閑話 フウコ先生の魔法とかの授業
時は少しさかのぼって、僕がこの世界に来た日のこと。僕とフウコは一緒に人のいる所を目指して移動していた。
ただ歩いているだけなのも嫌だよな。せっかく、精霊さんと話す貴重な機会なんだし、何かお話ししたいよな。というか、情報収集ができるじゃないか。この後、恐らく必要になるだろうし、魔法の事とか色々聞いておきたい。
「フウコ、今って質問とかしてもいいよね?」
「フウコに? もちろんだよー。フウコ先生が何でも答えてあげようではないか!」
フウコは本当にノリがいいというかなんというか。まあ、こんな状況だし暗い性格だったりするよりはいいかもしれないけど。
「じゃあさ、魔法って僕にも使えるのかな?」
まずは、一番興味のあることを聞いてみた。せっかく異世界に来てしまったわけだし、やっぱりこれだよね。やっぱり詠唱とかするのかな。それでかっこよく杖を魔物に向けると、すごい爆発が起こって魔物が一掃される。ロマンだよね。
「うーん、使えるんじゃないかと思うけど、人間の魔法はよく知らないんだよね」
フウコ先生が1問目からつまづいた。まあでもそうか。精霊なんだから、人間の魔法の事はあんまり知らないか。
「じゃあさ、僕って特別な力や能力があったりするのかな? 精霊が見えたりする以外で何かあるの?」
異世界物といえば、やっぱりチートだろう。僕も何かすごい力を授かっていたりするんじゃないだろうか。何がいいかな? 経験値増加系とかか? 最初は苦労しても、すぐに最強になれたりするんだよな。あとは、能力を吸収出来たり、アイテムを強化できたり、そういうのが馬鹿にされがちでも実は強かったりするんだよな。
「ケースケの能力? そんなの私の方が聞きたいよ。自分の事は自分が一番わかるでしょ? なんで私に聞くのよ?」
フウコにすごく不思議そうな顔をされた。だけど正論か。たしかに今日出会ったばかりの人に、いや人じゃなくて精霊だけど、自分の事を聞くのもおかしな話か。
もう少しこの世界のこととかを聞くべきか? そういえば異世界と言えばあれもあったな。
「ちなみに、自分のステータスとか見れたりしないの?」
「ステータス? なにそれ?」
「なにそれ」って… 言葉が違うのかな?
「ええっと、つまり、自分の力とか魔力とかが表示されたりするやつが無いのかなって思ったんだけど」
「力が表示? どうやって?」
「えっと… 空中に浮かんで見えたりとかかな」
「空中に力が浮かぶ!? いったいどういうこと!?」
空中に浮かんでいる精霊さんに突っ込まれた。確かにどういうことだろう?
「いや、ごめん、そういう道具とかあったりするかなとか」
「空中に浮かぶ道具!? そんなの見たことないよ! どういう道具なの? 詳しく教えて!」
いや、質問しているのは僕なんだけど。フウコは先生役じゃなかったっけ。あれか、空中に浮かぶというは風の精霊にとっては聞き捨てならない事だった感じかな。
「ごめん、それはいったん忘れて。例えばの話だったから」
「なにそれー! ケースケの元いた世界に空中に浮かぶような道具があるのかと思っちゃったよー!」
「え、えっと、いや、それはそれで無くは無いけど」
飛行機とかヘリコプターとか、なんなら最近はドローンとかも出てきたし。
「な!? なんですとー!! どうやって、どうやって、魔法!? いや、確か魔法はない世界だったとさっき言ってたけど?」
それから、長い間、いろいろな飛行物について聞かれた。飛行機、ヘリコプター、ロケットや気球、果ては宇宙の事まで聞かれた。まあ、僕は文系だし原理とかはよくわからないんだけど、飛行機に乗ったことがあるって言ったら、乗り心地から機内食のことまで話す羽目になった。
「な、なんてこと。可能性の広がる音が聞こえる… これは風の精霊たるフウコにとってよいことか? 仲間が増える? いやしかし、フウコの特徴が薄まるという意味では、ライバルが増えると捉えるべきか?」
あああ、フウコが自分の世界にいっちゃった。「鳥の精霊にも教えてやるべきか? でもまだ可能性の域を出ないし…」とかつぶやいている。このままでは、浮かぶ精霊による大会合とかも開かれるかもしれない。
そして、僕の聞きたいことは全然聞けていないんだよな。まあ時間はたくさんあると思うからいいけど。でも、もう僕に話せる空飛ぶ乗り物の話は尽きたかもな。
「ところで、そろそろ話を戻してもいいかな?」
「は、そうだった! あまりの衝撃にケースケがフウコに質問をしていたのを忘れていたよー! それでなんだっけ? ケースケの世界では力が空に浮かぶんだっけ? え、どうやって!?」
「いや、ごめん、全然そんな話じゃない。能力を数値化したりとかしてさ…」
「能力を数値化!? そんなことが出来るの?」
いや、僕が質問しているんだけど。
「いや、出来たりするのかなって思ったんだけど」
「どうやって? はっ、まさかケースケの元いた世界では、そのような超技術も開発されているというの!?」
いや、そういうわけでは… あ、でも握力計とか背筋の力を測るやつとか、ある意味、力の数値化か? いや、これをフウコに言うとまたややこしいことになりそうだから、止めておこう。
「いやいや、ごめん、そんなのがあると便利だなって思っただけだから、忘れて。じゃあレベルアップとかは…」
「レベルアップ? なにそれ?」
レベルアップって、そう言えばなんなんだ?
「えっと、こう、魔物をたくさん倒すと急に力とか魔力とかが増えて…」
「なんで!? なんで魔物を倒すだけで力が増えるの? おかしくない? ケースケの世界はそんな仕組みになっているの?」
「いや、そういう訳じゃないんだけど…」
「なんかさっきから聞いてくることが変じゃない? どうしてそんなに変なことを聞くの?」
「いや、ええーっと、僕のいた世界の、なんていうんだろう、物語の設定とかが、もしかしたらこの世界に当てはまるかもしれないと思ったんだよね」
「なんで? 物語は物語でしょ? 物語のことが現実に当てはまるなんてことは無いんじゃないの?」
フウコが心底不思議そうに聞いてくる。
「なんでケースケは、この世界の事を聞くのに物語の事を聞くの? 普通は元いた世界の事と比べない?」
う、確かにそのとおりかもしれない。なんでそんなことをしたかって言うと… 僕が馬鹿だからか? 確かにフウコのいう通りだ。この世界の事を聞くんなら、自分のいた世界と比較して違いを聞くべきな気がしてきた。
うわ、すごい恥ずかしくなってきた。僕、もしかして全然的外れな事ばっかり聞いて、中二病というか頭の悪いお子様みたいな感じになってなかった?
いや、僕は別に極大魔法とかステータスオープンとかそういう世界に憧れているわけじゃ、いや、そういう世界は好きだけど、現実は現実として理解できる大人なわけだし、やばい、フウコにすごい誤解されちゃった気がする。
そんな感じで、しばしばかみ合わない会話を繰り広げつつ、僕たちのサバイバルは続いていったのであった。
今回の内容ですが、この世界の仕組みについてここまで説明をあまりできていないなと思い、書いてみました。この世界は、魔法はありますが、レベルとかステータスとかは無いです。
なお、魔法とか精霊との契約とかについては次章で説明がされると思います。




