六百四十八話
クロード達の前には蚊を巨大化させたような悪魔がいた。
「くけけけ。まさか人間がここまでこれるとはな」
「蠅の悪魔はベルゼブブは有名ですけど蚊ですか・・・」
「どっちにしろ気持ち悪いですね」
「あんな奴と比べるんじゃねぇ」
沸点も低いらしい。
そしてあまり強そうに見えない。
きっと絡め手に全能力を振ったのだろう。
「さくっと始末してしまいましょうか」
クロードがそう言うと蚊の悪魔は炎に包まれる。
ただの炎ではない。
神力が籠った神炎だ。
蚊の悪魔は何をすることもできず消滅する。
が、周囲の蚊が集まり同じサイズの蚊の悪魔が目の前に現れた。
「くそ、不意打ちとかやっぱり人間は卑怯だな」
「あらら、分体からいくらでも復活するタイプか面倒だな」
「どうするんですか、これ」
ベルゼブブもそうだがこのタイプは非常に面倒だ。
分体を全て始末しなければいくらでも復活する。
まぁ、それでも手がないわけではない。
この地域を管理する神には睨まれそうだがそれは仕方ない。
「フランソワさん。適当に相手をしておいてください」
「わかりました」
1歩後ろにいたフランソワさんが十字架が刻まれたメイスを構え牽制する。
蚊の悪魔はメイスを素早くかわしているがそれだけだ。
思った通り直接の戦闘能力は高くないのだろう。
それを目に収めながらクロードは精神を集中させる。
すると天候が急激に悪くなる。
そしてぽつぽつと雨が降り始める。
ただの雨ではない。
雨粒1つ1つに神力が込められている。
神力をばら撒くことになるが広域を浄化する為には必要なことだ。
「な・・・。分体が消えてゆく・・・」
先ほどまで余裕そうだった蚊の悪魔が慌てだす。
そこにフランソワのメイスが襲い掛かる。
メイスは見事に蚊の悪魔の頭部に吸い込まれる。
ぐちゃっという感じで蚊の悪魔の頭部が潰れる。
「うわぁ。気持ち悪いです」
うん。
男のクロードからしても気持ち悪いわ。
「ちくしょう。人間ごときにやられるわけには」
「フランソワさん。離れて」
その言葉と同時にフランソワがバックステップを踏む。
クロードは神炎で蚊の悪魔を焼き尽くす。
汚物は消毒するか焼却するに限る。
しばらく待っているが復活する気配はない。
「ふぅ・・・。終わりましたね」
「そうですね。でも、私、いる必要ありましたか・・・」
「いやいや、助かりましたよ」
「帰りましょうか」
「そうですね」
こうして蚊の悪魔は討伐されたのだった。




