003_社畜、荷物が届く前に会社を辞める
日曜日の朝。
スマホ片手に、半分寝ぼけた頭でオークションアプリを眺めていた。
(ジャンク家電ってこんなに安いのか?)
電子レンジ1円。
炊飯器150円。
液晶テレビ2000円。
ノートPC3000円。
(壊れてても俺なら全部直せるよな)
考えるより先に指が動き、
気付けば“落札”ボタンを連打していた。
ポチ、ポチ、ポチポチポチ。
(あ)
最終的に、
合計37件 落札していた。
(やべぇ
いや、でもこれ全部リペアしたら
普通にひと財産じゃね?)
とはいえ、発送元は全国バラバラ。
土日で届くわけもなく、
配達予定は明日・月曜以降の「順次」。
つまり今日できる事は何もない。
(よし、じゃあ先に、会社辞めよ)
俺は思考スキップでそう決めた。
■ ■ ■ 月曜日の朝:開き直り社畜
朝8時半。
ブラック企業・三谷商事。
いつものように満員電車に詰め込まれ、
いつものように出社したフリをした俺は、
心の中でウキウキしていた。
(だってもう今日で終わるし)
上司の机に向かい、深呼吸。
「課長。お話があります」
「んだよ朝から。どうせ休日出勤が──」
バンッ!!
俺「辞表です!!!」
課長「えっっ!?!?」
机の上で辞表が跳ねた。
「た、ただのお前何を」
「独立します」
「ど、どんな?」
「リペア業です。なんでも直せます」
「え、ええ?」
課長は理解が追いついていない顔だった。
追撃する。
「昨日、壊れた家電を大量に落札しました」
「」
「明日から順次届きます」
「?」
「全部直して売ります。
利益は多分、御社の給料を軽く超えます」
「ゴフッ(吐血)」
課長、机につっ伏す。
(大丈夫? 心配だけどまぁいっか)
俺は静かにオフィスを後にした。
社畜、退職。
荷物が届く前に自由獲得。
■ ■ ■ 地獄の宅配ラッシュ予告
月曜日の夕方。
スマホに宅配アプリの通知が来た。
《お届け予定:37件
明日〜金曜日にかけて順次配達》
(きた!
俺の“在庫”がやってくる!)
やばい。
ワクワクで眠れない。




