八十三話
ディーンさんは一番奥の部屋に迷いなく入り込む。
「サイクスのおっさんいるか」
「おるぞ。まったくいつも言ってるだろノックぐらいしろって。それでずいぶん早い戻りだが依頼は終わったのか」
「予想外の助っ人が入ってくれたおかげでスケルトンワーカーはほぼ狩り尽くしたしスケルトンワーカーキングも討伐終わったぜ」
「それは喜ばしい報告だが本当に終わったのか」
「私達は狩り残されたスケルトンワーカーを狩っただけで他は全部彼のおかげなんですけどね」
「クロード君~前に~」
呼ばれてクロードが前にでる。
「クロードと申します」
「なんだ。まだ子供じゃないか」
「普通はそういう反応だよな。クロード。ギルドカードを出してやれ」
言われてクロードはギルドカードを提示する。
「それはAランクのギルドカード。すまんが真偽を確かめたいので少し貸してもらえるか」
「構いませんよ」
サイクスはベルを鳴らして職員を呼び寄せる。
「すまんがこのギルドカードを調べてくれ」
「わかりました」
「さて話の途中だったな。スケルトンワーカーキングを倒したということは魔石が出たはずだな。それを確認したい」
クロードはアイテムボックスからスケルトンワーカーキングの魔石を取り出す。
「これがそうですね」
「ふむ。確かにボスクラスの魔石だ。本来なら連合している国々に兵を出してもらうところだがこれで解決だな」
「魔石の扱いはどうなりますか」
「他の国なら国が買い取るんだろうがここでは少し事情が違う。どこか1国に売ればそれが原因でトラブルになりかねない。討伐者の裁量に任されることになる」
「そういうことなら自国に帰ってからにしますね」
「そういやクロードはどこの国の人間なんだ」
「所属はゲルマン王国になりますね」
「ゲルマン王国って大国じゃねぇか。ここからだと結構距離があるな。素材のためとはいえご苦労なこったな」
ゲルマン王国とフラン連合王国の関係は友好的でも敵対的でもない。
それは間に第三国を挟むからである。
ゲルマン王国はフラン連合王国から鉱石を購入しているが第三国で中抜きされて良質の鉱石はあまり入ってこないという問題はあるが。
そこに先ほどの職員が戻ってきてサイクスに報告する。
「調査結果がでました。カードは本物ですがそのちょっとどう対応したらいいか困ってしまう情報が」
「困った情報だと。驚かんから報告してくれ」
「え~。それでは。クロード・フォン・プロミネンス男爵。プロミネンス侯爵家三男。ゴブリンロードの討伐経験あり。っとなっています」




