空手
押忍!
修めれば修めるほど 極めれば極めるほど
空手家の拳は 空手とはかけはなれてく
はじめはなにも持たない 空の拳を握って
ただ がむしゃらに 宙を突き
道 半ばのときは その拳を飢えさせて
何より硬いのか 何まで砕けるのかを知りたがり
試さずにはいられなかっただろう
だが ついにそこに至ったいまでは
砕くために空の拳を 硬く結ぶのではなく
握りこんだ そのなかに 芯がうまれているはずだ
空だったはずの拳のなかに
つかみとったものは 強さや自信だけでもなくて
あやふやだったその感触を
たしかめるように 握りしめるうちに やがて
はっきりしたかたちを持つようになったその芯を
もうきみは手放すことはできまい
きみの拳はすでに空ではないのだ
修めれば修めるほど 極めれば極めるほど
空手家の拳は 空手とはかけはなれてく
皮肉ではあるが むごい話ではない
格闘漫画は嫌いでもありません。