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2-3 川の汚染危機、そして調査に出発

 とりあえず、水の精霊さんの話を聞いてみた。すると、残念ながらけっこうシャレにならない事態だった。


 要するに、この川の上流の近くに、危険な毒物のようなものが埋まっていたらしい。それが爆発して地表に出てきたということだ。


 「え、じゃあこの川は汚染されているってこと?」


 「うーん、人間の事は分からないけど、今すぐ病気になったりはないかな。よごれが直接川に流れ込んでるわけじゃないから。でも、崖崩れでもあったらやばいかも」


 「その“よごれ”ってやつが直接川に流れ込んだらどうなるの?」


 「人間にはこの川の水は使えなくなっちゃうわね」


 「はあっ、それはやばいって! どうすればいいの?」


 「とりあえず、あんたがそこに行ってみなさい。話は通しておいてあげるから」


 そういうと、水の精霊さんは水の中に消えていった。


 え、ちょっと!? 話を通すって誰に? 状況が飲み込めてないんだけど?


 水の精霊さんを引き留めようとしたけど、もういないみたいだ。フウコの顔を見たけど、「大丈夫。行けば分かるよ」ときりっとした顔で言われた。


 精霊って、ちょっと言葉足らずなところがあると思います。ホウレンソウとか教えてあげたい。報告・連絡・相談が社会人の基本なんだぞ。少なくとも、僕はそう教わった。


 そして、せっかく落ち着いた暮らしが出来てきたところなのに、また面倒なことに巻き込まれてしまったみたいだ。もう少しのんびりしたかったなあ。


--------------------


 その後、村に帰って長老たちと相談したところ、僕とトゥハンが調査に行くことになった。もちろんフウコにも同行してもらう。フウコ無しの僕なんて、ただの役立たずだしね。情けないけど。


 だけど、村人たちが僕に過大な期待をしている感じなのがちょっと怖い。長老も、不安そうにしている村人たちに「心配するな。ケースケとフウコ様が動いてくださる。精霊様のご加護が得られるだろう」とか言っていた。


 精霊様のご加護的なことは、確かに得られている気がするんだけど、精霊と話せる僕からすると、全然それが万能という気がしないんだよね。確かに強力だとは思うんだけど、なんか時々頼りなく感じてしまうのは、精霊さんたちのキャラのせいだろうか。


 まあ、ともかく確かに、行ってみないとなにも分からないというのが現状だ。そういうわけで、次の日の早朝から、僕とフウコとトゥハンで川の上流の方に向かった。


 「だが、その“よごれ”とかいう物の場所は分かるのか?」


 「うん、フウコに任せて! ちゃんと案内してあげるから!」


 最初に話した方がトゥハン、次がフウコの言葉。これだけ聞くと2人が話しているみたいだけど、フウコの言葉はもちろんトゥハンには聞こえていないので、僕が伝言する。


 「フウコ様が大丈夫というのだから問題ないのだろうが、この辺りは俺も初めて来るところでな」


 なんでも、川の上流の方にはあまり探索が進んでいない場所らしい。ただでさえ、山に分け入ることになり大変なうえに、強力な魔物が目撃されており、危険と考えられている地域なのだそうだ。


 それにしても、フウコへの絶大な信頼がすごい。実際に見えたり話したりできると、ちょっと信頼が揺らぎそうだよな。一応、村人にはフウコの適当なところは伏せてある。なんか、フウコの悪口みたいになりそうだしね。


 「でもさ、フウコはなんで場所がわかるの? もう見に行ってみたの?」


 「ううん、見に行ってないよー。まあ、見に行かなくてもなんとなくは分かるけど、それより川の精霊が案内してくれるしね」


 川の精霊さんが?


 「でも、ここは川からちょっと離れているじゃない」


 実際、川沿いは崖とかなんかで歩ける様子ではなかった。フウコに道案内を頼んでいるから、もう川からどれくらい離れたかは分からないけど、少なくとも川の流れの音は聞こえない。


 「こんぐらいの距離なら全然大丈夫だよー。フウコは風の精霊だよ! 川の精霊もこっちの動きを気にしてくれているしね」


 こんぐらいの距離がどんくらいなのかは分からないけど、川の精霊さんもこっちの動きに合わせてついて来てくれているらしい。あの精霊さん、きつそうな性格の感じだったからちょっと怖かったんだけど、実は優しいのかな。


 「うーん、でもそろそろちょっとやばいかもなー」


 「え、やばいってどういうこと?」


 僕がそうフウコに聞くと、僕たちの会話を伺っていたトゥハンが「やばい」という言葉を聞いてビクッてする。


 「なんかこの先の空気が汚れてるねー。まだ割と遠いのにこんだけ汚れているのはけっこうやばいことになってるかもねー」


 「え、どうするの?」


 僕も立ち止まって、フウコの方を見る。


 「フウコは風の精霊だよー。空気の汚れなんて専門分野ってやつだから。でも魔力は貰うね」


 そういってフウコは僕の腕を握った。すると、体の周りになにか空気がまとわりついた感じになる。


 「うん、これで大丈夫。じゃ、行こうか!」


 そういって、フウコは前の方に飛んでいく。


 トゥハンの方を見るとトゥハンの体が少し光っているように見える。これもフウコの魔法だろう。フウコもやることはちゃんとやるんだよな。でもトゥハンは驚きと不安が入り混じった表情で僕を見つめている。


 「あ、大丈夫だって」


 トゥハンにそういって、僕は急いで先に行ったフウコについていく。


 「お、そうなのか? ケースケ、すまんが何が起こっているのか教えてくれ。俺はフウコ様の言葉は聞こえんのだぞ」


 うん、不安になるよね、ごめんねトゥハン。僕ももっとちゃんと説明しながら進みたいんだけど、精霊さんたちがどんどん勝手に動いちゃって、僕もついていくだけで必死なんだよね。事後報告になっちゃうかもだけど、できるだけ説明はしていくからね。

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