表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/63

2-19 僕の寿命は? そしてエインさんの提案

活動報告にも書きましたが、タイトルを「精霊術師のんびり異世界サバイバル」から「社畜と精霊さんの異世界サバイバル物語」に変更します。

もし混乱された方がおられましたら申し訳ないのですが、今後ともどうぞよろしくお願いします。

 生唾を飲み込んで、僕は言った。


 「うん。すごい力だし、この力がなかったらみんなを守れなかった。それで、ええっと、ぼくの寿命の事なんだけど…」


 僕が寿命という言葉を口にしたら、みんなが固まって、フウコが下を向いた。あれ、急に空気が重くなったのはフウコの魔法じゃないよな。


 「はい、ただし心配しないでください。寿命を回復させる手段はあります」


 エインさんが安心させるように言った。でも、“回復”ということは、寿命が減ったのは確定なわけだ。ふう、何か怖い感じだけど、気をしっかり持って話を聞こう。


 「これも仕組みから説明しますね。人間が精霊の魔法を使うためには、精霊の力と人間の体を繋げる必要があります。それにより、精霊が人間の魔力を貰って魔法を行使する時以上に、精霊の力とこの世界との関係は強くなります。そのため、契約した人間の使う魔法の方が、精霊が魔法を使うよりも強い力となるのです」


 ええっと、精霊が燃料タンクとして、人間の魔力を使う場合だと少ししか燃料が使えず、契約した人間の体を利用すると一度にたくさんの燃料を使えるみたいな感じかな。さっきのサッカーの例えよりは分かりやすいかも。


 「ただし、その働きにより、精霊と契約した人間の体は、ある意味では傷ついた状態になるわけです。その傷は、魔力でもって悪影響を無くすことが出来るのですが、フウコさんという強力な精霊との強い契約に対して、ケースケさんの魔力は弱すぎるのです。そのため、このまま放置した場合、ケースケさんの体に悪影響が出ます」


 「悪影響というのは、体調が悪くなったりとかですか」


 「そうですね、全身の衰えです。今はまだ何の影響も感じないでしょうが、時が経つと影響が大きくなり、衰えが目立つようになります。かつては、この状態は契約病と呼ばれていました」


 いよいよ病気なんだな。でももうちょっと詳しいことを聞かないと、詳細は分からないな。


 「さっきの説明にあった強い契約というのは?」


 「契約には色々な形があるのですが、精霊の力をあまり使えない代わりに、体に大きな影響を与えないような契約の形もあります。いわば、小さな傷の契約とでも言いましょうか。その場合、持っている魔力がそれほど強くなくてもほぼ体に影響は出ないでしょう」


 まあ、弱い契約でもマラマちゃんの魔力では危険なのですが、とエインさんはつぶやいた。なるほどね、燃料タンクの例えで言ったら、無理やりたくさんの燃料を使えるように体を改造している感じかな。そりゃ悪影響も出るよね。しかも、強い契約は体を大改造しているというわけか。


 「僕の契約を弱い契約に変更したりは出来ないのですか?」


 「残念ながら、簡単ではありません。弱い契約ならば、精霊の意思で解除することができます。しかし、強い契約の場合は、精霊と人間との結びつきがあまりに強いため、上位の精霊の力が必要です。この場合は、風の大精霊の力ならば契約を解除することが出来るやもしれません」


 「風の大精霊さんというのは?」


 「かつてこの地におられました。しかし、この地が荒野になってから一度もお会いしておりません。今どこにおられるか、私たちでも心当たりはありません」


 「なにしろ風の精霊だもんね。自由気ままに世界中を飛び回ってるのかもしれないわね」


 マカナが口を挟む。確かに風の精霊だもんね。好き勝手に飛び回っていても不思議はない。


 「ですが、ケースケさん、大丈夫です。大精霊ではなくてもそれなりの精霊ならば、契約による体への悪影響を取り除くことが出来ます。原因そのものをどうにかするわけではないので、全てが解決するわけではないのですが、数年ごとに悪影響の除去をし続ければ、ケースケさんの寿命に影響はでないでしょう」


 ふむふむ、契約の影響で毒のようなものが出ているイメージかな。毒が出るのを止めることはできなくても、定期的に毒を除去していれば、問題なく健康な日常を送れますよという感じか。


 「じゃあ、みんなが契約の悪影響を取り除いてくれれば、とりあえず大丈夫っていうことですか?」


 「それなのですが… フウコはそもそも契約の当事者なので、この契約の悪影響に関わることは許されておりません。そして、私がそれを出来ればいいのですが、まだ弱った力を取り戻せていないので、今の私には無理なのです」


 「私も無理ね。荒野にきれいな川を流しているだけでそうとう力を使っているし、強い契約に関わる余力はないわ。悪く思わないでね、助けてあげたくても無理なものは無理だから」


 ちょっと読めてきたぞ。なんか3人が元気がないような気がしたけど、僕が来る前にこのことを話していたんだな。それで、3人とも出来ることが無くて暗くなっていたのか。


 「じゃあ、僕の魔力が弱いから体に悪影響が出るんだから、僕がなんとか魔力を強くできればいいのかな?」


 「そもそもケースケさんの魔力は人間の中では強い方です。そして、フウコさんのような強力な精霊との強い契約でも体に悪影響が出ないほどの魔力は、人間が得ることは非常に難しいでしょう」


 うーむ、こんなところで僕が強い魔力の持ち主であることが判明したのにはびっくりだが、さすがにそれを喜べるほど楽観的な状況では無いっぽいな。本当なら、「ふ、俺の強力な魔力に気付くとはさすがは林の精霊」ぐらいのことは言ってみたいのだが。


 「そこで私からご提案したいことがあります」


 お、さすがエインさん、こんな状況でも解決策を提示できるのか。教師向きと思ったけど、人間だったらコンサルとか政治家とかもいけるかもしれないな。


 「力の強い精霊に出会うために、自然の豊かなところに出向いてはいかがでしょう。聞くところによると、ケースケさんは人間のいる場所に行く準備をされているとか。そちらの場所の方が、荒野よりも多くの精霊がいるはずです」


 なるほど。そりゃあ、たくさんの人がいるということは、近くにはその人たちを支える自然もあるということだもんな。今、荒野にいるからこそよくわかる。人間は自然に支えられていないと生きていけない存在なのだ。もし文明がすごく発達したら別かもしれないけど。


 「まあ、精霊にそれほどのことをしてもらうには、信頼を得てケースケさんの価値を認めさせる必要がありますが、フウコさんもいますし、大きな問題にはならないでしょう」


 え、そうか? フウコが精霊さんを説得してくれるっていうこと? うーん、フウコは誰とでも仲良くなれそうなキャラだけど、説得は別じゃないか? まあ、でも、精霊さんはみんなチョロい、じゃなかった優しいし、何とかなりそうかな。


 「よくわかりました。それでは村から出発する準備を進めて行こうと思いま」「ケースケ、ごべんねえぇ」


 フウコが突然謝った? 「ごべん」って言ったけど謝ったんだよな? 泣き声で「ごめん」が「ごべん」になったのか? え、フウコ、泣いてるの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ