六百五十五話
ホテルに戻ると特務警察のジェフリーさんが待っていた。
「何かありましたか」
「ここではちょっと・・・」
というわけでクロードの部屋に移動する。
クロードはマナーとして紅茶を用意する。
それぞれ席につき話を促す。
「お2人は連続赤子失踪事件をご存じでしょうか」
「あぁ。私、新聞でみましたよ」
「赤子失踪ですか」
「捜査の結果、邪教徒が関わっている可能性が高いと判断しました」
「邪教徒・・・。なんだか話が見えてきましたね」
「恐らく生贄の為に赤子を集めているのでしょう。目的は悪魔の召喚」
「赤子をそんなことの為に攫うなんて許せないです」
「我々は捜査は得意ですが武力はからっきしです」
「目星でもついているんですか」
「ロンドン郊外に建つ古びた館が怪しいと睨んでいます」
「ふむ・・・」
「クロードさん。この依頼受けましょう」
「乗り掛かった舟ですし早速行ってみますか」
クロードとフランソワはジェフリーに車で送ってもらい古びた館の前に立っていた。
クロードは索敵魔法で内部を調査する。
「あぁ・・・。これは・・・」
「何かわかったんですか」
「弱い悪魔の反応が複数ありますね」
「当たりですね」
「私はここまでです。ご武運を」
クロードとフランソワはジェフリーに見送られ館の中に踏み込んだ。
玄関をくぐるとインプが襲い掛かってくる。
インプは怒りに燃えているのかフランソワのメイスに頭をかち割られ消滅した。
「雑魚は引き受けます」
「わかりました。なるべく早く合流します」
今は攫われた赤子の救助がいち早く求められる。
全てを救うことはできないかもしれないが1人でも多く助けたい。
クロードは迷わず地下室があると思われる区画に走った。
巧妙に隠されてはいたが奥の部屋で地下への階段を見つけ降りていく。
そこには濃厚な死の匂いが漂っていた。
これまでどれほどの人物が被害にあったのか・・・。
おびただしい数の拷問器具の数々。
それらをわき目に歩を進める。
すると邪気が膨れ上がった。
恐らく今まさに召喚の儀式が行われているのだろう。
急げば助けられるかもしれない。
そんな思いで暗い通路を一気に抜ける。
クロードは召喚陣に干渉して無理矢理動作を止めた。
「だ、誰だ。我々の邪魔をするのは」
そう言ったのはわかりやすい黒いローブを着た男達だった。
男達は放置して召喚陣から被害者の赤子を救出する。
眠っているが赤子の状態は酷いものだった。




