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2-11 ひょっとして春が来た!? そしてマラマちゃんのお誘い

 「う、うん。でも、そんなにすぐじゃないよ。準備も色々いるし、最低でもまだ1カ月ぐらいは村にいると思うけど」


 僕がそういうと、マラマちゃんは僕を数秒間じっと見つめたあと、うなずいて立ち去っていった。え、それだけ? 何か他に言いたいことがあるんじゃないの?


 キツネにつままれたような気持でマラマちゃんの後ろ姿を見送る。えっと、どういうことなんだろうか。正直、質問の意図は全然わからない。


 わからないんだけど、でも、自然と顔がニヤけちゃってるのを感じる。いやー、これはもしかしたら僕にも春が来ちゃったのかなー。


 「ちょっと、ケースケ、なにニヤニヤしてるのー」


 フウコに突っ込まれて、「別にニヤニヤとかしてないよ」と、自分でも無理がある言い訳をする。僕は今、確実にニヤニヤしてるもんな。


 「え、これってもしかしたらそういうこと!? キャー、そうなの!?」


 いやいや、まだそうと決まったわけじゃないから! フウコ、ちょっとからかうなよ!


 「ちょっとちょっと、ケースケはどうなのよ、そのお気持ちってやつは?」


 いやいや、気が早いって。え、でもそういうことも考えておいた方がいいのか?


 まあでも、実際のところ、村から出る決意を固めた所だしなあ。可愛い女の子から好意を持たれたからって、急に出て行くのを止めますっていうのはちょっとなあ。


 それに、マラマちゃんはまだ中学生ぐらいなんだよなあ。僕との年の差は多分10歳ぐらいあるし、さすがに犯罪だよな。この世界の法律がどうなっているかわからないけど、僕の中にも現代の日本人としての良識がある。


 ただ、、、マラマちゃんは大人になったらすごい美人になるだろうなあ。いや、大人になったらというか、なんなら今でもかなりの美人さんだ。この村の人たち、シバ族とか言って柴犬っぽい耳とかあるくせに、みんな妙に西洋的な美男美女顔なんだよな。


 いやいや、駄目だケースケ、誘惑に負けるな。マラマちゃんも気の迷いということもある。あと5年、いや、せめて3年たってお互いの気持ちが変わらなかったら、その時は真剣に考えよう。


 3年後、荒野の外で成功した僕がマラマちゃんを迎えに来る、それを頬を赤くして見つめるマラマちゃん… これはモテ系主人公が始まったか! 僕の印象だと、異世界系の物語の8割、いや9割はモテ系主人公といっても過言ではない。僕もこの世界に来て苦労しているし、そういうご褒美展開もありなはずだ。


 「そうかー、ケースケもそんなお年頃かー」


 いやいや、フウコ、僕はむしろそんなお年頃はとっくに通り過ぎたお年頃だけど、ちょっと落ち着こう。とはいうものの、幸せの予感って、いくつになってもいいものですよね。


--------------------


 そんな感じで浮かれたり、もし告白されたらどう答えるか真剣に悩んだりしながら、僕は日々を過ごしていた。


 そして、数日後、僕はマラマちゃんから声をかけられた。


 「ケースケ、ちょっとついて来て欲しい」


 え!? まさか!? 胸が高鳴る。フウコも「え、え、そうなの!?」とか言って騒いでいる。フウコ、落ち着いて。僕も落ち着け。ここは大人として、余裕のある態度で対応するんだ。せっかく好意を持ってくれたマラマちゃんを失望させるわけにはいかない。この困難なミッションを必ず達成するんだ。


 僕はマラマちゃんについていく。どこに連れて行かれるんだろう。やっぱり人目がないところだよな。え、人目がないところって、そんなところで2人っきり、うわ、これどうなっちゃうんだ。


 そう思っていたら、あれ、マラマちゃん、そっちに行くの? マラマちゃんは、長老の家に入っていった。


 ん? どういうこと? 怪訝な気持ちで僕も長老の家に入っていく。


 中には、長老が座っていた。


 「よく来たな、ケースケ。そこに座ってくれ」


 そして、マラマちゃんは長老の横に座る。


 えっと、思っていた展開と違うぞ。これは、僕は甘酸っぱい展開かと思っていたけど、むしろ婚約とかそういう展開か? 婚約!? いやいや、長老、いくらなんでもちょっと早すぎで…


 「ケースケ、エイン様のことで話がしたい」


 そうマラマちゃんが言った。


 …あ、もしかして僕、全然勘違いをしていた? やべっ、顔が真っ赤になってるのが自分でもわかる。


 思い返してみると、マラマちゃんからは村を出て行くかどうか聞かれただけだ。ちょっと、これじゃあ可愛い女の子に話しかけられただけで勘違いしちゃった非モテみたいじゃないか。


 いや、僕はあくまで可能性の1つとして考えていただけで、別にマラマちゃんの気持ちを決めつけていたわけではないからね。だからフウコ、空中で転げまわって爆笑するのを止めてくれないかな。


 というか、フウコにも責任の一端はある気がする。フウコが煽るから僕の勘違いも加速したっていう面もあるし、そんなに笑うのはひどいんじゃないだろうか。


 そう思ってフウコの方を睨みつけていると、マラマちゃんが不思議そうに言った。


 「ケースケ、どうかした?」


 「あ、いや、大丈夫。えーと、エインさんの事って?」


 まだ全然気持ちは立て直せていない。だけど、恥ずかしさをごまかすためにも話に集中したい。フウコもいい加減笑うのを止めて話に集中しようね。


 そして話というのは何かというと、マラマちゃんは僕が旅立った後のエインさんと村人とのコミュニケーションを心配していたのだった。


 なるほどね、だからエインさんと話している僕をじっと見つめていたり、僕が村から出て行くかを気にしていたのね。うん、すごく納得だ。そして、そんな事で勘違いする非モテの馬鹿なんてこの世に存在しないと信じたい。


 でもまあ確かに、今は仕組みができてきたから、エインさんと村人とのコミュニケーション手段が無くても日常的には大きな問題はないけど、村人がエインさんに聞きたいこととか、エインさんが村人に伝えたいことができたときには困るだろうな。


 今も、細々したことはちょくちょく僕が仲介している状態だし、マラマちゃんの心配は確かにもっともだと思う。マラマちゃんはまだ子供と言っていい年なのに、村の事をしっかり見ていてえらいよな。どこかの浮かれてる大人とはえらい違いだ。


 でも、実際のところ、話すこともできないのにコミュニケーションって無理なんじゃないのって思ったけど、マラマちゃんはいい方法を考えてくれていた。


 なるほどね。その方法ならいけるかもね。早速エインさんと相談してみよう。

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