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2-2 川の精霊さん、そして警告

 そんな感じで、ここ数日はフウコやエインさんと話したり、村の作業をお手伝いしたりしながら比較的のんびり過ごしていた。住めば都じゃないけど、みんな優しくしてくれるから村の暮らしは居心地がいいんだよな。


 一応、僕もずっとこの村にいるつもりは無い。元の世界に帰るための情報収集もしたいし、単純に、せっかくこちらの世界に来たんだから、もっと都会はどんな感じなのかとかも見てみたい気分もある。まあでも、もうしばらくこの村にいてもいいかな、外は危ないし。


 そんなことを考えながら、僕は川で水汲みをやっていた。


 エインさんと村との協力関係のために、村の状況は良くなりつつあると思う。その中で、いまいち改善ができていないのが、水の確保の問題だ。村には井戸などは無く、村人は毎日川まで水を汲みに行く。川までは約15分といった感じかな。でも、最後にちょっとした崖みたいになっていて、山道みたいな小道を降りていかなければいけない。


 もちろん、移動の途中で魔物が出ることもあり得る。この辺には、強い魔物は出ないとはいえ、老人や女子供だけで水汲みに行かせるわけにもいかず、必ず戦うことのできる村人が何人か護衛に付く必要もある。


 そして、林を増やすのにも使われるので、水はこれまでより多く必要になっている。それに、僕も水を貰っているしね、あくまで1人分だから、そんなに負担になってないと思いたいけど。


 だから、水汲みは人手がたくさん必要な作業となる。なので、僕もお手伝いぐらいしないとなと思い、僕は村人たちについて行って川に入って桶で水をすくっていた。すくった後は、崖の上に登って行って、その上に待機している荷車の上の大桶に水を入れる。それを何度も繰り返し、ようやくその日の分の水を確保できる。


 これをもう少し楽に出来たらいいなあとか考えながら、桶に水を入れる。時間も人手もかかるけど、腰が痛くなるのも辛い。あと、この川って魚がいないんだよね。安全性とか大丈夫かな。なんで魚がいないのかも気になるし、ちょっと心配だ。


 そんな風に考えながら桶を救っている時、突然誰かに話しかけられた。


 「あなたが精霊と話せる人間?」


 顔を上げると、青い髪の美少女と目が合った。というか、この子、川から上半身が生えていないか? ということは…


 「おー、川の精霊ちゃんじゃーん。おひさー」


 とフウコが話しかける。やっぱり精霊さんか。


 「あなた相変わらず変な話し方してるわね。なんでそんな話し方になるわけ?」


 「最近はフウコって呼ばれてるんだよ。あなたもそう呼んでね」


 「フウコ? なんか由来とか無さそうな名前ね。あなたはそれでいいの?」


 「うん! だって可愛くない?」


 「まあ、あなたがいいならいいけど」


 フウコは仲がいいみたいだ。それで、僕になんか用なのかな? とりあえず、話しかけてみるか。このままだと、水の精霊さんとフウコでガールズトークが延々続く可能性がある。


 「こんにちは。僕はケースケです。僕に何か御用ですか?」


 「なんか気持ち悪い話し方をする人間ね。でも、精霊と話せるっているのは本当みたいね」


 気持ち悪いって思われた。第一印象を気にして丁寧に話しているつもりなんだけど、精霊には逆効果なんだろうか。


 「ごめん、もっとフランクな話し方の方がよかったかな?」


 「そりゃそうよ。あんまりあんな変な話し方をする奴はいないから」


 そこまで変かな。あんまりそんなこと言われたことはないから、ちょっと傷つくけど。


 「そりゃ悪かったな。それで、僕かフウコになんか用?」


 「ええ。一応警告しておこうと思って。あんたたちと一緒にいる木の精霊が、あんたたちの営みを喜んでいるんでしょ」


 警告? 気になる言葉があったが、僕が聞く前にフウコが話し出した。


 「エインね、木の精霊のあだ名」


 「あの子もそんな名前を名乗ってるの? あの子はエイヌディンバの森の精霊っていうちゃんとした呼び名があったじゃない」


 「時代は変わるのよ。あんたも、そんなんじゃ時代に取り残されるよ」


 「はあ!? あんたが移り気なだけでしょ!」


 フウコが移り気… なんかわかる気がする。僕もそのうち捨てられるのかなあ。じゃなくて、この精霊さんの話だ。


 「ごめん、水の精霊さん、警告って?」


 「ええそうね。私も用件をさっさと済ませようと思っているわ。でもその前に、あれを何とかしておいた方がいいんじゃないの?」


 水の精霊さんが指さす方を見ると、村人たちがこっちを見て固まっている。確かに、何とかしておいた方がよさそうだな。


 「すみません、実は水の精霊さんが話しかけてくれまして、ちょっとお話ししてから帰りますね」


 そう村人たちに言っておいた。水汲みももう終わりそうだし、魔物の護衛も十分にいそうだし、僕だけここに残っても大丈夫だろう。


 トゥハンが呆れたように言った。


 「今度は水の精霊様か。お前の周りには多くの精霊のお方がおられるのだな。くれぐれも失礼のないようにな」


 精霊に失礼なことなんかしたことはないはずだ、多分。失礼なことをされたのはけっこうある気がするけど。


 まあ、ともかく、村人の方はこれでいいだろう。改めて水の精霊の方を向く。


 「それで、警告って?」


 「木々のお世話をしている人間たちのためだから教えてあげるけどね、あんたたち、このままだと死んじゃうわよ。何とかした方がいいわ」


 えぇぇ。また死に直面することになるのか。この世界が厳しすぎるのか、精霊さんがすぐ死ぬ死ぬ言いがちなだけなのか。精霊さんたちは人の事をあんまり知らないみたいだし、思ったより大したことない、みたいな事だったらいいけどなあ。

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