七十一話
クロードは気配探知で商隊を囲むように動いている人の気配に気が付いていた。
先頭で声をあげる。
「襲撃のようです。全員止まってください」
馬車隊は止まり数の少ない護衛達に緊張が走る。
「僕がしとめますので皆さんは時間稼ぎに徹してください」
最悪死ななければ回復魔法も使えるのでなんとでもなるのである。
商隊が止まったのを確認した盗賊達が続々と現れる。
全体としては30人程である。
「へへ。護衛もなしに街道をいくなんて襲ってくださいって言ってるようなもんだぜ」
「おらおら。大人しくして積荷のもんを寄こせ」
「貴方方は盗賊ということで間違いないですね」
「何だ子供か。上等な服に馬なんかに乗りやがって。お前を捕まえて身代金を要求するのも悪くないな」
クロードは盗賊全員の位置を気配探知で常につかんでいる。
人殺しをしたくないし古代魔法の研究から思いついたオリジナル魔法を試してみようと決めてイメージを固め多重詠唱をおこなう。
「ライトニングボルト」
クロードが魔法名を唱えると同時に盗賊達に電気が走り痙攣を引き起こす。
護衛達は何が起こったのかわからなかった。
気が付けば盗賊達が痙攣していたのである。
「僕の魔法で痙攣させました。死者はいないはずなので協力して捕縛を行ってください」
クロードの声に冷静になった護衛達は数が少ないが捕縛も手慣れておりあっという間に数珠繋ぎにして馬車に括り付ける。
痙攣が収まって盗賊達が歩けるようになるまで無駄な時間を過ごしたが夜になって目的の街にたどり着く。
街は閉門していたがクロードが男爵の証明書を提示することで無事通ることができた。
盗賊達は犯罪奴隷として街の警備隊に引き渡され多少であるが報奨金が支払われた。
その後の旅路は何事もなく順調に進み王都へと到着した。
商隊はメイン通りを抜けて王宮へと到着した。
今回は数が多いということで軍需品管理責任者のヒューズさんが品質の確認にやってきた。
「品質には問題ありません。ですがミスリル製の武器の代金が支払えません」
「なんとかなりませんか」
「宰相に相談してみましょう」
二人で宰相であるリッチマンの執務室にやってきていた。
護衛の兵士に武器の持ち込みは困ると言われたが必要であるとごり押ししてそのまま入室する。
「失礼します。まずは武器を持ち込んで申し訳ありません」
「気にしなくていい。必要なことだったのだろう。それで何か問題でもあったか」
「クロード卿の持ち込んだ武器なのですがこのままでは代金を支払えません。どうにかなりませんか」
「一存では許可できんな。わかった関係者を呼ぼう」
誤字、脱字のご指摘ありがとうございます。
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これからも更新を頑張っていくのでよろしくお願いします。




