六百四十四話
最初の頃は、魔石と銀を取り出し猿の妖怪を焼却していたのだがそれでは効率が悪い。
クロードがアイテムボックスに収納して後でまとめて処理することとなった。
神力をわざと放出させると面白いように猿の妖怪が群がってくる。
猿共を蹴散らしては進む。
それをただ繰り返す。
鉱山はかなり深くまで続いているようで奥へ奥へと向かっていく。
いくつも道が枝分かれしており、巫女さん達も詳細はわからないらしい。
ある程度進んだところで休憩を取る。
結界を張って安全を確保して御飯を炊き味噌汁に焼き鮭を焼く。
これらの食材はクロードのアイテムボックスの中に入っていた。
食事は人によっては最大の娯楽だ。
クロードもどちらかというとそちらの人であり食材は常に確保している。
匂いに釣られたのか妖怪の猿達が結界を攻撃しているが無視できるレベルだ。
巫女さん達は落ち着かないようだがスルーして食事に手をつける。
我ながら上手くできている。
巫女さん達も猿の妖怪達が突破できないと確信したのか食事をはじめた。
食事も終わり食後のお茶を楽しんでいる。
何事にも潤いは必要だ。
「そういえば、組織では神力が使えるので銀ってそこまで必要じゃないですよね」
「あぁ。それは、自衛隊や警察の為に必要なんです」
「我々は神力が使えますが数が限られていますからね」
「数が足りない場合は自衛隊の特殊部隊や警察の特殊部隊も動員されます」
「そこで必要になってくるのが銀の銃弾です」
理由を聞けば納得だ。
確かに銀があれば神力を持たない人でも妖怪を倒せるのだ。
銀は耐久力的に刃物にしたりは向いていない。
だが、銀の銃弾があれば神力を持たない人でも頭数に数えることができる。
「最近は妖怪の数も多くて自衛隊や警察の出動回数も増えてますからね」
「今回も政府の上層部から何とかしてくれって言われた結果ですね」
ここだけが銀の確保場所ではないのだがろうが貴重金属だ。
購入費用も馬鹿にならないのだろう。
購入費用は税金なのだろうが世の人々に妖怪の存在を明かすわけにもいかない。
そうなってくると機密費あたりを上手い具合に運用しているのだろうか。
「まぁ、私達は言われた仕事をこなすだけです」
「十分休んだしそろそろ行きましょうか」
「でもこれ、どうやって出るんですか・・・」
周囲は物凄い数の猿の妖怪が囲んでいる。
「大丈夫ですよ。一瞬ですから」
クロードは範囲魔法であるウィンドストームを発動する。
猿の妖怪達はそれに巻き込まれバラバラになっていった。




