六百六十一話
クロードは海に来ていた。
ここは組織の所有するプライベートビーチだ。
目の前には無防備に水着姿をさらす女の子達。
目のやり場に困る。
ことのはじまりは妖怪の処理を終えた後だった。
詩織と翠が訪れ仕事のしすぎだと怒られお説教をされた。
子供は子供らしくもっと遊ぶべきだと・・・。
最初は、3人で出かける予定だったのだがたまたま通りかかった見習いの子達も行きたいという話になりいつの間にか大人数で出かけることになった。
冒頭に戻るが目の前の光景にどうしたらいいかわからない。
「少年。こんなところでどうした」
「いえ、あの中に混ざるのは勇気がいるなと」
「初々しいな。まぁ、だからこそ彼女達も来たがったんだろうが」
「どういうことですか」
「君は非常に紳士的だ。君ぐらいの年齢だとジロジロ見てくるものだよ」
何がとは言わなかったが言いたいことは伝わった。
「精神年齢的にはおっさんですからね」
人としての年齢で言えば40を超えている。
今は神としての記憶もある。
「そうだったな・・・。しかし、肉体を若返えさせられるなんて羨ましいことだ」
「詩織さんはまだまだお若いですよ」
「あの子達の肌を見るとなぁ・・・。維持に苦労してるんだよ」
そんなことを話していると目の前で遊んでいた女の子達がクロードを呼びにきた。
「お話してないで遊ぼうよ」
「ほら、少年行ってこい」
そう言って詩織さんはクロードを送り出した。
ビーチボールが飛んでくる。
クロードはそれを上手く上にあげる。
「ナイス」
浮いたビーチボールを組んでいる女の子が相手のコートに叩き込んだ。
「うわぁ。また、やられた」
「クロード君。うますぎ」
「次、私と組もうよ」
そう言って腕を取ってくる。
腕に胸が当たっているが気にした様子はない。
「いいですよ」
「やったぁ」
その後もクロードと組みたがる女の子が続出し全員と組むこととなった。
「さてと、そろそろご飯の準備に行ってきますね」
今回のバカンスの料理はクロードが作ることになっている。
事前に仕込みをしてアイテムボックスの中に入れてあるので後は焼くだけだ。
網と炭を用意して火をつける。
女の子達はそんなクロードの様子を見ながらこそこそと内緒話をしている。
何を言ってるかは気になるが料理に集中する。
火が安定したところでアイテムボックスから肉と野菜、海鮮類を取り出しのせてゆく。
辺りには肉や海鮮類の焼けるいい匂いが漂っていた。




