六百五十八話
「くぅ・・・・。戦った後の温泉は滲みるなぁ」
「それは同意ですけど何でこんなものが」
建御雷神の神域には温泉が湧いていた。
「他人の目を気にしないで過ごしたいからな」
昔の建御雷神からは考えられないような発想だ。
自分の技術を高めることにしか興味のなかった男が変われば変わるものである。
「それにしても４体同時で互角とはなぁ・・・」
「でも、まだ本気じゃないでしょ」
建御雷神は余力を残している。
「それはそうだが。結構凹むぜ。ボコボコにしてやるつもりだったのによ」
冗談のようにいっているが目がマジだった。
「勘弁してくださいよ」
「お前をボコれるのは今しかないからな」
クロードはこれから分散されて保管されている神としての力を回収するつもりでいる。
その力に肉体が耐えられるように鍛えなければならないが今以上に強くなるのは間違いない。
「さてと・・・。疲労は回復したか」
「おかげさまで」
「それじゃ、再開しようぜ」
クロードと建御雷神は服を着て向かい合うと激しく戦いはじめた。
クロードと建御雷神は何度も戦った。
戦うたびにクロードは強くなっていく。
フランスで取り込んだ悪魔の力が体に馴染み活用できていなかった神力を自在に扱う。
まだ１体だが分体を作り出すことも可能となった。
クロードと建御雷神は天照大神の神域に移動した。
「二人ともいらっしゃい」
天照大神はお土産のお菓子をお茶請けにお茶を飲んでいた。
「その様子だと封印されている神力を回収しにきたのね」
「えぇ」
「そう。なら、回収し終えたらまたここに来て頂戴」
「わかりました」
クロードは封印されていた神力を体に取り込む。
神であった頃の記憶が頭に一気に流れ込んでくる。
溢れ出そうになる神力を何とか制御する。
油断すると神力が暴走しそうではあるが天照大神の元に戻った。
「おかえりなさい。かなりしんどそうね」
「はは。わかりますか・・・」
「これを飲むといいわ」
そう言って１本のポーション瓶を渡してくる。
クロードは受け取ってそれを飲み干す。
「どうかしら」
「これなら大丈夫そうです」
「一時的なものだから急いだほうが良さそうね」
「何をすれば・・・」
「貴方には建御雷神の代わりに大妖怪が支配する世界に行ってもらうわ」
世界は神々が管理する世界だけではない。
強大な力を誇る邪神や大悪魔、大妖怪なども自分のテリトリーを持っている。
神々はそういった者達に管理する世界に手を出されないように日々戦っているのだった。
