3-13 フウコはすごいんだよ、そして強敵との遭遇?
予約時間を間違っており、投稿が遅くなりました。申し訳ありませんでした。
そんな感じで、元気いっぱいのままポマズの山裾に広がる森の手前まで来た。ちなみに、ポマズの山の山裾にはかなり広い範囲に森が広がっているけど、ポマズの山と言った場合にはこの森も含むことが多いらしい。
なんか、“虹色の綿毛”の3人は元気だなあ、というかちょっと怒ってないか、と思っていたんだけど、どうも、さっきの冒険者の言葉が彼女らにさらにやる気に火をつけたらしい。
ミアリーいわく「あいつら、嫌な奴らなんですよ」とのことだ。
「すぐ嫌なことを言ってくるし」「私たちの事を見下しているんですよ」「なんかそのくせパーティには勧誘してくるし」「そんな勧誘、受けるわけないのに」「嫌らしい目で見てきて」「私たちが依頼に失敗したら嬉しそうにニヤニヤして」
うわ、悪口のオンパレードだ。それだけストレスが溜まっていたんだな。どうも、トラブりたくないから、ミアリーが笑顔で波風立たないように対応してきたらしい。
僕も最初はミアリーの愚痴をちゃんと聞いてあげてたんだけど、さすがにそろそろいいかなと思って、「1つわかるのは、あいつら絶対にモテないだろうっていうことだね」と言ってみたら、キッカとリヨーナは笑ってくれたけど、ミアリーはそれでも眉間にしわを寄せて「あんなのモテるわけないじゃないですか」と言っていた。
正直怖いな。女の人の嫌がることをやったりすると、こんなに嫌われるんだな。僕はこうならないように彼女たちに紳士的に接しようと心に誓った。
まあでも、理由はともかくモチベーションが高いのはいいことだ。この勢いで依頼に成功してしまおう。
「じゃあ、山に入る前に改めて確認するけど、採取する薬草はレモケビ草っていうやつ。それを3本必要っていうことだね」
「うん、そうだね!」
キッカが元気よく返事してくれる。レモケビ草っていうのは高価なポーションの材料の1つらしくて、薬師ギルドでは定期的に採取依頼が出るらしい。さっき、冒険者ギルドの図書室で確認したけど、ぎざぎざの葉っぱが特徴らしい。
「師匠、じゃあさっそく山に入ろうか! 生息場所は僕が分かっているから!」
「いや、師匠じゃないけどね。ちょっと待ってね。フウコに確認してきてもらおう。フウコ、いい?」
「おーけー。行ってくるよー」
フウコはそういうと飛んで行った。フウコを見送って、ふとキッカたちを見ると不思議そうな顔をしている。そうか、フウコが見えないと何をやっているか分からないもんな。
「あのね、フウコはけっこう広い範囲を飛べるし、飛べる範囲以外でも風が通る所なら色々なことがわかるんだ。だから、さっき図書室で見たレモケビ草の絵と同じような草が生息しているはずの場所に生えているか、念のために見に行ってもらっているんだ。もしそこに生えていなければ、無駄足になっちゃうからね」
「えええ、精霊ってそんなこともできるんだあ!」
「まあね。フウコはけっこうすごいからね」
なんか、嬉しいというか誇らしい気分だ。自分の事じゃないのに、多分、僕は今、けっこうなドヤ顔をしちゃってるな。
そんな感じでフウコ自慢などをしつつしばらく待っていると、フウコが戻ってきた。
「なのねえ、言われたところには見当たらなかったけど、ちょっとそこから登ったところにそれっぽい草が生えてたー!」
お、よかった。無駄足も避けられたし採取もできそうだ。
「フウコが戻って来て、ちょっと場所は違ったけどレモケビ草らしき草があったって。案内してくれると思うから、行こうか」
僕はそう言って山に向かった。3人が慌ててついてくる。いかんいかん、今日はフウコと2人じゃなくてキッカたちもいるんだから、ちゃんと彼女らに合わせたペースで進まないとな。
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そして、僕たちはポマズの山の中に入っていった。登山中も、主にキッカに精霊魔法の事を色々聞かれた。僕も分かることは答えた。しばらくは魔物も出てこなかったり、出て来てもたいしたことのない魔物だったりで、油断してるわけじゃないけど、のんびりした登山という感じだった。
雰囲気が変わったのが、山に入って2時間ぐらいしてからのことだ。様子を見に行ってくると言って飛んで行ったフウコが戻って来た。うん? なにか嬉しそうだけど、いいことでもあったのかな?
「この先にはこの間のサルみたいな魔物が群れてるねえ。どうする?」
まじか、いいことどころか、悪い知らせじゃないか。あのキモい奴が沢山いるのか、嫌だなあと思ったけど、その言葉をキッカたちに伝えると、嫌どころの話ではなく3人とも顔面蒼白になってしまった。
「まさか、ビッグバボヌが群れになっているなんて…」「Bランク冒険者パーティでもきついかもしれないにゃ!」
あ、そうか。こないだやられかけてたもんなあ。トラウマになっちゃってるかもしれないな。だったら、わざわざ怖い思いをさせることも無いよな。
「フウコ、回り道して避けることは出来そう?」
「え、まだ進むつもりですか!? ここは撤退すべきです!」
ミアリーが驚いた顔で言う。なるほど、普通の感覚ならそうなんだな。でも、フウコや僕の力なら別に大丈夫だと思うんだよな。
まあ、どうしても撤退したいというなら、無理に前進しなくてもいいけどな。そう思ったが、もう1人のメンバーが張り切った声で言った。
「ふふーん、ここはフウコに任せてもらいましょう!」
あー、なるほど。自分の力を見せつけられそうだと思って、嬉しそうな顔をしているのね。うわ、張り切ってるみたいだし、これは止めるのは難しいかもな。
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というわけで、怖がるミアリーとリヨーナ、張り切るフウコの板挟みになってしまったけど、キッカはなぜか全面的に僕たちの事を信じてくれているらしく、「師匠がここまで言うんだから、大丈夫だよ!」と言ってくれたのが決め手になり、ミアリーもリヨーナもしぶしぶという感じで進むことに同意してくれた。
でも、なかなか難しいタスクだよな。僕たちがキッカたちを説得して進むわけだから、もし怪我でもさせたら僕の責任になるだろうし、万が一にも彼女たちを傷つけたくない。だけど、フウコは自分の活躍を彼女たちに見せたいと思っている。安全策を取るなら、本当はフウコに遠距離から攻撃してもらって一網打尽にしてもらえばいい。でもそれじゃあフウコは満足しないだろうな。
「フウコ、フウコの活躍を僕たちが安全にみられる場所はある?」
「うーんとねえ、うん、案内するね」
そして、フウコについて歩くこと約10分、比較的歩きやすい自然に出来たような小道をはずれ、藪道を少し登るとキッカが急に「止まって」といってしゃがんだ。
なぜそんなことをしたかは僕にもすぐに分かった。そこからまっすぐ進むとなだらかな下り坂になる。そして、その坂を下った先、ちょっと開けたようになっているところにでかいチンパンジーみたいな奴らがいた。もちろん、ビッグバボヌたちだ。
1,2,3… 6頭いるな。そしてそいつらは、円になって踊ったり気持ちの悪い声で笑ったりしている。あいつらは、なんであんなことをしてるのかな。この間も笑っていたよな。陽キャなんだろうか。
ともかく、ここまで来たら逃げるわけにもいかない。戦闘開始だな。




