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3-19 精霊魔法は使えるの? そして、ギルマスの呼び出し

 とりあえず、まずは現状認識の共有からだな。


 「まあ、とりあえずは借金返済に重きをおいていたから、キッカたちの成長が後回しになっていたのは否めないよね」


 「そうですよ。私たちが奴隷になっちゃったら、成長どころじゃないんですから!」


 「さすが師匠!」とリヨーナがニコニコしながら言った。なんか、リヨーナは基本的に無口なんだけど、お酒が入るとすごい適当にしゃべってる気がするんだよな。ちなみに、“虹色の綿毛”で一番酒が強そうでもある。


 「てことは、師匠は僕たちの成長のために何か考えているってこと?」


 「え? えーと… まあそこはおいおい考えればいいかなって」


 「むぅー」と口をすぼめてキッカが言った。可愛い、じゃなくてちゃんと考えないとな。


 「じゃあさ、精霊魔法を教えてよ」


 「いや、だからさ、前も言ったけど精霊魔法は教えられるもんでもないんだよ」


 「うー、師匠だけずーるーいー」


 うん、すねてるキッカも可愛い、じゃなくてずるいって言われてもな。確かにずるい気もするけど、どうしようもない。


 「でも、師匠以外にも精霊魔法を使える人はいるんですよね?」


 ニコニコしながらリヨーナが言った。


 ああ、確かになあ。僕はシバ族の村の事を思い浮かべた。


 「うん、僕の知っているある村では、村と精霊が約束をしていてさ、お互いのためになることをしているんだよね」


 「約束? 契約じゃなくて?」


 「うん。なんか、契約っていうのは精霊にとって特別な事みたいなんだ。だから、簡単には契約は出来ないんだよね」


 「え、ケースケ師匠はフウコさんと契約しているんですよね?」


 「うん、そうだよ」


 「つまり師匠はすごいってこと? むー」ってキッカが言ったけど、別に自慢しているわけじゃないからね。自慢したいぐらいすごいことだっていう自覚はあるけど、今は事実を言っているだけで。


 リヨーナは「そうです。師匠はすごいです!」ってニコニコしているけど、あのエールは何杯目だろう? そろそろ止めた方がいいのかな?


 フウコも「そう、フウコとケースケの契約はすごいからね」と胸を張っているけど、なんかちょっと照れるかもな、その言い方は。


 「えっ、でもそうすると、その村の人たちはみんな精霊さんを見たり話したり出来るってこと?」


 「いや、それはできないな。あ、1人だけ精霊の気配がわかるようになってきた子がいたけど」


 トゥハンの妹、シバ族の美少女獣人ことマラマちゃんだ。彼女はぼんやりと林の精霊エインさんの気配が分かることが発覚したのだった。マラマちゃん、元気かなあ。


 「げっ、そんなパターンもあるの? じゃあ僕たちも精霊が見えたりするようになることも!?」


 「うーん… フウコ、どう思う?」


 そうフウコに振ってみた。ちなみに、キッカたちにはフウコの存在を隠したりしていない。僕のパーティメンバーだしね。だから、必要があればキッカたちの前でもフウコとお話しする。最初は僕がフウコと話すと、キッカたちは変な顔をしていたけど、最近は慣れてきたと思う。


 「できるできる! 何とかなるよ、きっと!」


 ああ、これは無責任な奴だな。信じたらダメなやつだ。


 「とりあえず、この辺りの精霊さんと会わないとだよね?」


 「そうだねー。そしたら、仲良くなれるかもだもんねー」


 キッカたちの方を振り返ったら、3人が期待の目で見ていた。うーん、フウコの言葉を直接伝えたら失望されそうだよな。


 「まあ、もしこの辺りの精霊さんと縁ができたら、可能性はあるらしい」


 「うお、すげえ! じゃあ精霊さんを探さないと!」


 「いや、でも期待しすぎないでね。可能性があるってだけだから」


 精霊さんに出会えたとしても、約定を交わせるかは分からないもんな。精霊さんは、みんな気まぐれで行動が読みにくい。キッカたちもあんまり期待しないで欲しいな。


 精霊魔法の話は、なんとなく結論も出ずにそのまま流れて言った。そして、冒険者のうわさ話に話題が移っていった。なんでも、どこかの国のでかい船が沈んだとかで、色々な冒険者が調査とか後始末とかに駆り出されているらしい。


 船かあ。船を手に入れるのも目標の1つなんだけど、なかなか大変そうなんだよなあ。調べたところ、外海を渡ることが出来るような船は、国でも数隻しか所有していないレベルらしい。なんかリヨーナが詳しくて「大型の船だと国の許可がいるかもしれませんね」と教えてくれた。お金だけ出せばいいってもんでもないみたいだな。なかなか、船を手に入れる思ったより大変かもしれない。


 そんな感じで、だらだらと打ち上げの時間は過ぎていった。まあ、ともかくキッカたちが成長できる特訓なりなんなりを考えてみなきゃな。


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 そんな風に僕たちはおおむね順調な日々を送っていた。まあキッカはちょっと悩んだりしていたけど、でも次の日の朝には元気に挨拶してくれた。


 元気なのはキッカのいい所だよな。なので、「いつも元気でキッカは偉いよね」って褒めてみたら、「なにー、師匠、僕のこと馬鹿にしてるでしょー」ってすねられたから、褒めるミッションは失敗かもしれない。いい先輩をやるっていうのも難しいなあ。


 そんな感じで、今日も今日とて依頼を受けようかと冒険者ギルドに行ってみた所、ギルドマスターに呼び出された。


 「おう、最近依頼が成功続きらしいじゃねえか」


 「そうだよ! ようやく“虹色の綿毛”が実力を発揮しだしたってわけ」


 キッカがドヤ顔で言った。


 「おおそうか、まあ順調なのはのはいいこった。ギルドもお前らには貸付してるしな。このまま続くといいな」


 「んで、今日は何の用? いま絶好調の僕たちに力を貸してほしいってわけ?」


 「まあそうだな」


 ギルマスが苦笑している。小娘の戯言を受け流すあたり大人だな。苦労人の雰囲気が出ているし、けっこういい上司なのかもしれないな。


 そんな渋い感じのギルマスが言葉を続けた。


 「本来はDランクに頼むことじゃねえんだが、船が沈んだ件とか色々で実力者たちが出払っちまっててな。それで日の出の勢いのお前たちに頼んでみようかってわけだ。だが、無理そうなら断ってもらってもいい。危険な依頼になりそうなんでな」


 「ほほう。詳しく聞こうか」とフウコが言った。まあ、もちろん聞くんだけど、フウコはなんでそんなに偉そうなんだい? 精霊だから?

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