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1話

初投稿です。

どうぞよろしくお願いいたします。


「エビネ様ぁ……こんなことバレたら旦那様に僕が怒られちゃいます……。」

 そう言って涙目で私のことを咎めるのは私の従者であるビデンスだ。そして私達はこっそり屋敷を抜け出してお出かけするにあたって作戦会議をしていたところだ。

「すぐに帰ったらヘーキよ!それに、今日は一日

 マナーのお勉強もダンスのお勉強もないんだもん!

こんなチャンス滅多にないのよ!?」


 いつもはマナーやダンス刺繍のお勉強でいつも側に大人がいる。でも今日はみんな忙しくてお休みみたい。

 

「それはそうですけど……旦那様に頼んでちゃんとした護衛の方をつけて頂いて街にお出掛けしないと危ないですよ?」


「だって!護衛の人がいたらビデンスと一緒にいられないじゃない!一緒に街でお出掛けしてみたいのよ。

 それにビデンスも私とお出掛けしてみたいな…なんて言ってたじゃない。」

そう言って誇らしげな笑みを浮かべる。

「エ、エビネ様……覚えてて下さってたんですね…

 でも、僕やっぱり…ってうわぁ!」

「ほら!ごちゃごちゃ言ってないで行くわよ!そんなに時間はないんだから!」

 ビデンスの手を強引に引っ張ると裏庭に向かう。

 裏庭には小さな抜け穴があったはずだ。


「こんなところに抜け穴が……」

2人の目の前には低木の間に10歳くらいの子供までが通れそうな抜け穴があった。

 

「子供くらいしか通れなさそうだし、秘密にしておいたの。2人のヒミツよ?」

そう人差し指を唇に当てながら楽しげに笑うエビネ様はとても楽しそうで綺麗でビデンスは頬を染めながらも頷くことしかできなかった。

 

 

 ――――――――――――――――――――――――


 

「ふぅ〜。やっと家の敷地から出れたわね。」

「それよりもお洋服が土で少し汚れちゃいました…。」

 

ビデンスのズボンの膝の部分がすこし汚れてしまっていた。エビネの服は汚れこそないが、ワンピースの端が枝に引っ掛かったのだろう。糸がほつれてしまっていた。

 

「大丈夫よ。ビデンスのその服も、私の服も

 平民が着る服でお忍び用だから。平民の服が汚れたり糸が出てるくらい不自然じゃないでしょ?」

「たしかにそうですね…。」

 

2人が今着ている服は裕福な商人の子供達が着るような

普通の平民が着るものよりは質の良い服だ。

 

ビデンスは服は黒いハーフパンツに白いシャツ

それにワンポイントと赤い紐のリボンだ。

ビデンスの黒髪に琥珀色の綺麗な瞳

気弱そうだが優し気な雰囲気にとてもよく似合っている。

「言い忘れていたけど、よく似合ってるわよ。素敵だわ!」

「あ、ありがとうございます。エビネ様もそのワンピースとってもお似合いで素敵です!」

 エビネの服は襟元にお揃いの赤い紐リボンがついており、

 同じ赤のジャンパースカートで合わせられている。

エビネのミルクティーのような髪の色と瞳の色で柔らかな雰囲気出ていて、よく似合っている。

喋らなければ可憐で華奢なご令嬢に見えるだろう。

「ありがとう!!ビデンス!!それよりも街に着いたらまずはいま話題のスイーツを食べるわよ!」

 と声高らかに宣言をする。

「え!エビネ様!お金はどうするんですか??」

「私の魔法石を持ってきたの!これに私のお金が入っているから問題ないわ!」

 魔法石とは魔力を読み取ることで本人認証を行い、

 お金の支払いができるアイテムだ。

 「ええ!!そんな大切な物無くしてしまったらどうするんですか!?」

そう言われついムっとした表情で返事をしてしまう。

「無くさないわよ!それに私以外の人は使えないようになってるみたいだから大丈夫よ!」

 「そうですよね…。ところで今話題のスイーツってどんなスイーツなんですか?」

「メイドに聞いて教えて貰ったのだけど、

 フルーツに飴を纏わせたものが人気みたいよ。」

「ヘぇ!!そうなんですね!僕全然知りませんでした。」

「無理もないわ。本当にここ最近流行り始めたらしいもの。ねえ!それよりももうすぐ庭の入り口が見えてきたわ!」


 コーデマリー伯爵家から街まではすぐそばだ。

 屋敷を囲む大きな塀があり、その外側にはとても大きな庭がある。週に何度か庭の一部が領民に一般開放されているのだ。

「今日は一般開放はしていないみたいね…。門の扉は鍵がかけられているから柵の下から潜るわよ。」

「わ、分かりました。」

 2人で地面に這い蹲り柵を潜る。

「さあ!早く行くわよ!!」

エビネがそう言うと2人は手を繋いで街へと歩き始めた。

 

――時間は有限なんだから有効活用しなくちゃいけないってお父様はいつも言ってるもんね!

 

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