六百九十二話
クロードはエリーゼの寮を訪ねた。
アイナさんが応対のために出てくる。
「クロード卿」
「エリーゼに大事な話があるんだけど今、大丈夫かな?」
「確認してまいります」
しばらく待つとアイナさんがすぐに戻ってくる。
「大丈夫とのことです」
「お邪魔します」
リビングに通されるとエリーゼは勉強をしていたようだ。
「邪魔しちゃったかな?」
「ううん。大事な話があるんでしょ?座って」
クロードはエリーゼの正面に座る。
少し待っているとアイナさんが紅茶を持って部屋に入ってくる。
給仕を終えるとそのまま退室していった。
「それで話って・・・?」
「うん・・・。ちょっと事情があってね。落ち着いたら爵位をクラウス兄さんに譲ろうと思うんだ」
「その事情って・・・?」
「僕も最近しったというか思い出したことなんだけどね・・・。僕、実は神様だったんだ」
「へ・・・?」
理解が追い付いていないのかエリーゼが固まってしまう。
エリーゼが再起動するまでクロードは根気強く待った。
「神って・・・。私はどうしたら・・・?」
「エリーゼには2つの選択肢がある。このまま普通の人として暮らすか、僕の伴侶として神になるか・・・」
「神ってそんな簡単になれる者なの?」
「普通は無理だね。でも、僕はちょっと特殊だから・・・」
普通の人を神にしようと思えば主神以上の力が必要だ。
だが、クロードはそこらの主神より格上の存在だ。
問題なくエリーゼを神にすることが可能だ。
「少し考えさせて・・・」
「うん。急いでないからゆっくり考えるといいよ」
クロードはそれだけ伝えて自分の寮に引き上げた。
エリーゼはクロードの去った後、考え込んでいた。
クロードが嘘を言う必要などない。
言っていたことは本当なのだろう。
だが、エリーゼは牛鬼に確認をとった。
「ふむ。小僧が言っていたのは本当だろう。押さえ込んではいたが儂の主より力は上だろう」
「そう・・・」
「難しく考えることはない。一緒にいたいのなら神になってしまえばいい」
「そんな理由でいいの?」
「難しく考える必要はないさ。何かあっても小僧がなんとかするだろう」
「そっか・・・。私、クロードのところに行ってくる」
エリーゼがクロードのもとを訪ねるとクロードはまだ起きていた。
「こんな時間にどうしたの?」
「クロード。私、決めたわ。貴方とずっと一緒にいたい」
「そっか・・・。ありがとう」
クロードはそう言うとエリーゼを抱き締めた。
エリーゼもクロードのことを抱き締め返す。
離ればなれになることなど考えられなかった。




