プロローグ
はじめての小説投稿です。
まず使い方から勉強中なので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです...!
その部屋は薄暗かった。
部屋の奥には4~5人が楽に寝られるくらい大きな寝台ひとつがあるが、いま、その上には誰もいない。
代わりに、部屋の中央に円形に配置された蝋燭に囲まれるようにして、一組の男女がいた。
2人はシンプルだが、一目で上質とわかる石造りの机を挟み、向かい合って座っている。
どちらも、美しい容姿をしていた。
男は長く、燃えるような緋色をした髪の毛を持っていた。同色の瞳を三日月型に歪ませ、笑いながら向かいに座る女を見ている。
対する女は、無表情だった。
まだ年端もいかない少女である。気を抜けば闇に紛れてしまいそうな、漆黒の長い髪の間から覗く瞳は金色。肌は雪のように白く、小さなピンク色の唇も相まって、まるで人形のような美しさを持っていた。
二人が挟む机の上には、ひとつの箱があった。
少女は内心の動揺を悟られないよう、必死に取り繕いながら、その箱を見つめていた。今は「彼女のターン」だからだ。
頭の中では様々な計算が行われている。ここでの失敗は「取り返しがつかない」。
ーーーーーあともう少し、あと、もう少しなのよ......
アリアという名をもつその少女は奥歯を噛みしめ、ゆっくりと腕を動かした。
いつものことながら、華奢なその背中を冷たい汗が伝っていった。