001話 光合成人
人間の持つ多種多様な力"アザール"。この力は人類の進化に大きく貢献してきた。
しかし同時に"兵器"でもあった。数百年前に、1人の人間によって地球は崩壊の危機に陥ったこともある。
「人類に復讐してやる!!!」
その人間が死に際に放った言葉だった。
◇◇◇
世界で3番目に広いジャヤの森にある最大の村ジャヤ村に住む、若い農業オタクのダイナ。
3歳から母の畑仕事を手伝い、当時から大人顔負けの仕事をこなしていた。今では18歳にして村1の畑職人である。
そんな彼の夢は世界中に自分の天才的な農耕技術を伝えること…に最近変わった。
「おーいダイナー鍛錬の時間だぞ!サボってたら【ジェネラル】なんて夢のまた夢だぞー!」
そうダイナを呼ぶのは父親のダンテ。彼はジャヤ村の戦士長を務めており、近隣のシュゲレーナ王国からわざわざ勧誘が来るほどの
実力者だ。
「うーん。ご飯食べ終わったらすぐ行くー」
(はあ、、やる気が全く出ねえ、、、
俺なんか鍛錬する意味全く無いだろ、、)
やる気のない理由は、1ヶ月前に親友のディムが近隣の村を徘徊する盗賊を捕まえたことで一気に人気者になってしまったことだ。
それだけじゃない。
ディムは最近どんどん腕を上げてる。焦りと羨ましさでダイナはすっかり農業に逃げている。
「
雨が続いているのも原因だ。
彼のアザールは【フォトサンデーズ】といって体が光合成のような働きをする。なので雨の日は機嫌が悪い。
逆に晴れた日はダイナほど役に立つ人間は居ない。過去に村にある畑の半分を耕したこともある。
飯をたいらげ、ダイナが階段を降りるたが父の姿はなかった。
母に聞くと村の臨時集会に呼ばれたらしい。
なんでも3年ぶりの臨時集会のようだ。
暇になってしまったので、辺りをほっつき歩いていたら、
「私のワンちゃんが!!
誰か捕まえてえー!」
女性からフリフリのワンピース着せられた犬が全力疾走で逃げていた…そのスピード時速にしておよそ60kmよほど嫌だったのだろう。
「・・・仕方ないなあ。」
ダイナは空に手を広げ、力を込めて全力疾走をした…が、犬の半分のスピードも出ていない。」
「あれ?おかしいなあ。雨が
【フォトサンデーズ】を使用すると、全身がわずかに輝く。
今日は雨なのでほとんど効果はない。
仕方なくアザールなしで特訓することにした。
目一杯の力で木を殴ってみたが、木の実が落ちる程度だった。
(これじゃあまだまだディムに勝てないなあ)
今日のダイナはすぐ弱音を吐く。
しばらくして、ダイナは母にミカンの家から何か取りに行ってくれと言われたことを思い出し、ミカンの家に向かった。