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2-20 フウコが泣き出した!? そして強い契約による制限

 「え、フウコ、急にどうしたの?」


 「だっでえ、私が契約しなかったらケースケの寿命も縮まらなかったしい、そしたら村にずっといられてマラマちゃんともいい感じだったしい、昨日も契約したのに私のせいでケースケが空高く打ち上がって死にそうになってたしい、それに風の大精霊に会えるまでずっと私と一緒なんだよ! ごべんねええええ」


 え、ちょっと待って。どこから突っ込むべきだ? というか、女の子が泣いてるときってどうすればいいんだ? いや、女の子かどうか、フウコの年齢とかわかんないけど。でも見た目や言動は完全に女の子の存在が目の前で泣き出したって、こっちもパニックだよ!?


 「フウコ、落ち着いて、大丈夫だから、ね。契約したから僕も村のみんなも生き残れたんだ。僕もみんなもすごく感謝しているんだから、ね」


 「え゛、でも゛おー、おーん」


 あああ、もう何を言っているか分からないよ。あと、さっきフウコの言ったこと、なんか気になることを言ってた気がするけど、あああ、まずはフウコを泣き止まさなきゃだ。


 エインさんかマカナがなんとか慰めてくれないかな。いや、もしかして2人とも、ケースケが何とかしなさい、あなたが泣かせたんでしょ、みたいなモードか? あああ、小学生の時、女の子に軽口を叩いて泣かせちゃったときのクラスの女子たちの冷たい視線を思い出す。あれは辛かった…


 どうすればいいか分からないけど、ええい、ドラマなんかで女の子を慰めるのはこうだ。体の中の力をちょっとだけ使って風を吹かせて、空中のフウコをこちらにゆっくり引き寄せる。そして、頭を… あ、通り過ぎちゃいそうだな。


 いったんフウコの動きを左手で止めて、右手でそっと頭をなでながら言った。


 「大丈夫だよ、フウコ。フウコに出会わなかったら僕は荒野で野垂れ死んでいた。その後も、フウコがいつも助けてくれたおかげて僕はなんとかやってこれたんだ。契約も、僕がするって決めたんだし、後悔してないし、フウコが気に病むことはないんだから」


 「ぼんとぅー? ぼんとぅに後悔してないぃ?」


 「後悔してない! いいこともたくさんあるし、悪影響っていうのもちゃんと対策をすればいいだけなんだし。だから泣き止んで。僕はフウコとずっと一緒でもいいし…」


 というか、なんでフウコとずっと一緒なんだっけ? さっきのエインさんの説明の中には無かったよな。


 「おー、ケースケもなかなかやるわね」「はい、お似合いのお2人だと思います」


 ちょっと、マカナもエインさんも呑気なこと言ってないでよ。僕は困っているんだけど。あ、ようやくフウコが泣き止んだかな。


 「フウコ、大丈夫?」


 「うん…、大丈夫かも」


 はあ、よかった。頭を撫でたりとか、現代日本ならセクハラっていう話も聞くけど、この雰囲気なら大丈夫だったみたいかな。


 フウコ、ガチで泣いてたな。顔を覗いたら涙の跡があった。どうしよう、ハンカチなんて気の利いたものは持ってない。指で涙の跡を拭いたら、フウコがニコッと笑った。そして温かい風が吹いてきた。ああ、涙が乾くのね、魔法はこんな時も便利だな。


 どうしよう、もう一回頭を撫でておこうかな。なでなで。そんなことをしていたら、マカナに「あなたたち、本当に仲がいいわね」って呆れたように言われた。いや、慰めているんだからね。あ、エインさんは微笑みながら僕たちを眺めている。


 うわ、すごい恥ずかしいかも。気付いたら、左手でフウコの肩に手を回すような格好になってるけど、こういう場合、手はまだ離さない方がいいのかな。


 と、とりあえず話題を変えよう。ゴホンって大きな声で咳払いして、話し出した。


 「えっと、フウコ、マラマちゃんのことは別に関係ないからね。契約をしていなくても村から出て行くことは決めていたんだし、マラマちゃんとはこれからも仲良くできればいいけど、普通に友達の妹としてだからね」


 「うんうん、わかってるから大丈夫だって」


 ニコニコしながらフウコが答えた。笑顔が戻って良かったけど、これ、全然わかってないやつだな。


 「私としては、マラマちゃんとケースケさんもお似合いだと思うのですが」


 エインさんも微笑みながら変なことを言わないで欲しい。というか、精霊の貞操観念ってどうなってるんだ? この世界ではそういうのも許される感じ? だったら…


 いや、ちょっと待てケースケ。(よこしま)な考えが頭の中に湧いてきているぞ。実際、美少女の肩を抱きながら別の美少女の話をするって背徳感が半端ない。美少女精霊と美少女獣人の2人か… だから駄目だってケースケ! 気をしっかり持て! ヨコシマ妖怪退散! 


 マカナが呆れたように言った。


 「あんたたち、いつまで呑気な話をしてるの? それでいいわけ?」


 その通りだよマカナ。これでいい訳がない。僕はもう一度ゴホンと咳をして言った。


 「うん、話を戻そう。えっと、それで… あの、フウコとずっと一緒っていうのはどういうことだっけ?」


 フウコがびっくりしたように目を見開く。エインさんとマカナも一瞬固まったけど、エインさんが「ああ、そうでした」と言った。


 「そういえば、それを説明していませんでしたね。強い契約の場合、精霊にとってはある意味、自分の一部がケースケさんの中にあるようなものなのです。だから、離れたいと思っても離れられません」


 「え、でもさっきはけっこう離れてましたよね?」


 「それはまあ、精霊ですから。フウコさん、今試しにどれくらいまでなら離れられるか試してみてはどうですか?」


 「うん、分かった」


 そういうと、フウコはびゅーっと飛んで行った。んー、けっこう遠くまで行ったな。ぼーっとそれを見ていたら、エインさんが話し出した。


 「ケースケさん、フウコさんのことなのですが…」

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