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アザール=ヴァンジャンス  作者: ばはむーとん
第1章 四村連合編
3/3

003話 臨時会

 「皆さんお集まりいただき誠にありがとうございます。」


  5年ぶりの村の臨時会には、人口40万人のジャヤ村からたった50人しかいない重役が全員集まった。


  村の重役を集めたのはダンテの古い仲であるキュロス。

 キュロスは近くのシュゲレーナ王国で大使を任せられていた。

 

 「一体どうっていうんだ。ババ様まで呼ぶなんてとんでもないことなんだろうな?」

 

 そう強い口調で聞いたのはレベッカ。

 彼女は村1の武器職人で、村で扱っている武器の8割はは彼女と彼女の弟子が作成したものである。


 「ええからキュロス、話してみんしゃい!」

 ババ様が集会所に到着した。


 「それでは簡潔に述べさせていただきます。

 シュゲレーナ王国がジャヤの森に住むすべての村を焼き尽くすことを決定しました」


 「‥何言ってるんだ、、キュロス?」


 「て、適当なこと言ってるんじゃねーぞ!」


 「つまらねえジョークの為に俺らを呼ぶなー!」


 皆がいっせいに混乱した。


 当然の反応だ。シュゲレーナ王国は古くからの交友国。ジャヤの森にある幾つもの村と交流があり、お互い助け合ってきた仲なのだ。


 「で、どうするのじゃ、ダンテ」

ババ様が尋ねる。


 「…正直勝てないでしょうな、、、村の戦士はせいぜい3万人。

 王国は20万を超えると言います。あまりも戦力差が、、、」


 「随分弱気じゃのお、、、まあ言いたいことはわかるわい。

 その為に儂を呼んだんじゃろ?キュロス。」

 ババ様は何か企んだ顔をしている。


 「流石ババ様です。王国での方針が決定した以上、戦争は避けられません。

 そこで、ジャヤ村含む、グリラ村、アサイ村、バーデル村の4つの村"四村同盟"を結びたく思うのです。」


 ジャヤの森には10を超える村が存在するが、その中でも大きい4つの村が手を組みさえすれば、勝機があるとキュロスは考えていた。


 「どうだ?ダンテ、これなら悪くはないはずだ。」


 「確かに・・・それなら10万近くまで戦士が集まる、、。

 地の利を活かせば勝てない戦ではない。少なくとも休戦には持ち越せる。」


 「流石キュロスだぜ!」


 「シュゲレーナ王国なんてぶっ壊したまおーぜ!」


 「勝てる!…勝てるぞ!」


 皆の士気が一気に上がった。


 こうして四村同盟を結び、ジャヤの森全体でシュゲレーナ王国を迎え撃つことが決まった。


 その後ババ様は3つの村へ同盟の提案をしに村を出た。


 ババ様がわざわざ行った理由は、かつて4つの村の関係が悪化し、紛争直前まで行った時、ババ様が"鎖国"の提案をしたからである。

 

 無駄な争いを生む前に、4つの村はお互い干渉しないことを決定したのだ。しかし今回はそんなことを言ってる場合ではない。


             ◇◇◇

 

「・・・冗談じゃない。そんなの何人死ぬんだよ!

 そもそもシュゲレーナ王国はなんで急にジャヤの森を燃やすなんて言い始めたんだ!!去年までは仲が良かったじゃないか!」


 ダイナは強く叫んだ。


 「俺もわからん。もしかすると数年前に巨大な帝国と同盟を結んだことが原因かもしれないが、、、


 とにかくこのままではこの歴史ある村が、いや森が焼かれてしまう。それだけは止めなければいかん。


 お前たちは戦が始まったら森を出るんだぞ。早ければ10日後には攻めてくる。それまでに準備をしておくんだ。」


 「10日後!?いくらなんでも早すぎる!

 それに俺だってもう【エペイスト】なんだ!もう戦えるよ!」


 「ダメだ。お前はまだ18だろう。村の掟で20からしか戦士としては認めん。


 話は終わりだ。

 明日こそ一緒に鍛錬する為にもう寝るんだ」

 

 ダンテは寝床に行った。


 (冗談じゃない、、、このまま何もせず見てられるか!

 10日以内に強くなった息子の姿を親父に見せてやる!)





 次の日には、戦争の話が村全体に浸透していた。


 「おいダイナ!!お前聞いたか!戦争の話!」

 

 ちょっど朝の鍛錬が終わった後、朝一からダイナの家にディムが押しかけてきた。

 ディムの話を聞くと、彼も父に戦争に行って皆んなと戦いと強く訴えたが、ダイナと同じく拒否されたらしい。


 「お前もダメだったのか、、、ダンテさんなら許してくれると思ったんだがな、、

 ・・・今からでも頼んでみよう。明日からは前線基地を作る為に遠征に行ってしまう!」


 「そうだな、、今しかねえ!あの馬鹿親父を解らせてやる!」


 ダイナとディムは大勢の戦士が集まる第1訓練所に向かった。

 

 ジャム村には第4訓練所まである。戦闘機や戦車を配備したり、各々の"アザール"を鍛えるための場所であるなど、戦士にとって重要な場だ。

 

 「そう言わずに入れてくれよ!アリスさん!!」


 「頼む!アリスの家の畑仕事毎日してやるから!」


 「2人してそんな慌ててどうしたの。20歳からじゃないと入っちゃダメって言われてるでしょ?

 用事があるならダンテさんを呼んできてあげるわ!」


 2人から必死に懇願されているのは受付嬢のアリス。

 訓練所の出入りを戦士以外で唯一認められている人物だ。


 「全く、、お前ら何をしている。ここは遊び場じゃ無いんだ。お前達もガキじゃ無いだろう」


 「まあダンテさん!いたんですか!この子達どうしても貴方に用があるみたいですよ。」少し苛立ったダンテにアリスが伝える。


 「頼むぜダンテさん!!俺はもう一般戦士よりも使えるはずだ!命なんて惜しく無い!俺にも村を守らせてくれ!」


 「・・・わかった、ならこうしよう。2人でこの俺に挑んでかすり傷でもなんでも当てたらお前らの入隊を許可しよう。

 勿論俺はアザールを使わん。」


 「…ハァ??」 並べて声を上げた。流石に頭に来たのか、2人は直ぐに応酬する。


 「舐めやがって!覚悟しろ親父!」

 「…怪我しても知りませんよ。」

  

 ディムはすぐさまダンテに飛びかかった。しかし、


 「!?!?どこだ!?!?」 拳を振りかざした瞬間にダンテは目にも留まらぬ速さで消えた。


 その隙にダイナはめいいっぱい光合成を行い、身体中が光り輝くほどの力を溜めていた。


 「今日はとびっきりの快晴だぜ!」

 

 

 

 


 

 

 










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