森も結構広がった。新たに広がった所で野球のグラウンドとかサッカーのフィールドとかが何個もできるぐらいの面積はあるんじゃないだろうか。


 「我が息子も、ずいぶんと小娘どもを気に入ったようじゃしの」


 「それはよかったです」と僕は答えた。まあ、気に入るというか、僕から見るとキッカたちは息子さんにこき使われているぐらいの感じだ。なにしろ、木を植える位置とかどの木を植えるかとか、全部息子さんが指示してくれる。それを僕がキッカたちに伝えて、キッカたちが作業する。そういう流れで作業は進んでいた。


 つまり、息子さんが現場監督でキッカたちが平社員みたいなものだ。僕は、まあ僕が主任とかそんな感じかなあ。現場監督と言っても僕から見たらタヌキなので、真面目な表情で地面を指さしていたりしたら可愛くて笑っちゃいそうになったりするんだけど、なんとか我慢して「ここだって」とキッカたちに伝えてたりしている。


 だから、息子さんにとってキッカたちは指示通りによく働く部下みたいなものなのかもしれない。まあでも、気に入ってもらっているのはいいことかな。僕はそう思いながら、腕組みみたいな感じで前脚を組んでキッカの掘った穴を見つめている息子さんを眺めた。


 「実は昨日、我が息子から相談されての。息子が言うには、小娘どもと契約してやってもいいのではないか…」


 「えっ!?」と思わず僕は叫んだ。え、それってすごいことだよ!? いろいろ大丈夫なの?


 「だが、それほど強い契約をさせる気はないぞ。妾も大切な息子を森の外に出すつもりは無い。と言っても勘違いするなよ。これは妾が息子と離れたくないとわがままを言っているわけではない。新たに出来た森の事を考えるに、息子にはそこを責任を持って見て貰わねばならぬという深い考えがあっての事じゃ。むろん、別れがたいという気持ちがあるのを否定する気はないが。それは当然の事じゃろう。それに、息子もな…」


 うわ、長話が始まっちゃった。いや、色々と聞きたいことがあるんだけど、森の精霊さんと息子さんの相思相愛ぶりとかは今度にしてくれないかな。契約? この場合、誰との契約になって? 何ができるようになって? どういう弊害があって?


 僕がじりじりしながら森の精霊さんの長話が終わるのを待っていると、僕の驚き声を聞きつけたキッカたちが集まってきた。


 「ししょおー。なんか声がしたけど、どうかした?」


 「大変、君たちが息子さんと契約できるかもだって!」


 「ええ!?」


 キッカたちが大声で叫んだ。


 「し、ししょお!? どういうこと!?」


 「まあまて小娘どもよ」と長話の途中の森の精霊さんが穏やかに言った。


 「まだ契約させてやると決まった物ではない。妾の大切な大切な息子をあずけられるか妾もしっかりと見極めねばな。じゃから、妾からそなたらに試練をやろう」


 「試練ですか?」


 「そうじゃ。やはりこういう時には試練を超えてもらわねばの。いや、我が息子よ、これは意地悪などではないぞ。妾もそちが可愛いゆえにこう申しておるのじゃ。無論、そちが望むものは…」


 あああ、こちらと話していたのに、また息子さんと話し始めちゃったよ。試練ってなんなんだ。長話を全部聞くのが試練とかじゃないだろうな。


--------------------


 それから1か月以上が経っただろうか。まだ暑かったこの国にも冬の気配が訪れている今日、キッカたちはビッグバボヌと戦うために山に入った。


 そう、森の精霊さんが言う“試練”というのは、3人の力だけでビッグバボヌを倒すことだったのだ。


 「なんでも小娘どもはビッグバボヌ1頭に蹴散らされたそうではないか。やはり、そのような軟弱な者に大切な息子を任せられんからのう」ということだ。


 試練がビッグバボヌを狩る事と聞いた時、キッカたちはひるんだ表情をした。特にミアリーは顔を真っ青にしていた。まあ、殺されかけたからなあ。


 そんな3人に僕は「どうする? 無理しなくていいよ」と言ったんだけど、3人は話し合って、試練に挑戦することに決めた。


 キッカは、気合の入った顔で「リベンジだ!」って言っていたし、ミアリーとリヨーナもその言葉を聞いて頷いていた。3人も思うところはあるのだろう。


 それから今までの間、3人で相談して様々な作戦や戦い方を考え、訓練を積み重ねてきた。「3人の力だけ」というのが、どこまでを指すのかあいまいだったけど、僕が指示して3人がビッグバボヌを倒すというのはずるい気がしたので、僕はほとんど口出ししていない。言ったのは「道具とかは使っていいらしいよ」とかその程度の、いわばルールの確認みたいなことだけだ。


 だから、今回は本当に3人の力で挑むということになる。もちろん、ヤバい感じになったら助けに入るつもりではある。でも、訓練を見る限り、結構やってくれる感じもあって、僕は不安3割楽しみ7割という感じだ。


 まあ、危ないときにはフウコが助けてくれると思っているから、無責任に楽しみと思える所はあるんだけどね。そんな頼みの綱のフウコだけど、森の精霊さんと息子さんと仲良くおしゃべりしながら僕たちについて来ている。なんか、フウコの周りを青い鳥も飛んでいるし、息子さんはタヌキだし、童話の世界みたいな感じもある。あの青い鳥、このところフウコの周りを飛んでいるのを見るんだよな。フウコが飼いならしたのかもしれない。


 そんな楽しそうな精霊さんたちと対照的に、キッカたちはやっぱり緊張気味だ。だけど、僕が心配していたほどでもないかもな。キッカはともかく、ミアリーとかリヨーナはガチガチになっちゃうかもしれないって心配していたんだけど、まあ表情が硬いくらいで話しかけても受け答えはしっかりしているし、ちゃんと動けそうだ。頑張って訓練をしていたのが自信になっているのかもしれないな。


 そんな感じで、緊張感とゆるさが共存している山登りだったが、しばらくすると森の精霊さんが言った。


 「さて、この先にビッグバボヌがおるぞ」

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