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3話

毎週月曜日16時に更新予定です。



 2人は街の方に向かって勢い良く駆け出す。

「ビデンスっ!絶対に逃げるわよ!!」

「…っはい!エビネ様!」

 ビデンスはまだ背も低く体力も少ない。

 絶対に2人で無事に逃げ切らなくちゃ…!

 

 だが、ホーンウルフもその隙を逃すまいと、走り出す。

 やはり子供に追い付くのはホーンウルフにとっては容易い事で既にエビネ達のすぐ後ろまで迫っていた。


 もう駄目なのかな…。

 じわ、と涙が滲み 諦めそうになったその時――。

 

「ファイアーアロー!!」

 エビネ達の50mほど先から放たれた魔法はすぐ後ろのホーンウルフへ命中し、ホーンウルフは炎に苦しみ、絶命していた。


 魔法が飛んできた方向に目をやると

 そこにはエビネの兄

 エヴィルがこちらに走って向かってきていた。


「エビネ!!無事か!?」

 エビネはもうすぐ死ぬのかもしれない。という恐怖から

 解放され、信頼している兄を見つけると、

 思わず走り出し兄に抱き付くと安心感からか

 また涙が溢れ出す。

「うわぁぁん!!お兄様ぁ!!」

「もう大丈夫。ビデンスも怖かっただろう。

 おいで」そう安心させるように微笑むエヴィル。

 

「エヴィル様…ごめんなさい……ぼ、ぼくは、

エビネ様のことを守らなきゃ駄目だったのに…」

ビデンスの瞳からもぽろぽろと大粒の涙が溢れ出す。

そんなビデンスをエヴィルはエビネと一緒に抱き締める。

「エビネ。ビデンス。もう大丈夫だよ。」

 そう言うと声を上げて泣いている2人の背中を撫でて

 2人が落ち着くのを待った。


  


 

――――――――――――――――――――――――

 


「さて。2人とも落ち着いた?」

「はい。落ち着きました…。

 助けてくれてありがとうございました。」

 目を赤くしながらエヴィルにお礼を言うビデンス。

 

 落ち着いて冷静になったのだろう。

 エビネは少し怯えながら、エヴィルに問う。

「あの……お兄様は怒らないのですか?」

「僕は怒らないよ。ただお父様には怒られるだろうね。」

「まぁ、そうよね…。」

父の存在を思い出したのだろう。エビネはガックリしながらも納得した様子。

 ビデンスはというと顔を真っ青にし

「だ、旦那様に顔向けできない…!」

 さっきまで引っ込んでいた涙がまた溢れ出していた。


 少し意地悪そうな顔でエヴィルは微笑むと

「たくさん怒られてくるんだ。僕も本当に焦ったし、

 生きた心地しなったんだから。」


そんなエヴィルに2人は返す言葉もなく、

3人は歩いてコーデマリー家へと向かって歩き出した。


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