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2-5 よごれの解決策の検討、そして村人総出の出動

 「ところで、あのよごれですが、僕も何とかしたいのですが、いい方法が思いつきません。何かいい方法をご存じないですか?」


 元の世界に戻る手がかりが無いことがいきなり明らかになって、ちょっと残念だったけど、落ち込んでいる場合ではない。よごれを何とかする方法を土の大精霊さんに聞いてみた。


 「うむ、何とかするのは大変困難じゃ。複数の大精霊がその力を振るったとしても、完全に処理し終わるまでには長い年月がかかるであろう」


 え、そんなに大変なのか。大精霊っていうぐらいだから、フウコとかエインさんとかより力が強いんだよね。それが集まっても長い年月がかかるの?


 「僕の魔力を使うなりなんなりで、状況が良くなったりも無理でしょうか」


 「うーむ、お前たちはマカナラ川の川下に住んでいるということじゃったな。なぜそんなところに住んでおる? そもそも、この辺りは人の住むようなところではないぞ。別のところに移動してはどうじゃ?」


 まあ、それは確かにそうかもしれない。個人的には、あの村から離れて残念なのは、せっかく仲良くなった木の精霊のエインさんとお別れしなければならない事ぐらいだ。だけど命には代えられないしな。


 でも、それを決めるのは僕じゃなくてシバ族の村人たちだ。シバ族は訳ありっぽいけど、どうなんだろう。


 「トゥハン、ちょっと聞きたいんだけど…」


 「うん?」


 突然自分に振られたトゥハンが変な声を出したけど、気にせず今の話の内容を伝えた。すると、トゥハンはこう言った。


 「うむ… ケースケには事情を話していないが、我々は元々住んでいた国には戻ることのできない事情がある。そして、他の国に行くあても無いし、良い手段も無い」


 だが、村で生きていけぬのならば移住することを検討すべきか… トゥハンはそうつぶやくように言い、難しい顔をした。


 「ねえねえ、あれを埋めちゃったりは出来ないの? あなたなら出来るんじゃないの?」


 フウコが土の大精霊さんに向かってそう言った。


 「埋めることは出来なくはない。だが、埋めてしまったら、そのうち大爆発を起こすじゃろうな」


 そうなの!? 大爆発!?


 「そうなの!? 大爆発!?」


 僕とフウコの感想が一致した。いや、それどころじゃない。大爆発はまずい。


 「うむ。数十年後か数百年後かはわからんがな。むしろお前の領域じゃろう。あのよごれから出る毒素がたまって爆発する」


 「えーそうなの? フウコにもそんなのわかんないよー」


 うーん、土の大精霊さんの力なら、埋めることは出来るけど、その場合は将来爆発すると。一時しのぎだな。先の話だから、気にせず埋めちゃうとか… いやいや、さすがに無責任すぎる。


 「だがまあ、人間たちが力を貸し続けるというのであれば、危険を少なくすることは出来なくはないな」


 おお、土の大精霊さん、そんなことが出来るのですか? なんとか希望はあるのか?


--------------------


 その日は、土の大精霊さんに対応策の詳細を聞き、村に帰った。そして、長老に報告。長老やトゥハンで村人たちに話し、土の大精霊さんのアイデアを採用することに決定した。


 木の精霊エインさんの時と同じ流れだな。でも、精霊も僕ももうだいぶ信頼を得られているので、あの時と違ってあっさり話がまとまった。


 そしてその次の日。シバ族の村人たちは総出で“よごれ”の方に向かっていた。年寄りから子供まで本当に全ての村人が一緒にだ。


 僕としては、けっこう深刻な事態だし、もちろん魔物の襲撃の可能性も無くはないし、そんなに楽観的な気分ではない。


 でも、村人たちはなんかテンションが高いんだよな。どうも、総出で出かけるみたいなのが初めてみたいで、トゥハンも張り切って先導しているし、子供たちなんてピクニックみたいな感じだ。トゥハンの妹のマラマちゃんも、いつもより楽しそうにしている気がする。


 まあ、実際は、フウコに索敵を頼んでいるから危険は少ないし、気楽な感じでも大丈夫なのかもしれない。でも、この状況で沈んでいないことに村人たちのタフさを感じるな。


 そして、昼過ぎには目的地に到着した。目的地といっても、よごれまではまだ遠い。もうちょっと行けば、空気が汚れているというあたりだ。


 なぜこのあたりかというと、昨日、土の大精霊さんと話した時、「わざわざ空気が汚れているところまで来ることはあるまい」と言ってもらったので、お言葉に甘えてこの辺りを集合場所にさせてもらった。この辺りの気遣いも、土の大精霊さんの優しさが伝わる。雰囲気は怖すぎるけど、ここは好意的に解釈しておきたい。


 フウコが「じゃ、呼んでくるからちょっとここで待っててー」と言って、飛んでいく。


 さすがに村人たちにも緊張感が出てきたな。大人はもちろん、子供たちもちょっと心配そうな顔をしている。それを見ていたら、僕もちょっと緊張感が湧いてくるな。


 そんなことを考えていたら、昨日と同じ感じで地面が揺れ、そして体の奥から震えが来た。え、ちょっと、村人がびっくりするから怖がらせないでほしいんだけど。子供もいるんだよ。


 そして、地面の下から土の大精霊さんが浮き上がってくる。ん? 昨日よりは小さいか?


 土の大精霊さんは、3階建てくらいの高さまで伸びていって止まった。


 「我がこの辺りの大地に宿る土の大精霊である」


 「ちょっとー、だから人間を怖がらせないでって言ったでしょー」


 フウコの言うとおりだ。小さくなれるんだから、もっと小さくなって出て来て欲しかった。


 「うむ、我が偉大な存在である事を人間どもに知らしめたかった。昨日よりは怖がらせないようにしておる」


 だから昨日より小さいのか。うん、気遣いが中途半端かもしれない。怖いから言わないけど。


 「それでお前、我の言葉をその者どもに伝えよ」


 「お前じゃなくてケースケね!」


 フウコが僕の名前をお知らせしてくれるけど、いやほんと、恐れ多くて名前とか憶えてくれなくてもいいぐらいな気持ちだけど。覚えられて人間代表とかで天罰を与えられるとか嫌だし。


 「あ、はい、すぐにお伝えします」


 そう返事して、村人たちに土の大精霊さんが現れたことを伝えた。まあ、伝えなくても、もうみんな目を見開いて立ち尽くしている。なんなら、祈りのポーズをしているご老人とかもいる。


 そして、僕が伝えたことを確認して、土の大精霊さんの体は小さくなった。


 僕たちを恐れさせるためだけに大きな体で登場するのは、すごく無駄だと思うけど。どうせ僕にしか見えないんだし。大精霊でも精霊クオリティなんだよな。精霊って、どうも考えがわからん。

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