六百三十二話
クロードの行く手を妖怪達が邪魔をしてくる。
結局、妖怪達を排除して音がしている場所に辿り着くのに10分以上かかってしまった。
音の発生源では半魚人が装束を着た男性をサンドバックにしている。
男性の後ろには装束が破られ乱暴をされたと思われる女性がいる。
間に合わなかったという気持ちと生きていたという安堵感。
クロードは体を強化して目にもとまらぬ速さで剣を振るった。
男性を殴るのに夢中だった半魚人は何もできずに胴がわかれ骸となった。
男性は驚いたようだが力尽きたのか倒れ込む。
クロードは2人を診察する。
今すぐどうこうなるようではなさそうだが回復魔法をかける。
その間にも妖怪達が続々と集まってくる。
撤退したいところではあるが詩織と翠を置いていくわけにもいかない。
クロードは2人を守りながら妖怪達を排除する。
どれぐらい経っただろうか妖怪の骸が山となった頃に詩織と翠が合流した。
協力して妖怪の処理をして捕まってもらい転移魔法を発動させる。
本社に到着すると騒ぎにはなりはしたものの怪我人がいた為、無視して社の治療部屋へと直行した。
中にいた治療担当者に2人を預け本殿へと向かい報告する。
「お疲れ様でした」
「お力に慣れず申し訳ありません」
命を拾いはしたもののもっと救助が早ければと思わずにはいられない。
「生きている。これだけでもよしとしなければ・・・」
「それにしてもあの数の妖怪は異常でした。何が起こっているのか」
「他の場所でも妖怪の動きが活発化しているようです」
今回、訪れた鍾乳洞もそうだが各地で妖怪の動きがおかしいらしい。
通常2人1組で動く組織ではあるが4人1組で動くように指示を出したところだという。
「3人は休養の後、妖怪の間引きをお願いします」
「わかりました」
妖怪の間引きをしなければ生息域を飛び出し何も知らない人々に被害がでるかもしれない。
そうしない為にも妖怪の駆除は最優先だった。
自室に戻ったクロードは自身の内側へと意識を向ける。
ご意見番であるクロに今起こっている事態をどう見るか聞いてみる。
「恐らくですがご主人の存在を嗅ぎ取り焦っているのでしょう」
クロードの存在は秘匿されてはいるが派手に動きすぎた。
その最たるものが危険指定されていた人面蜘蛛の討伐。
妖怪達も独自にネットワークを持っており危機意識から行動を起こしたのではないかとのことだった。




