七百一話
クロードはエリーゼを連れて神としての両親の元を訪ねていた。
「おかえりなさい」
「ただいまです」
クロードが最後に来てからかなり経つがここは変わっていなかった。
屋敷は日本庭園を模した作りとなっており枯山水や人工池などがある。
「ここが神界・・・?」
「えぇ。限られた神しか入れない空間です」
「貴方がエリーゼちゃんね。昔から娘がほしかったのよ。歓迎するわ」
そう言えば母である聖母からは結婚を勧められていた。
部下である女神を何人も紹介してきたりと熱心だった。
「まぁ。久しぶりに帰ってきたんだ。ゆっくりしていくといい」
「はい」
神としての父親である破壊神はそう言って縁側でお茶を飲んでいた。
エリーゼは聖母に捕まっているので破壊神の隣に腰を降ろす。
無言でお茶を淹れて渡してくれる。
一口飲んで「ほぉ」っと息をつく。
「ふぅ・・・。いつ飲んでもここのお茶はいいですね」
「まぁ、ここでしか飲めないからな」
ここのお茶はこの世界に満ちた神力をたっぷり含んだ特別な物だ。
欲しがる神も多いのだが自家用に少量しか生産していない。
「休暇は楽しめたか?」
「はい・・・。エリーゼとも出会えましたし」
「そうか・・・」
「仕事も大事だが休暇も大切だ。ほどほどに頑張れよ」
「うぅ・・・。クロード酷い」
「ああなったお母様は止められませんから・・・」
「妻が悪かったな。これでも飲んでくれ」
そう言って破壊神はエリーゼにもお茶を出す。
「あっ。これすごく美味しいです」
「こんな息子だがよろしくな」
「はい。任されました」
エリーゼを見れば神格があがっている。
先ほどの触れあいでちゃっかり仕事をしていたようだ。
ここに来たときはぎりぎり亜神だった。
だが今のエリーゼは最上級の女神としての格がある。
聖母の方を見れば当然でしょという顔をしている。
実はクロードと結婚したがっている女神は多かったのだ。
それらを黙らせる為に最上級の女神にしたのだろう。
まぁ、神になったからといってなにか仕事をしなければいけないということはない。
時間は無限にあるのだ。
今後のことはゆっくり考えればいい。
「さて。歓迎の準備をしないとね」
そう言って聖母は部屋を出ていった。
これから料理を作るのだろう。
神としては食事を取る必要はない。
だが、娯楽として食事を取る神は多かったりする。
聖母の料理も趣味のようなものである。
親しい人に料理を振る舞って喜んでもらいたい。
そこは人も神も変わらない。
クロードとしても料理をするのでその気持ちがよくわかった。




