スキルを得る
ハンバーグ革命から数日、私は毎日料理長の所に通い。
新メニューをコツコツ増やしている。
骨から出汁を取るようにして、スープも格段に美味しくなった。昨日のオムライスも大好評だった。
二歳児がなんでこんなレシピが思い付くのかと、疑問に思われそうなもんだけど、ここはスキルがある世界。
「レティは食の神様の加護があるのかもね」
っで終わってしまった。
良かった。
ハンバーグを披露したものの、なんでそんなレシピを知っているのだと問われても、後の説明まで考えていなかったから助かった。
だって美味しいご飯に飢えていたんです。おバカな食いしん坊の私、反省してます。
そんなこんなで、今日は私の三歳の誕生日!
午前中は盛大にお祝いしてもらい、午後からはお父様と一緒に教会に行って創造神様からスキルをもらうのだ。
コンコンと部屋のドアがノックされメイドとお父様が部屋に入ってきた。
「レティ、馬車の準備も整ったし出発するよ」
「あい!」
お父様は私を抱っこしたまま馬車に乗った。
何げにお屋敷から出たことがないので、ドンバッセル領地が見れるのは楽しみ。
馬車の中ではお父様の膝の上に座り、外の景色を楽しんでいる。
お屋敷でもお父様やお兄様たちが、私を抱っこして膝の上に乗せるので、もう慣れたけれど初めてされたときは恥ずかしかった。
前世でも抱っこやハグなどされたことがないのだから。
でも大好きな人に抱っこされたり、こうやってくっついていると幸せな気持ちになるんだなって発見した。
「わぁ! 凄いでち」
「ははっ、レティは領地に来るのは初めてだもんな」
ドンバッセル領は想像していた何倍も人で賑わい栄えていた。
だけれど……なんだろう街の人ってあんな感じだだったかなぁ。
ラノベやゲームの中のCPUはもっと普通だったような……。
歩いている人たちのガタイがいい。普通の服を着ているんだけれど、その出立ちは屈強な戦士のよう。
「あにょ……街にょ人たちって、みんな冒険ちゃや戦士とかでしゅか?」
「みんな普通の人さ、ただこの領は隣国が近いし、魔獣が大量にいる新淵の森が近くにあるからね、ちょっと鍛えているかもだね」
……ちょっとどころではないような。なんならこの世界は世紀末で、ヒャッハーが登場しそうなガタイだよ。見た目は普通だけども。
「さ、教会に着いたよ。馬車から下りよう」
お父様は私を抱き抱えたまま教会の中に入っていった。
そこで迎えてくれた修道女さんが、神父さんのいるところに案内してくれた。
「ダスター神父様は、こちらの中でスキル神託の儀の準備中です」
案内された部屋に入ると、五メートルはゆうにある大きな創造神様の像があった。その姿は腰まである長い髪に整った綺麗な顔。男性なのか女性なのか性別がわからないほどに、中性的で見惚れる美しさ。
その横にマッチョ!? じゃない神父様が立っていた。
神父さんまでガタイがいいとか、どうなってるのこの領!?
絶対に普通じゃない。
「ではレシティア様、こちらの創造神様の前に立ち、目を閉じてお祈りください」
言われるがまま前に立ったけれど、そもそも祈るってどうするの?
とりあえず目を閉じ『創造神様〜初めましてレティシアです』と自己紹介してみた。
すると目を閉じていても分かるほどに眩しい。創造神様が輝いているんだろうか?
そして脳内に【封印】【解放】と直接頭の中に入ってきた。
眩しさが収まり目を開けると、私の前にお父様くらいの大きさの銅像と同じ姿をした光り輝く創造神様が立っていた。
「え?」
驚く私のおでこにそっとキスをしたら、創造神様はさっと消えてしまった。
「お父しゃま! みみっ見まちた!?」
「んん? どうしたんだいそんなに慌てて?」
お父様たちにはその姿は見えてないよう。
不思議そうに私を見る。
そうか私だけに見えたんだ。
「それでどんなスキルを頂いたんだい?」
「えっちょ、封印と…「なんだって【封印】だってなんてレアなスキル」
まだもう一つの【解放】を言い終える前に、お父様が興奮気味に言葉を被せてきた。
知ってはいたけれど、そんなに興奮するほどにレアなんだ。
興奮気味のお父様とは裏腹に神妙な顔で黙り込む。
「レティシア様のスキルは【封印】だけではありませんね。もう一つ【解放】も……」
「なんだって!? スキル二つ持ちだとそんなの何百年に一人現れたらいい方だ。それがレティなんて……」
「これは目立ちますね。しかもその力を利用しようとする者たち現れるでしょうね」
「ダスターよ。レティのスキルは【封印】だけだ」
「はい。わかっております。国にはそう報告しておきます」
お父様と神父様は真剣な面持ちで握手を交わしていた。
どんなスキルを持っているのか国が管理しているので、絶対報告しないといけないのだとか。なんらかの事件があった時のためらしい。
この後お屋敷に戻ると、家族会議が行われた。
「我らの可愛いレティにレアスキルが二つも現れた。このスキルを利用されないよう我らでレティを守るんだ! わかったな?」
お父様が拳を強く握りしめ、みんなを鼓舞する。
みんなもお父様と同じような熱い目をして、胸を力強く二回叩く。
「可愛いレティのため。なんでもしますわ」
「俺、もっと強くなる!」
「僕ももっと訓練いっぱいして強くなる」
「僕も」
「僕だって七歳になったばっかりだけど剣の訓練いっぱいする」
なんだかみんながメラメラと燃えている。
私も頑張らなきゃ。
あと一話夜18時に投稿します