七十四話
辺境伯家は他国と接しており軍事的に危険があると考えられる位置に領地を持っている。
優秀な装備が手に入るなら喉から手が出るほど欲しいというのは頷ける話だ。
「それではこれぐらい用意してもらえるだろうか」
ミッシア辺境伯が紙に必要な装備の数を書いて提示してくる。
「中々の数ですね。素材の方は何とかなるでしょう。問題はやはり制作に時間がかかることですね」
「どれぐらい時間がかかる」
「そうですね。職人達も頑張っていますが半年ぐらいは見積もる必要があるでしょう」
「今は隣国も大人しくしているしそれで構わない」
「わかりました。それでは商隊を待たせていますし僕はそろそろお暇しますね」
「長々と引き留めて悪かったな。それではまた会おう」
クロードが軍務大臣の執務室を後にした後残ったミッシア辺境伯とルーシェン軍務大臣は話を続けていた。
「あれだけの数を嫌な顔一つせず引き受けてくれるとは思いませんでしたな」
「まったくです。それで本題はなんですかな」
「ライヒルト公国に放っている密偵から報告がきた。どうも大規模な軍の再編を行っているようだ」
「我が国でも魔物の増加が確認されていてそちらに対応するためともとれるがタイラント殿は違うとみているのか」
「公国は現状でも魔物の発生にうまく対応している。その中で再編しているということはいずこかの国に仕掛けてくる公算が高いと見積もっている」
「なるほど。こちらでもすぐに対応が取れるように手配をしておこう」
クロードに聞かせてもよい話ではあるが年齢を考えきな臭い話を避けた二人だった。
クロードは王宮を後にした後はライハルトとの待ち合わせ場所に向かっていた。
商隊は搬入を終えた後予め手配しておいた建材を積み込んでプロミネンス領に戻ることになる。
「お待たせしました」
「いえ。こちらも積み込みが今終わったところですので」
「それでは帰りましょうか」
「はい。帰りの道中もよろしくお願いします」
時は金なりということで商隊は王都を後にする。
帰りの道中は問題が起きることはなくプロミネンス領に戻ってくることができた。
「今回はありがとうございました」
「いえ。今後も何かあれば気軽に声をかけてください」
商隊と別れて屋敷に戻ってきたクロードは今回依頼された装備の素材を集めにゲーム時代の知識を頼りに計画を立てる。
数を確保するためには他国のダンジョンや資源地を候補に入れる必要があるだろう。
移動はグリフォンがあるので問題ないが身分を証明する方法はどうするか考えるのであった。




