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3-24 結局ゴミはどうなるの? そして、君たちで解決してみる?

 そのあと、ギルドマスターから解放された僕たちは、いつものレストランでいまいち気勢の上がらない打ち上げをしていた。


 「じゃあまあ、一応、依頼達成を祝って乾杯」


 かんぱーいとキッカたちが言った。気のせいか、いつもよりも元気のない声な感じだ。まあ、なんかすっきりしない状況だもんな。フウコだけは、いつも通りに元気いっぱいだけどな。


 「ねえ師匠、結局あのゴミはどうなるの?」


 「うーん…」


 どうなんだろうなあ。なんだか、どうにもならない気がしてならないけどなあ。僕が返事をせずに、異世界風の焼肉をつまんでもぐもぐしていたら、リヨーナが代わりに返事してくれた。


 「時間がかかるかもしれませんね。面倒な問題は、責任の所在がはっきりしないかぎり事態が動かない、みたいなことを聞いたことがあります」


 「えー、でもみんな困るじゃん!」


 「はい、なので領主が動いてくれればいいんですが…」


 なんでも、この辺りの領主は事なかれ主義というか、責任を取りたがらないタイプらしい。「悪い人ではないんですが、こういう場合はどうでしょうね」というのがリヨーナの意見だ。


 「じゃあさ、師匠なら精霊魔法で解決できたりしないの?」


 どうなんだろうな。フウコを方を見てみたら、「そりゃできるよ。フウコとケースケがその気になれば無敵だよ!」と言ってサムズアップしたけど、多分これは具体案が無い無責任なやつだ。


 でもなあ。「うーん」と僕は口をもぐもぐさせながら唸った。全然アイデアが無いかと言われたら、無いことは無いけど、地味だし時間がかかるし、協力してくれる人も見つけなきゃだし、それに別に僕にメリットも無さそうなんだよなあ。


 「師匠、なにか考えがあるんですね」と、そんな僕を見てミアリーが言った。う、表情には出していないつもりなんだけど、僕の顔って気持ちが読みやすいのかな。


 うーん、でもなあ。いいアイデアなのかどうか、もうちょっと検討したいところかなあ。


 「師匠、山に入れないということになれば、私たちにとっても死活問題です。なにかお考えがあるなら教えてもらえませんか」


 「そうねえ、まあいいアイデアかどうかはわからないんだけど、君たちで解決してみる?」


 「え、私たちで解決できちゃうの?」とキッカが身を乗り出していった。


 「え、でも… 師匠、詳しく教えてくれませんか?」と言ったのは慎重派のミアリー。ちゃんとコストとかリスクとかリターンとかを考えるのは冒険者として大切なことだ。


 「うーん、まあまだ僕もはっきりしたビジョンがあるわけでも無いんだけど…」


 まあ聞かれたので、実現性にやや不透明感は残る気もするけど、説明はしようかな。僕の頭の中にあるのは、シバ族の村人と林の精霊エインさんの協力関係だ。あれは、お互いにメリットがあるからやっているんだけど、要するに2者が協力して行う林の拡張と保全活動だ。それによってエインさんは荒野に自然を取り戻すという悲願に近づけるし、村にとっては安全性が増したり獲物や素材なんかを容易に得られたりできるようになる。


 「僕の知っている村では、こんな感じの事をやっていたりするのね」


 具体的な場所や名前は伏せて、シバ族の村で行われていることの概要を説明した。まあ、具体的に言ってもいいのかもしれないけど、あの村も国と揉めてるみたいだし、変にキッカたちが巻き込まれてもいけないからな。


 そして、僕が話しているうちに、3人ともポカーンという顔になった。まあな、これまでの常識とはあまりにもかけ離れたことだろうしな。


 「すっ、すっごいにゃ。本当にそんな村が世界のどこかにあるの!?」


 「うん、本当だよ。なんなら、僕はこの国に来る前にそこにいたんだから」


 「はあ、そうなのかあ」


 キッカが見事なあんぐり顔になった。僕にとっては、割と当たり前というかシバ族の村に長く滞在して普通の事な感じなんだけど、この世界の常識からはだいぶ外れているんだろうな。


 「信じられない。でも師匠が言うのなら本当なんでしょうね…」と言ったのはミアリー。ちょっと疑わしげな顔に見えるし、信じているようなことを言いながら、まだ信じ切れていないんだろうな。ちなみにリヨーナも口あんぐり顔で言葉もない感じだ。


 だけど、いち早く自分を取り戻したのであろうミアリーが、あれ?という表情を浮かべて言った。


 「え、だけど、それってすごい話ですけど、今回の問題とどういう関係があるんでしたっけ?」


 「うん、そこなんだけどね、魔石は肥料になるってさっき教えてくれたじゃない」


 「はい、でも簡単じゃないはずですよ。けっこう色々と時間がかかったり手間がかかったりするはずです」


 だから不法投棄しようって話になるんだもんね。それが楽なら、捨てたりせずに全部肥料にしちゃえばいいわけだし。


 「だけど、多分だけど森の精霊さんの力を借りられたら、簡単に肥料にできたりむしろ森に吸収してもらったりできそうな気がするんだよね」


 そう。シバ族の村の林の精霊エインさんなんかは、魔物や動物の死骸を埋めるだけで吸収してくれた。本当なら、動物の死骸なんかも、植物に栄養が吸収されるまでに色々と複雑なプロセスが必要なはずだ。なんだっけな、確か、死骸を食べる虫がいて、その虫のフンが土に混じってとかだったかな。


 つまり、詳細はともかく、木の精霊の力はそれだけすごいということだ。なので、魔石の吸収もいけるんじゃないかと言う気がするのだ。


 そして、多分だけど森の精霊さんにもメリットはある。エインさん方式で、森を拡張するのはきっと森の精霊さんにとってもうれしいはずだ。


 「フウコはどう思う? 行けそうだと思う?」


 なるほどー、さすがはケースケ、私の相棒だけあって切れ者、みたいなことを言っていたフウコに振ってみたが「わかんなーい。森の精霊ちゃんに聞いてみたら?」ということだった。


 分からないのにそんなになるほどとか言うのはどうかなとも思ったけど、まあ、聞いてみるのが手っ取り早いよな。まあでも、一応可能性はあるかなあ。


 「え、でも師匠」


 ミアリーがまた何かに気付いたな。色んなことに気付くのも冒険者として大切なことだよな。ミアリーはちょっと自己肯定感が低めな感じがあるし、今度、機会を見て褒めておいてあげよう。


 「なに? ミアリー?」


 「えっと、それって、私たちにはどういうメリットがあるんでしたっけ?」


 まあそうなんだよね。別に依頼というわけでもない。一応、ギルドマスターと交渉すればなにがしかのお金や評価は得られるかもしれない。あと、山の方に長くいることになるのだから、何かしらの素材が得られる可能性もある。とはいうものの、やっている仕事の大きさを考えると、割に合わない仕事になりそうなんだよね。


 そして、僕があんまり乗り気じゃなかった理由もそれだ。一応、僕たちもプロの冒険者なわけだし、無償とかそれに近い仕事をするのはあまりよくないかなという気持ちもある。そういうことをすると、同業者に嫌われたりするしね。


 だけど、3人にアイデアを話しているうちに、あんがい引き受けるのもありかなという気もしてきた。直接の利益は少なくても、間接的に色々なメリットはあるかもしれないな。


 だから、僕はミアリーの質問に答えて言った。


 「えっとねえ、メリットと言えるかどうかは分からないけど、しいていえば、修行?」

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