001_社畜、初めての“修復”をやらかす
初のコメディラノベ
なかなか難しい
講義を終えて外に出た頃には、もう日付が変わる数分前だった。
冷たい夜風が顔を撫でた瞬間、ようやく思考が戻ってくる。
(いや待て。俺なんで30万払ってんの?
てかなんで“リペアマン資格認定証”なんか握ってんの?)
財布の中はスッカラカン。心の中もスッカラカン。
あるのは不可解な認定証だけ。
「寝よう。明日考える。いや考えたくねぇけど」
ふらつきながらアパートに帰り、電気をつけた瞬間、
あまりのボロさと散らかり具合に逆に安心した。
六畳一間──湿気でヨレた天井、ミシミシ鳴る床、
コンビニ弁当の墓場と化したテーブル。
(ああ現実ってこういう匂いだよな)
ソファに沈み込んだ瞬間、認定証が手から落ちた。
試しにエンブレムを指で触れた瞬間、
ビリッ。
「うおっ!?」
静電気みたいな衝撃。次の瞬間、目の前に淡い光が浮いた。
──Repair Mode Activated──
「は???」
意味は分かるけど状況が分からない。
適当に壊れたリモコンをつまみ上げ、
ダメ元で手のひらで包み込む。
パァァァァッ!!
「まぶしっ!?」
リモコンは新品同様へと完全復活。
塗装は輝き、ボタンはプリップリ、電池カバーは完璧。
「おい。なんだこれ。
俺、今、本物の“修復”した?」
そこから俺は暴走した。
・脚が折れた椅子
・割れたコップ
・スカスカのベッドマット
・湿気で死んだ本棚
・十年沈黙してた空気清浄機
どれを触っても
パァァァッ!
ピッカァァッ!
ぎゅいぃぃぃん!!(謎の機械音)
全部、新品。
床の軋みは消え、壁紙は綺麗になり、
風呂のカビは蒸発し、換気扇は新車のエンジン音になり、
冷蔵庫の腐臭すら消えた。
気づけば部屋は─
新築物件(築0年)になっていた。
「やっべ! 俺、最強じゃん!!
これもう“資格”じゃなくて“神の奇跡”だろ!!」
興奮が爆発した。
「やってやるぞおおお!!
明日から俺の人生は完全リペアだぁぁぁ!!」
ガラッッッ!!
興奮のあまり、深夜0時に全開で窓を開け、
全力で叫んだ。
「俺の人生、完全復活ぁぁぁ!!
資格とってよかったぁぁぁ!!
ありがとなぁぁぁリペアマーーーン!!」
すると隣の部屋の窓がガッ!!と開き、
寝起きの住人が怒鳴った。
「うるせぇぇぇ!! 黙れ社畜ぅぅぅ!!
深夜に人生リペアしてんじゃねぇ!!」
「す、すみません!!」
こうして俺の人生初の“修復”は、
ご近所トラブルという形で幕を閉じた。
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