夜空を見上げて
昼間の喧騒が嘘のように静まり返った冬の夜。
透き通るような夜空に瞬く沢山の星を見上げ、75年以上前にこの夜空に散った若者に思いを馳せる。
1万メートルの高みから雪に被われた富士山を見下ろし、4発爆撃機の群れが目的地に向けて飛ぶ。
爆撃機の群れは目的地の目前で爆撃高度まで降下し、爆撃コースに乗った。
群れの先頭を飛ぶ爆撃機に向けて戦闘機が1機突っ込んで行く。
操縦桿を握るのは若い飛行兵、彼は躊躇う事なく爆撃機に突っ込む。
突っ込む寸前「お母さん」と一言飛行兵は呟いた。
探照灯の眩い光を反射するのは砕かれた爆撃機の破片か、其とも祖国に命を捧げた若い飛行兵の魂の最後の煌めきか。
思いを馳せる者として、若い飛行兵の御霊が母親の下に帰りつけた事を願う。