六百八十九話
「助太刀します」
ブリュンヒルトはそう宣言してから駆けつけた勢いのままオークに襲いかかる。
護衛と思われる人は「助かる」と言ってオークに斬りかかった。
ブリュンヒルトと少年の活躍もあり戦闘はあっという間に終結した。
護衛の中に怪我人は出ていたが命にかかわるような怪我人はいないようだ。
荷馬車から1人の男性が降りてくる。
「助けていただきありがとうございました」
男性はそうお礼を言ってくる。
「いえ。お礼を言われるようなことでは」
「いえいえ。貴女方が来てくれなければどうなっていたことか・・・」
護衛はつけていたが、オーク相手に苦戦していたのは事実だ。
「失礼ですがお二人はどこまで行くのでしょうか?」
「私達はゲルマン王国まで行く予定です」
「そうですか・・・。厚かましいお願いは承知の上ですが我々を途中まで護衛してはいただけませんか?」
「そうですね・・・。急ぐ旅ではありませんし私は構いませんよ」
「はぁ・・・。お姉さんはお人好しだね」
少年は溜め息をつきつつそう言ってくる。
「見捨てたらなんだか目覚めが悪いじゃないですか」
「まぁ。貰えるもの貰えるならいいかな」
「そんな弱みに漬け込むようなこと・・・」
「いえいえ。護衛をしていただくのです。謝礼はきっちり払わせていただきます」
「そうですか・・・」
そこからの旅路は順調だった。
賊や魔物に襲われることもなく目的地の街にたどり着いた。
「お二人のおかげで無事に目的地に着くことができました」
「いえ。私達は何も・・・」
魔物に襲われなかったのにはわけがある。
少年が魔物が近寄ってくると殺気を飛ばしていたのだ。
相手にするのが面倒だったのだろう。
「これは少ないですが謝礼です」
「ありがとうございます」
「ん〜。お姉さん。治安も良さそうだし少しこの街で遊んでいかない?」
「ええっと・・・」
「この街は羽を伸ばすならお勧めですぞ」
そう言って男性が色々な店を教えてくれた。
「おっと。熱くなってしまいましたな。我々は仕事があるのでこれで」
「はい。ありがとうございました」
「僕達も行こうか」
そう言って少年は歩いていってしまう。
ブリュンヒルトは慌ててその後を追いかけた。
お勧めされた屋台で串焼きを買い2人で食べる。
腹ごしらえが終わった後は小物店や服屋などを冷やかしてまわった。
まるで普通の女の子になったような気分だった。
この世界では困っている人が大勢いる。
それを考えると申し訳ないような気持ちになる。
そんなブリュンヒルトをしょうがないなという顔をして少年が見ていた。




