六百四十七話
クロードとフランソワは車を降りて歩いていた。
車に乗っているときに悪魔に襲われては危険だからだ。
「それにしても蚊が多いわね」
「そうですね」
先ほどからやたらと蚊が集まってきてブンブンうるさい。
クロードは喰われるのが嫌で身体強化で皮膚を固くしている。
「あ～もう。痒くてやってられないわ」
「かかないほうがいいですよ」
「それはわかってるんだけどね・・・」
まぁ、気持ちはわかる。
自分も昔は親の忠告を無視してかいていたしな。
「それにしても貴方は何で平気そうなのよ」
「させないように身体強化してますから」
「なにそれ、ずるい」
「ずるいと言われてましても・・・。んっ。ちょっといいですか」
「何かしら」
クロードは目に神力を集め集中する。
すると驚くべきことが発覚した。
「喰われた部分に変な魔力が混じっていますね」
「へっ・・・」
クロードはフランソワに神力を込めてヒールをかける。
すると魔力は拡散され元の肌に戻る。
クロードはそれと同時に結界を張って安全地帯を作る。
「つまるところ、この蚊は悪魔の分体かそれに近い何かですね」
「どういうこと」
「人は蚊に喰われてもあまりきにしません。しかも、気付かれるかわからないぐらい弱い個体です」
「それで」
「分体に神力を少しずつ集めさせそれと同時に微弱な毒を撃ち込むことが目的でしょう」
「それって気づいた時には身動きもとれないってことじゃ・・・」
「えぇ。てっきり強い悪魔がいると思ったら絡め手でくるタイプみたいですね」
「ふぅん。でも、場所が特定できないのは面倒ね」
「いえ、そうでもありませんよ」
「どういうこと」
「この蚊は本体と繋がっています。それを追跡すればいいだけですからね」
「じゃぁ、さっさと片付けちゃいましょう」
クロードは念のため強化魔法をフランソワにかけ結界を解く。
「ついてきてください」
そう言ってクロードは走り出す。
本体に近づくほど蚊の数が増えていく。
正直蚊の大軍は見てて不気味だがそうも言ってられない。
「どうやらこの森の中のようですね」
「まぁ、いかにもって感じね」
クロードとフランソワは森に突っ込み泉に辿り着いた。
そこにはでかい蚊がいて卵を産んでいた。
分体に栄養となる血を集めさせ分体を増やしていたのだろう。
悪魔は突如現れたクロードとフランソワに驚いているようだった。
